第3の予告状 〜After〜(前編)
作:Gahal様


あの事件から約3ヶ月がたった。

柳葉村で起こったあの事件。
0717と名乗っていた犯人、本名・八坂信一

八坂がそのコードナンバーにも使用した0717という数字は、八坂神社のお祭り・祇園祭のクライマックスである山鉾巡行の日、
7月17日からとったものだった。

この男は現在、大阪N拘置所に拘置されていた。


第1回公判を翌日にひかえた7月20日夜、N拘置所で、送致されてきた被疑者が警官の一瞬の隙をついて拳銃を奪い、
立てこもるという事件が発生した。
犯人はすぐに身柄を拘束されたが、その騒ぎに乗じて八坂信一は拘置所を脱走した。

 この出来事は公には公表されることはなかった。


7月21日
 服部家ではいつものような平凡な朝が訪れるはずだった。
しかし、昨夜遅くに緊急の電話を受けた服部平蔵は府警本部へいったので、すでに不在だった。

平次「奴が脱獄したとなると、そのまま海外へトンズラするか、もしくは俺らに復讐をするかやな。
しかし、工藤はもう東京へ帰ってしもとる。キッドにいたっては素性不明。やっぱ一番狙いやすいんは俺か…」

 平次は自分の腹部にある傷を見ながらあのときの事を思い出していた。
洞窟の奥深く、古代遺跡の中で平次はあの男に撃たれ、重傷を負った。
もし、あの男が復讐のため、再び自分に襲いかかってきたとしたら…

平次「上等や。この傷の借り返すいい機会や。あいつは俺一人で捕まえたる。」

そう思い立った平次は早速行動を開始することにした。平次は数日分の着替えと財布をカバンに詰め込み、そのまま家を出発した。
 平次は柳葉村に向かうことにした。

 バスと電車を乗り継いで何とか最寄り駅までたどり着いた。最寄り駅といってもそこから村までは車で4時間かかるのだが…。

平次「で、何でお前までおるねん、和葉?」
和葉「だって、私、一応平次のお姉さんなんやし、ゆきさんにも会いに行きたかったし…」
平次「ゆきさんとこは行かへんで。」
和葉「なんで?」
平次「つい3ヶ月前に大切な人を3人も無くしたとこなんやで。いまさら俺らが行っても蒸し返すだけや。」
和葉「そーやね」
平次「さて、そんなこと言うてる間に早よタクシー拾わな。」
和葉「タクシーなんか乗らんと歩いていったらどうなん?」
平次「アホ、車で4時間かかんねんで?そんなとこ歩いていったら、日ぃ暮れてまうわ。」
 平次たちがタクシーで柳葉村に到着したとき、すでに日は傾きはじめていた。

 平次たちは柳葉村立総合病院の前でタクシーを降りた。
和葉「で、着くにはついたけど、ゆきさんのとこ行かへんのやったらどこに泊まるん?ちゃんと宿とってあんの?」
平次「あ…」
和葉「あ…ってまさか?」
平次「ああ、そのまさかや。」
和葉「ええっ?もう、どーすんの?」
平次「どないしょう?」

そのときだった。いつもは静かなその村にけたたましいサイレンの音が鳴り響いた。
そして、一台の救急車が柳葉村立総合病院へと到着した。

平次たちの位置からは、救急隊員に運ばれて搬入された患者の顔を見ることはできなかったが、
救急車に同乗していた人物の顔はよく見ることができた。

その人物はまぎれもなく大柳ゆきだった。
和葉「あれ、ゆきさんちゃうの?」
平次「ほんまや。行くで和葉」
というと平次は病院の中へと入っていった。

 平次たちがゆきのところに到着したときは、もうすでに患者の方は手術室へと入っていた。
平次「ゆきさん!!」
ゆき「あら、君は…服部君。どうしてここに?」
平次「あ、いや、たまたまこの村に着たら病院に入っていくゆきさんをみつけて、それで…。」
和葉「もしかして、さっき運ばれてたんは良博さんですか?」
ゆき「ええ。岩が崩れて下敷きになったのよ。」
平次「岩って…ひょっとして良博さんあの洞窟に入らはったんか?」
ゆき「ええ。エターナルブルーを発掘するためにね。」
平次「何でまた?」
ゆき「わからないわ。でも、2週間前突然帰ってきて発掘をはじめたの。それがこんなことになるなんて…うっうっ…」


そして数時間が過ぎ、"手術中"のランプが消え、医師と看護婦が手術室から出てきた。
ゆきが駆けより、良博の容態を尋ねた。

ゆき「兄は?兄はどうなんですか?」
執刀医「手術は成功しました。が、念のため今夜一晩は集中治療室へ移します。
ゆき「面会はできないのでしょうか?」
執刀医「今日はまだ無理ですが、明日になればおそらく一般病棟へ移れますので、その後なら面会は可能ですよ。
それと、これなんですが…」
執刀医はそういうとポケットからエターナルブルーをとりだして言った。

執刀医「これはあの患者さんが握り締めておられたものですが。」
ゆき「兄に届けますわ。」
そいういってゆきはそれを受け取った。


7月22日
ゆきと、結局はゆきの家に泊まった平次と和葉の3人は一般病棟に移された良博の面会に行った。良博は一人部屋に移っていた。

ゆき「どう?具合は?」
良博「ああ、もう大丈夫だ。」
ゆき「そう、よかった。」
良博「君達は確か…西の名探偵の服部平次君と遠山和葉さん」
平次「ども」
和葉「お久しぶりです。」
良博「いや〜恥ずかしいな。こんなところ見せてしまって。」
和葉「いえ、そんなこと」
良博「エターナルブルーを掘り出してね。見つけて油断してしまったんだな。まさか後ろの岩が崩れてくるとは思わなかったよ。」
ゆき「もう危険なことはやめてよ。」
良博「ああ、それより…」
ゆき「これでしょ?」
ゆきは良博にエターナルブルーを見せて言った。

良博「あ、ああ」
ゆき「ここにおいておくわよ。」
ゆきはそれを良博のそばのテレビ台にハンカチを敷いてその上に置いた。


その夜…

平次と和葉は、ゆきに用意してもらった部屋で2人で話をしていた。
和葉「な〜、もうそろそろ話してよ。何でまたこの村に来る気になったんか?」
平次「あかん、それは言えへん。」
和葉「何でよ!!」
平次「・・・・」
和葉「なあ!!」
平次「・・・・」
和葉「何とか言ったらどうなん?」
平次「・・・・」

この間、平次は翌日の予定について考えていた。
"あの場所"には当然行くつもりにしていた。
平次のライバルである工藤新一―今は江戸川コナンだが―が気になるといった"あの場所"すでに事件が解決していたため、
忘れさられていた"あの場所"である。


翌朝…

平次が起きたとき、何かあわただしかった。
ゆきの様子もただ事ではなく、ものすごいスピードでタクシーも家の前に到着した。
タクシーに飛び乗ろうとしているゆきを呼び止めて平次は何があったのかを聞いた。

平次「あの、なんかあったんですか?」
ゆき「兄が…良博兄さんが…」
平次「え?」
平次も慌てて準備をし、何とかタクシーに飛び乗った。

そして、良博の病室へと到着した2人の目に飛び込んできたのは…

ノドをナイフで一突きにされた良博。ナイフも刺さったままだった。
しかも傍らには"0717"とかかれたカードも枕に突き刺さって立っていた。

ゆき「いやぁぁぁぁーっ!!」




Gahalさまのあとがき
タイトルのとおり、これは「第3の予告状」のつづきです。
「第3の予告状」を読んでない方にはさっぱりわからないと思います。
"あの場所"のヒントは「第3の予告状」の平次が出てきてから後のどこかに隠されています。
ちなみにこれは前・中・後編の3部作です。

Gahal様小説ありがとう☆
今回は第3の予告状の続編なので平次が出てる・・・・・・イヒ←(爆)
あの犯人0717が脱走????Σ( ̄□ ̄;)まさか次に狙われるのは・・・・・・・・バタ(倒)
さあ、このあとどうなるぅぅぅ o(><)o by あっきー

戻る

TOPへ