二人のプレイボール2
作:ザ・ドクター様


 
 2000年 夏。

 東京・後楽園球場。
 二軍に落とされた清原がバッティングゲージで練習していた。

 バッティングピッチャーの投げる球を 打ち 打ち 打ち 打つ。
 無我夢中で打っていた。その背後には シーズン途中から特別打撃コーチとして入団した落合の姿があった。
 清原の目の色が違う。例年の清原とは違う。天才・清原が蘇らんとしている。
 「キィ―――――ン」
 「カッキィ―――――ン」
 ホームランを連発している。
 如何にバッティングピッチャーと言えど 狭い後楽園球場と言えど ここまで連発するのは容易なことではない。
 「もっと脇を締めて鋭く振り抜け!」
 落合のアドバイスが飛ぶと同時に清原は 即時に応える。
 脇を締め 思いっきり振り抜いた。
 「ビシュッ」
 「キィ――――――――――ン」
 またもや スタンドイン。
 「もっと踏み込んで!!」
 「キィ―――――ン」
 「腰を回して!」
 「ビキィィ」
 次々とボールがピンポン球のようにスタンドインする。
 その様子を見た落合は思っていた。
 (あの少年……服部とか言ったか……清原を本気にさせることには役だったようだ………)
 (今の清原は紛れもなく強い……このまま行けばホームラン王は余裕で取れるだろう……一軍にいればだがな)
 清原は思っていた。
 (あのボウヤ……今度会った時は打ち崩す…………!!)

 読売東京巨人軍オーナー室。
 白馬 探と目暮 警部がソファに腰掛けていた。
 その2人の前に禿げ上がった頭を持ち 太った老人がテーブルを挟んで座っていた。
 その老人は 読売東京巨人軍オーナー・高力 進だった。
 「ですから 先程も言いましたように ある試合にこっちの指定する人物を出して下されば―――――……」
 「………常識で考えて見たまえ……そんな コトが出来ると思うかね?」
 「………例え 出来ないとしても ムリにでもやらなければなりません」
 「…………どうしても………ダメですか?」
 白馬は再びそう尋ねた。
 しかし 高力は頑なに拒む。白馬の要求を。
 「………いいでしょう………では 公務執行妨害で逮捕します……目暮警部………手錠を………」
 白馬は落ち着いた顔でそう言った。目暮警部は 呆気に取られている。
 「………私たちは仕事で ここに来ています……それを妨害すると言うことは 公務執行妨害に相当します……」
 「ま………待て……オマエ達……この私を逮捕するつもりか?」
 「なぁに 今は 公務執行妨害だけですが拘置してその間に調べれば色々と出て来ますよ……」
 「裏金による脱税……とかね…………どうです?高力オーナー?捕まりたくないでしょう?」
 「う………うぅ………わ………分かった………」
 やっとの事で 高力オーナーの首を縦に振らせた。

 読売東京巨人軍事務所を出た2人。
 「白馬くん 本当に キミは恐ろしい人だな」
 「はて?何のことでしょう 目暮警部?」
 「わしゃ 寿命が縮まるかと思ったよ…………」
 「さすがに貴方には分かっていたようですね 目暮警部………」
 「あの程度では 公務執行妨害にはなり得ないと言う事を…………!!」
 「公務執行妨害となる原因は2つ………暴力を振るわれた場合……」
 「そしてもうひとつ……その警官が悪質と判断した場合です……」
 「しかし 今回は そのどれも当てはまらないワケじゃろう………?」
 「そうです ですから 今回は一か八かの賭でした………そして それは成功しました………」
 「………さて 次は 名古屋に向かいましょうか…………」

 名古屋。中日ドラゴンズ球団事務所。
 「あ………これはこれは………星野監督もいらっしゃいましたか……これは 好都合ですね……」
 白馬がそう呟いた。
 「警視庁の目暮 警部です」
 そう言いながら目暮警部は警察手帳を見せた。
 「何の用ですか 警察が………」
 星野監督はそう言いながらズズイと近づいてきた。
 「単刀直入に申し上げます ある試合にこっちの指定する人物を出して下さい」
 「無論 この試合はスコアブックに載らない………何せ 公式試合ですらないのですから…………」
 「………それで 不調だった選手の調子が戻るのだったら安いモノでしょう………」
 「ねぇ……星野……監督……?」
 星野監督は念を押すように言った。
 「本当に その試合は公式戦ではないんだな?なら いい………いいが……もう一つ質問に答えていただこう」
 「……そのある人物って誰だよ?」
 「………そのある人物はこちらで選択しますが……紛れもなく警察にとって一番大切な人でしょう」
 それを聞いた星野監督はニヤリと笑って肯いた。
 「OK」と言うサインだろう。
 これで白馬の望みが2球団に認められた。しかし 白馬は何をやろうとしているのだろうか?
 「………フフフ…………これでいい………作戦の決行日は8/7………その日に公式戦が無い事が幸いした……」
 「怪盗キッド 覚悟して下さい……もう逃げられませんよ…………」

 天才少年名探偵・白馬 探のキッド捕獲大作戦の幕開けであった。




続く


ザ・ドクター様の小説第1話!!
あのすさまじい草野球(笑)の続編が登場!!
なんと今回白馬キャラまで出て来た!!これはいったい・・・・?!
キッド捕獲?はたしてどうなるっ!!(笑)by あっきー

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