A red comet 〜後編〜

                                       by,ruka

 
 

―梅田駅付近―

  「ん・・・・?・・・・蘭っ!?」

  「何や?どないした?工藤」

  「イヤ・・・・今、蘭の声がしたような気がしたんだ」

  「気のせいちゃうか?蘭ちゃん、あそこで待ってるやろし・・・・」

  「あぁ、多分気のせいだとは思うんだけどな」

 

―その頃、とある場所―

  「・・・・んっ・・・・」

  「お目覚めかな?」

  「あなたは・・・・あなたが、あたしを呼んでた声なの・・・・?」

まだ、ぼぉっとする体を起こしてその人物を見るあたし。


真っ暗な部屋に揺れるロウソクの光だけではっきりとは見えないんだけど・・・・金髪でちょっと美形な背の高い男の人。

  「あぁ、そうだ。私の声がしっかり聞こえてたということは、お前もこちら側の人間・・・・やっと手に入れたぞ。毛利蘭」

そう言いながらあたしの頬を手を置く。

  「い・・・・嫌っ・・・・。あたしは、あなたの味方なんかじゃないわっ・・・・それに、何故あたしを必要としてるのよっ!?」

  「私の声が聞こえていたのだろう?共鳴し合えてる証拠さ。私はお前の力が欲しい、そしてお前と共に戦いたいのだ」

  「共鳴・・・・?そんなのあたしには分からないわっ。それに・・・・あたしの力って・・・・戦うって・・・・」




“新一っ・・・・助けてっ!”



そう叫びたいのを必死で抑え、その男の人の話を聞く・・・・。



この人が、赤の組織の人で・・・・あたしとコナンくんを狙ってる。

新一に連絡するにも、携帯はマンションの中だし、あたしはこの人の言いなりになるしかないの?

  「分かっているハズだ。お前と共に行動してる、工藤にも服部にも私の声は届いてないのだからな。お前だけが私と

   共鳴し合えてる、同じ仲間というわけだ。そして、その能力それこそが工藤を倒せる力なのだ」



新一を・・・・倒す?



その手助けをするために、あたしはココに連れてこられたっていうの・・・・?



  「知らないっ・・・・そんなの分からないわよっ・・・・新一を倒すためだなんて、あたしは絶対協力なんかしないわっ」

あたしに近づき、サングラスを取るとにっこり微笑んだ。

額に傷・・・・あの時の・・・・コナンくんと格闘した時についた傷・・・・。

今新一を狙ってるってことは・・・・この人、新一とコナンくんが同一人物だって分かってるんだ。

  「相変わらず強情なお嬢さんだ。今に、私に従いたくなるさ」

あたしをじっと見つめる視線から、不思議な感覚が送られてくる。

あたしが、新一を相手に空手をしてたり・・・・銃を向けてる姿。

服部くんとも戦ってるあたしの姿。

そして・・・・この人に忠誠を誓っているあたしの・・・・。

  「やっ・・・・やめてっ」

何とか視線を逸らす。

“新一っ・・・・何処っ?何処にいるのっ!?・・・・助けてっ、助けてよっ!!”

  「フッ、気に入った。無理にでも手に入れたくなるな」

まだ、多少しびれてる体で何とか部屋の隅まで離れる。

ココ・・・・部屋全体が丸いんだわ・・・・しかも、階段でイスがたくさん・・・・。

 




―その頃―




  「蘭・・・・。服部、さっきの気のせいじゃねぇみてぇだ・・・・」

  「何やて?まさか、蘭ちゃんの声聞こえたんか?」

  「あぁ・・・・」

軽く呼吸すると、目を閉じる新一。

  「間違いない・・・・あっち、南側から感じんだよ、蘭の呼んでる声」

  「・・・・工藤、お前まさか・・・・」

  「あ?」

  「いや、何でもあらへん・・・・他になんか感じるもんはないんか?」

  「・・・・丸・・・・半球体の建物・・・・くれぇしか・・・・何かあるか?」

  「半球体?・・・・大阪ドームやったらもっと南西やし・・・・大阪球場は跡地やしなぁ・・・・」

  「んじゃ、もう少し歩いてみっか・・・・」

 



―一方―



  「覚えているか?以前あの眼鏡のボウズと私の元へ来た時のことを・・・・。あの時、私が口にした言葉で

   お前の反応が変わった。『GION』・・・・過去に聞き覚えがあったのではないのか?そして、お前は私の・・・・」


ゆっくり近づきながら、話を続ける男。


この人が言いたいことは、多分あたしの前世のこと。

以前、江古田高校の学園祭で占いの部屋に行った時、紅子さんって人に占いで言われたことがあった。

あたしの前世には「GION・・・・って言葉と、大きな赤いもの、そして・・・・そこに兄がいて、戦っていた。あたしの味方

に居た人物は・・・・現世であたしの側に居る」と・・・・。

もちろん、この大阪に来るまでそんなこと忘れてたのに・・・・。


  「こっ・・・・来ないでっ・・・・。・・・・何故、新一と戦うのっ?・・・・もぉ、そんな必要ないはずじゃないっ・・・・。あなたと

   の戦いは、終わったハズでしょ・・・・?」

全てが繋がって分かってきた、あたしの言葉は恐怖で震えている。

  「愚問だな。答える必要はないだろう?」

逃げようとするあたしの手を掴み、壁に寄りかからされる。

  「諦めるんだな」

近づいてくる、男の唇・・・・。

  「いっ・・・・イヤッ、新一っーーーーーー!!!!」

 


―中之島付近まで来ていた二人―


  「蘭っ!?・・・・服部、蘭がやべぇ・・・・この辺にプラネタリウムかなんかねぇか?蘭はそこに居るっ」

  「プラネタリウム?!・・・・市立科学館やったら、こっからすぐやでっ!?」

服部くんの案内で走り出す2人。

  「服部、この薬預かってくんねぇか?」

  「使わなくてええんか?」

  「あぁ、この姿で蘭を守ってやりてぇんだ」

服部くんに薬を預け更に速度をあげる2人。

  「工藤、お前が聞いた蘭ちゃんの声、聞こえてるんやなくて・・・・感じてるんちゃうか?蘭ちゃんも言うてたやろ?

   心の中に響いてくるんやって・・・・ちゃうんかいな?」

  「あぁ、俺も今考えてたところだ。けどよ、すっげぇはっきり感じるんだぜ?まるで、側で話してるみてぇに・・・・」

  「それだけ、蘭ちゃんが危険・・・・っちゅーことかもしれへんな。はよ、行かな」

  「だな」

肥後橋駅まで来る2人。

  「服部・・・・」

  「あぁ・・・・居るな、こっから先へはそう簡単には行かせてもらえんようやな」

近くに落ちている、木片を拾う服部くん。

かかってくる敵を次々と木片でなぎ倒す。

  「工藤、ここは俺に任せて先に行くんや」

  「服部・・・・」

  「何、モタモタしとんねんっ、蘭ちゃんがどーなってもええんかっ!?」

  「あぁ、頼むなっ!」

そう言って走り出す新一。

  『新一っ、そこ・・・・左よっ』

  『蘭っ!?・・・・無事なんだなっ?』

  『・・・・んっ、何とか・・・・ね。そこっ、右っ』

  『っと・・・・右な。・・・・ヤツも居るんだな?』

  『居るわ・・・・その、橋渡って左。科学館の中よ』

 

男は、ひるむことなくあたしを壁に押し付ける。

  「まだ、抵抗するのか。見せてもらおうか、お前の心を・・・・そして、私と共になるのだ」

あたしは、新一との会話を悟られないように・・・・諦めたふりをし・・・・男の唇を受けた。

再び、あたしに流されてくる新一との格闘シーン・・・・。

  『お願い、新一・・・・早く来てっ・・・・』

  『待ってろな、もうすぐ行ってやっから』

入口で、張っていた敵を倒して館内へ入ってくる新一。

  『地下の・・・・一階から入ってこれるハズよ』

  『あぁ、着いたぜ』

ダメだ・・・・新一がたどり着いて安心した瞬間・・・・あたしは、男の言葉にぼぉーっと放心状態になる・・・・。

  「いいな?私と共に戦うのだ」

  「・・・・はい・・・・」

嫌っ・・・・あたしったら、何言ってるのよっ。




その瞬間。

“バタッ”



扉が開き、こっちに近づいてくる新一の影。

  「そこまでにしてもらおうか?」

  「よく、ココが分かったな」

あたしの手をつかみ、新一との距離を取る。

  「一応・・・・探偵なもんでね」

  「だが、残念だな?ここがお前の最期の場所になるんだからな」

  「それは、どうかな」

  「殺れ」

あたしの耳元で呟く。

背中を押され無言で前にでると・・・・構えるあたし。

  『蘭っ・・・・?・・・・洗脳されちまったのか?』

  『お願い、離れて・・・・あたしから離れてっ!』

  「さぁ・・・・最高のショーを見せてくれよな、工藤」

あたしの空手を避けながら、男と会話をする新一。

  「蘭を使わずとも、お前だけでも充分力を持ってんじゃねぇのか?・・・・あの時みてぇによ」

  「まさか・・・・お前、思い出したとでもいうのかっ!?」

  「さぁな、蘭に俺を倒させた所でおめぇそれでいいのかよ?」

男の合図であたしは新一への攻撃を止める。

どこから持ってきたのか、イスの下から取り出し、手にしたサーベルを男に投げる新一。

  「取れよ」

  「ならば、望みどおり送ってやろう。今度こそ、な」

サーベルを取り、つきあう2人。

剣の腕、まったくダメなはずなのに・・・・互角にやりあってる新一。

あたしの中に映し出される前世の映像に・・・・あたしの洗脳は解かれた。

  「やめてっ!・・・・2人ともっ、2人がやりあうことなんてないのよっ!?・・・・お願いっ、もぉやめてよっ!」

2人の間に飛び込むあたし。

  「蘭っ・・・・来るなっ!」

男の剣先があたしの肩に当り、倒れこむ。

  「蘭っ・・・・・らーーーーーーーんっ!」

新一の激しい反撃に、男はその場に倒れこんだ。

  「俺は・・・・ここでも、負けるのか・・・・」

そういい残し、駆けつけた服部くんと、大滝警部に連れて行かれ・・・・事件は解決した。

 





―新大阪駅―
 

 

                                      おしまい♪

 

 

☆ あとがき ☆

ハイ、後編です。

何か・・・・すっごいありあわせになっちゃって・・・・敵のボスの名前はね・・・・。

もぉ、思い浮かばなかったんです。そのまま使うわけにもいかず、でも・・・・

もじりようがなくって(苦笑)

そして、きっと・・・・読んでて分からない人、多かったと思います。

わかっている人にとっては・・・・突っ込みたくなる、イチャモンつけたくなる

そんな心境だと思うんですけどね?黙って忘れてください(苦笑)

こんな、小説につきあってくれてありがとうございました(^^)

                                      流香


  
貴重な小説ありがとう!
敵のボス・・勘の良い人は「あ・・」と思うかもしれません←なぬ
今回凄く新一&蘭のニュータイプ(あ、言ってもうた/笑)的反応が2人の繋がりの強さを現しているのかなと思いました!またこういうの書いたら是非ください!(笑)待ってますー!!!そしてありがとー!
後遅くなってすびばせんー(><)。。。画力がついていかなくてごめんなさいーっ(土下座)by akkiy




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