おさかな天国

みなみ様作



 どこの高校にでもある平凡な昼休み。
快斗は机に新聞を広げながら次なる獲物を見ていた。


  「かぁいとv」


 名前を呼ばれて顔を上げるとそこにはにこにこしながら立っている青子がいた。


  「・・・なんか用か?」


 怪盗としての勘なのか、快斗は引きつった笑みを浮かべて返事した。
 青子は相変わらずにこにこしたまま快斗を見ていた。
上機嫌な青子に快斗はそろぉっと新聞をたたんで席を立とうとした。


  「あぁ、ちょっと待ってよ。快斗に面白いクイズを持ってきたのよ?」
  「けっ、んなくだらないもん持ってくるなよ」


 青子は少し頬を膨らませながら快斗に一枚の紙切れを渡した。紙切れを見ながらこれが
青子の上機嫌の原因だろうかと快斗は紙と青子を見比べた。


  「これ最近流行りの歌の歌詞の一部なんだけどね、書き方が少し変わってたからすぐにわからなかったの。」
  「で、これのどこがクイズなんだ?」


 青子は待ってましたとばかりに紙切れを指差しながら説明した。


  「この歌詞にあるものは全部ある共通点を持っているんだ。さて、それはなんでしょう?」


 快斗は歌詞に目を軽く通した。


  「人物名・・・あぁ、隣のクラスの鈴木のことか?」
  「違うよぉ、歌詞をちゃんと読んでる?」


 紙切れには走り書きで女子らしい筆跡で文字が綴られていた。


  「・・・恋文か?」
  「もうっ!快斗本当にわからないの?」
 バカにされたようで少し腹が立つ。
  「声に出してそれを読んでみてよ。すぐわかるよ?」
 快斗は紙切れを青子に押し戻した。
  「こんな恥ずかしいこと言えるかって。だいたいこれのどこが歌詞かもわかんねぇよ。
なら   おめーが歌ってみればいいじゃん」


 青子は大げさにため息をつきながら紙切れから歌詞を読み上げた。


  「好きだと言わして小夜梨ちゃん!大したもんだよ鈴木くん!
   いかした君達見ならって僕も華麗に変身するよ」


 読み終えて青子は快斗を見上げた。


  「まだわかんない?」


 快斗は肩をすくめた。


  「わかんない以前にそれ歌かよ」
  「ホッケアサリカツオキスエビタラ〜♪」


 いきなり歌いだした青子にびっくりしながらもその呪文のような歌詞がなぜか快斗を停止させた。


  「サンマホタテニシンシメサバ〜♪」


 ・・・気のせいだろうか・・・いやぁな言葉が聞こえてくる・・・聞こえてきそう・・


  「クイズの答えわかった?」
  「あ・・・あぁ、じゃおれ・・・かえるわ」


 思わず言っていることがひらがなになってしまうが気づかずに快斗は後退した。
引きつった笑みの快斗を気づかないように青子は腕をつかみながらにっこりと微笑んだ。


  「ここからが楽しいところなのに♪」


 青子は息を深く吸い込んで・・・


  「サカナサカナサカナ〜♪サカナを食べるとぉ、頭書ける 頭がよくなる〜♪」


 ・・・と歌った。
 快斗の頭の中は真っ白になってしまった。


  「さぁさぁ、みんなでサカナを食べよう♪魚は僕らを待っている♪おぅv」


 最後はかわいらしいポーズで決めた青子。


  「青子の歌上手だった?」


 黙りこんでしまった快斗に青子はたずねた。


  「・・・ぇょ・・・」
  「え?」


 青子が心配そうに覗き込むと快斗は顔を引きつらせて目を据わらせていた。


  「待ってねェよ!!!」


 大声でそう言うと快斗はそのまま教室を出て行ってしまった。



 
  「快斗・・・・怒っちゃった。」


 残された青子がびっくりしたようにつぶやいた。


  「・・・あれだけのことされたらさすがの黒羽くんだってねぇ」


 一部始終を見ていた紅子が青子にそう言った。
青子は相変わらずきょとんとしたまま紅子を見ていた。


  「けっこう覚えるの大変だったんだけどなぁ。
魚の名前を人に名前や文章に隠すなんて上手いわv
2フレーズ目もおぼえてこなくちゃv」


 スキップしそうな軽やかさで青子は教室を出て行った。
紅子は教室の窓から空を眺めながら今日はどうやって怪盗キッドをからかってやろうかと思っていた。


  青い秋空に浮かんだ白い雲は魚の学校のように見えましたとさv


お・わ・り

みなみちゃんのおさかな天国でした〜♪
ありがとう〜☆きゃ〜
快斗・・・よりも青子ちゃんが可愛い(笑)
さすがの快斗も・・・・・(笑)
魚嫌いって直るんでしょうか?
ちなみに私のトマト嫌いは微妙です←?(笑)
byあっきー

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