漆黒のモレンド 第3章
作:Gahal様
2月10日(土) 午前7時、コナン、光彦、歩美、元太は阿笠博士の家の前に集まっていた。 阿笠博士はまだ家の中であわただしく準備をしていた。 灰原「早くしなさいよ博士〜、みんなもう来てるのよ。」 灰原に急かされ、阿笠はさらにドタバタした。 コナン「ふわぁぁぁあぁ〜」 コナンは眠い目をこすりながら大きなあくびをした。 コナン「何で、こんなに朝早く行かなきゃなんねえんだ。遊園地は朝9時からだろ?」 光彦「今日はオープン初日ですからね。」 灰原「そうね、前評判もかなり高かったから、かなり混雑するわよ。 全部のアトラクションを今日一日で回ろうと思ったら…今から出発しても遅いかもしれないわね。」 いつの間にか、灰原が家の外に出てきていた。阿笠はまだ家の中でドタバタやっているらしい。 灰原「そういえば、守君はまだ来てないのね。」 コナン「ああ。」 光彦「どうしたんでしょうかね?」 元太「おいコナン、ちゃんと場所と時間、教えたんだろうな?」 朝7時に阿笠博士の家に集合、という約束をちゃんと伝えたのか、と、元太はコナンを疑った。 コナン「教えたよ。」 コナンはムッとしながら答えた。 歩美「ひょっとして守君。ここの場所が分からないんじゃ…」 灰原「大丈夫よ。彼、昨日ここに来てたから」 守「コナン君!!みんな〜!!」 ちょうどその時、阿笠博士の準備が終わるより早く守が到着した。 守はコナン達の所に急いで駆けより、みんなに合流したところで息を整え、言った。 守「ごめん、おそくなっちゃって」 コナン「気にすんなよ。5分遅れただけじゃねえか。それに…」 コナンは窓の中に現れては消える阿笠博士の方をチラリと見た。 元太「そうそう、阿笠博士なんて、ここに住んでるのにまだ準備できてねえんだからよ。」 歩美「だから今日は、思いっきり楽しみましょう。」 守「うん。」 光彦「あれ、何持ってるんですか?」 守「ああ、これ新聞だよ」 そういって守は手に持っている新聞を広げてみんなに見せた。 守「ここに来る途中で買ったんだ。怪盗キッドのことが書いてあったから。」 光彦「キッドが昨日出した新しい予告状のことですね。」 守「これを解いたら、怪盗キッドに会えるかもしれないと思って。」 歩美「そっか。」 光彦「この予告状を解いて、先回りするんですね。」 元太「でもよ、こんなの解けんのか?」 『12の獣の第11走者が再びタスキを受ける刻(とき)、溶けない氷を頂きに、黄金の大地に参上する。 怪盗キッド』 光彦「う〜ん」 ちょうどそのとき、 博士の家の玄関のドアがガチャッと開いた。 準備を終えた阿笠博士が家から出てきたのだ。 元太「おせーぞ博士〜。」 阿笠「いや〜すまんすまん。待たせたのう。」 そして阿笠博士は、ぐるっとみんなを見渡した。 阿笠「みんな集まっとるようじゃの?それじゃ出発しようか」 7人は阿笠博士を先頭に歩きはじめた。 元太「おい博士、まさか米花ジョイシティまで歩いていくのかよ?」 阿笠「まさか、バスに乗るんじゃよ。」 7人はバス停へと急いだ。 バス停でバスを待つこと約5分、一旦米花駅へ出た後、さらに50分待ってから米花ジョイシティ行の直通バスに乗り換えることになった。 コナンたちが米花ジョイシティに到着したのは午前8時55分、オープンのギリギリ5分前だった。 歩美「わぁ〜すごい人!!」 エントランスにはすでにとてつもない数の人が集まっていた。 光彦「あれ?まだ9時になってないのに、あの人たち何でもう中に入ってるんですか?」 光彦は、自分の腕時計と、すでに中に入っている人たちを交互に見ながら言った。 灰原「多分、あまりにも人が多すぎたから先に入れたのよ。ほら、」 灰原は後ろを振り返り、さらに続けた。 灰原「今だってここにいる人だけで道路の半分をふさいでいるでしょ。」 光彦「あ〜なるほど〜。」 元太「でも、ずるいじゃねえか。9時よりも前から遊べるなんてよ」 コナン「いや、どのアトラクションもまだ動いてねーよ。多分9時になったら動くと思うぜ。」 丁度そのとき、いままでずっとスピーカーから流れていた音楽がピタッと止まった。 そして、しばしの沈黙の後、スピーカーから女声のアナウンスが聞こえてきた。 アナウンス「大変永らくお待たせしました。屋内外融合型アミューズメント・米花ジョイシティはただいまオープンです。」 アナウンスが終わったと同時にエントランスの門が開き、中のアトラクションも動き始めた。 外で待っていた人たちはどっとエントランスに詰めかけた。その人の流れに乗ってコナンたちも米花ジョイシティの中へと入っていった。 ところが、あまりの混雑のため、体の小さいコナンたちはもみくちゃにされ、混雑を抜けたときにはすでに全員息を切らしていた。 阿笠「と、ところでワシら入場料をはらっとらんのじゃがいいのかのう?」 光彦「だ、だいじょうぶですよ。ここは入場無料ですから…」 元太「そ、それよりどれから乗るんだ?」 光彦「そんなの決まってるじゃないですか。」 光彦は、混雑の中で取った米花ジョイシティの案内図を広げ、あるアトラクションを指さして言った。 光彦「コレですよ。」 それを見た元太と歩美もたちまち同意した。 案内図を持っている光彦を先頭に、7人はそのアトラクションへと向かった。 その途中で、観覧車、メリーゴーランド、コーヒーカップ等の定番アトラクションのそばを通り抜けた。 それらのアトラクションの間を縫うようにジェットコースターが通っている。 一行は、少し開けた広場のようなところに到着した。 その広場の中央には、前日に灰原が見ていたパンフレットに載っていたモニュメントがあった。 小さな塔のてっぺんに直径5メートルの大きな地球儀が乗っており、南極以外の大陸の部分がすべて純金で出来ている。 「黄金の地球儀」というモニュメント。 阿笠「ほお、これが黄金の地球儀じゃな。」 歩美「わぁ〜大きい」 守「でもこの地球儀、何か変だよ?」 コナン「ん?ああひっくりかえってんだよ、これ。」 哀「本当、北極が下に来てるわね。ふつう北極は上なのに。」 光彦「確かに学校の地球儀と上下が逆ですね。」 光彦は再び案内図を広げた。 この案内図にはアトラクションなどのちょっとした解説が載っている。 光彦「え〜っと、南極以外の大陸の部分がすべて純金で出来ているから黄金の地球儀って言うそうですよ。」 歩美「綺麗〜」 光彦「で、南極の部分は…あれ?載ってませんね。」 案内図にはあくまでも簡単な説明しか書かれていない。光彦は「黄金の地球儀」を見上げて、天辺の南極大陸を確かめようとした。 光彦「…よく見えませんね。白く光ってるのは分かるんですけど。」 元太「どうでもいいだろ、そんなの。はやく行かなきゃヤバイんじゃねえか?」 歩美「はやく行かなきゃ乗れなくなっちゃうよ。」 光彦「そ、そうですね。じゃあ行きましょうか。」 一行はまたしばらく歩き、やっと光彦たちの目当てのアトラクションに到着した。 その名は『仮面ヤイバー・ザ・ライド』 あまりのうれしさのため、券も買わずに入り口へ走っていった歩美・光彦・元太をコナンが止めた。 コナン「券を買わねえと入れねえぞ!!」 阿笠博士はアトラクションには乗らないので、コナンたちは子供用のチケットを6枚購入した。 守「あれ?何か書いてあるよ。」 守が見つけた物は、券売機の上に貼られた注意書きの紙だった。 守「屋外アトラクションは全て時間指定となっております。 チケットに印刷されている時間が各アトラクションへの入場可能時間となっておりますので、その10分前に各アトラクションへお越しください。」 守が注意書きを読み上げている間にコナンたちはそれぞれのチケットに印刷されている時間を確認した。 『15:00〜』と印刷されている。 灰原「今がまだ10時前だから、乗れるのは5時間以上後ね。」 コナン「ど〜すんだよ、それまで?」 元太「ジェットコースターに乗ろうぜ!!」 歩美・光彦「賛成!!」 光彦「え?」 人混みをかき分け、やっとの事でジェットコースターのチケット売り場(自動券売機)に到着し、チケットを買おうとしたのだが、 券売機は停止しており、『本日分のチケットは完売いたしました。』という張り紙が貼られていた。 元太「ジェットコースターにも乗れないのかよ。」 光彦「どうしましょう?」 守「じゃああそこに行ってみない?」 守が指さした先には、遊園地には似合わない高層ビルが建っていた。それも、米花ジョイシティのど真ん中に。 そして、そのビルの上にはタワーが建っていた。 光彦「あのビルはBJCタワービルという、地上29階、地下5階建ての高層ビルで、米花ジョイシティの屋内アミューズメントビルだそうです。」 BJCタワービルへと歩きながら、光彦は案内図を見ながら説明をしていた。 このビルの地下は全て駐車場で、1階がグッズショップ、2階がお子様遊園地、3階〜9階は立体大迷路(3階の入り口から入って9階の出口を目指す。)、 10階〜13階はゲームセンター、14階と15階はパチンコ屋、16階にボーリング場、17階〜21階に映画館、22階と23階がコンサートホール、 24階〜27階がお化け屋敷(24階の入り口から27階の出口をめざす4階建てお化け屋敷。迷路と違ってほとんど一本道)、 そして28階と29階がレストラン街になっている。 それからビルの屋上には、ジェットコースターが十手いる。 (ここのジェットコースターは、地上で一通りループを終えた後、ビルの外壁を屋上まで150メートル一気に垂直上昇し、 しばらく屋上を走った後、最後にビルの外壁を150メートル垂直降下しゴール。) ビル屋上にはさらにBJCタワーというタワーが建っており、地上からの高さ250メートルの展望台まで上ることができる。 コナンたちは、まず立体大迷路に向かった。 この大迷路は、屋外アトラクションのような予約制ではなく、入場券を買って入り口の列に並んで順番に入っていくようになっていたが、 回転率がいいのか、10分待っただけで入場することができた。 迷路に入ると、いたるところに分かれ道や上り階段が設置されている。(上の階に行けば下り階段も出てくる) 迷いに迷い、ゴールにたどり着くまでに3時間もかかってしまった。 すでに午後1時前になってしまったため、28・29階のレストラン街で昼食をとることに決めた。 しかしエスカレーターを上り、10階にさしかかったとき、コナンたちの耳に聞きなれた声が飛び込んできた。 それは変わったイントネーションの日本語を話す女性の声、時々英語も混じっていた。 しかもここはゲームセンターである。 コナンがその声がする方に近づいていくと、やはりその人物がいた。 コナン「ジョディ先生!」 ジョディは誰かと格闘ゲームの対戦をしていた。 ジョディ「オ〜クールキッド!!」 コナン「何やってるの?」 ジョディ「この人と対戦してるンデース。」 やがて試合はジョディの勝利で終了した。 「うわ〜負けた〜」 ジョディの対戦相手は、そういって頭を抱え、そして何気なくコナンの方を見た。 「あれ?お前…」 コナン「へ?」 「やっぱりそうだ。毛利小五郎と一緒にいたボウズ」 コナン「は、はじめ兄ちゃん!!」 金田一はじめ「いやー、柳葉村で会って以来だな。」 (第3の予告状 参照) コナン「う、うん」 はじめ「名前は確か…コナンだったか?」 コナン「うん、そうだよ。」 ジョディ「知り合いデスカ?」 コナン「うん、ちょっとね。」 はじめ「じゃあ俺はもう行くわ。」 ジョディ「サヨナラー」 はじめはコナンにも別れを言い、そのまま非常階段を下りていった。 ちょうどその時、歩美・元太・光彦の3人がコナンたちのところに走ってきた。 元太「おいコナン、どうしたんだよ。」 コナン「あ、ちょっとジョディ先生の声が聞こえたから。」 歩美「ジョディ先生!!」 光彦「こんにちは」 ジョディ「みんなも遊びに来たンデースか?」 歩美「うん。」 コナン「ところで博士たちはどこにいるんだ?」 光彦「3人は先にレストランに行ってるそうです。」 歩美は「バッジで連絡したらどこのレストランにいるか教えてくれるって」 元太「はやく行こうぜ、俺もう腹ペコだよ。」 コナン「ああ、ジョディ先生は?」 ジョディ「私は、もー食べまーした。」 コナンたちはジョディに別れを言い、エスカレーターで上へ急いだ。 ちょうどそのころ、先にレストラン街についた阿笠、灰原、守の3人は、ちょうどレストランに入ったところだった。 コナンたちがまだ到着していないので、注文は出来ない。灰原はコナンたちのバッチに連絡を取っていた。 阿笠たちの席は、テレビのそばの8人席で、片側の4人は真っ正面にテレビを見ることが出来た。 テレビではちょうどお昼のニュースをやっていた。 『次のニュースです。さきほどの警視庁の記者会見で、怪盗キッドの予告日は今日であると発表されました。』
第四章へ
<Gahal様のあとがき>
何とか3章が完成しました。
この章はほとんど米花ジョイシティの紹介だけで終わってしまいましたが…
(この章で再登場予定だった平次もまた出せませんでした。)
次の4章では、キッドの予告状の答えを発表します。
米花ジョイシティのモデルは、USJ+セガジョイポリス+京都タワー+ラスベガス+…だったりします(笑)
あと、BJCは米花ジョイシティの略です。
Gahal様のコナン&金田一final!!
出てきたーー金田一くーーん!!
しかも次はキッドが出る予感???
ジョイシティは・・・なるほど・・・←ぇ
USJとジョイポリの雰囲気はばっちり味わいました←ぇ(笑)
ここでジョディ先生が出てきたということは・・・何かあるのでしょうか・・。探偵の探偵の血が騒ぐ←探偵でもなんでもなし(笑)
ちなみにキッドの予告状・・・これは深く考えないほうが解けやすいんでしょうか・・うーーむbyあっきー