コナン&金田一B〜第3の予告状〜(10)
作:Gahal様




0717はその"宝"を目の当たりにして激怒していた。

0717「くそー!!まさかエターナルブルーの秘密がこんなものだったとは!!」
エターナルブルーによって開かれた岩の扉の奥には、石で出来た広大な都市が広がっていたのだ。
そう、それは大きな街だった。何千年もの間その場所に封印されていた古代の街。いや遺跡だったのだ。

0717「うぉぉぉぉぉぉっ、こうなったらあのがきども、なぶり殺しにしてくれる!!」
そういって0717は手にもっていたピストルに弾を装填してつぶやいた。
0717「こいつで蜂の巣にしてやる…くっくっくっ…。」
0717はそれをもって遺跡へと消えていった。

その数分後、平次とコナンが遺跡にたどり着いた。
平次「ほーっ、これがエターナルブルーの秘密かいな?」
コナン「見た感じかなり古いものだな、ざっと2000年ってところか?」
そのとき…

ドン!! キン!!

どこからともなく発射された弾丸がコナンのすぐ横をかすめ、そばの岩に食い込んだ。
さらに…

ドンドンドンドンドン…

弾丸は次々と飛んできた。
コナン「あぶない!!」
平次「うぉ、く、くそ、どこや!!どこにおるんや!!」
コナンと平次はとっさに岩陰に隠れた。

ドンドンドンドン…

0717は容赦なく銃を撃ってきた。
そのときふいに銃声がやんだ。

0717はガシャとマガジンを取り外し、再び次のマガジンを取り付けた。
コナン「(18発)」
0717は銃をふたたびかまえなおしてコナン達のほうにコツコツコツと歩いてきた。
そのとき、コナンの方から姿を出した。
平次「ちょ、こら!!」
平次は相変わらず隠れたままだった。

コナンの思わぬ行動に0717は一瞬止まってしまった。



そのころ、洞窟の外では…
いつのまにか下流のダムが閉じられていた。
ある人物によって閉じられてしまったのだ。
その人物がダムを後にしたとき、ダムには死体だけが残っていた。

再び、洞窟の中では…
コナンの姿を確認した0717はとっさに岩陰に身を潜めた。
コナン「出てきなよ。」

しかし、0717はまったく動かなかった。
コナン「ずいぶん慎重だな…だが、もう隠れてもムダだよ、あんたの正体、分かってるからさ。」
0717は一瞬ピクッとなったがそれでも動かなかった。
コナン「…そうだろ?貴博さん?」
0717は、拳銃を隠してゆっくりとコナン達の前に姿を見せた。

貴博の姿で…

コナン「フン、やっと姿をあらわしたね、貴博さん?」
貴博「なんのことだい?僕はただ君たちの後をおってここに入って今追いついたところなんだ。」
コナン「言い訳はやめなよ…あんたはかなり前から大柳 貴博として大柳家に潜入し、エターナルブルーを
盗み出すチャンスを狙っていたんだ。しかし、あの金庫はセキュリティが厳しく、いくら大柳家親族になりすましたとはいえ、
近づくことすら出来なかった。しかしそこへ2人の怪盗がエターナルブルーを盗み出すという予告状を送ってきた。
そこであんたはその怪盗を利用しようと考えた。
どちらかの怪盗がエターナルブルーを盗み出したところを待ち伏せし、横取りしたんだ。」

貴博「なるほど、面白い推理だね。でも僕がやったっていう証拠はあるのかい?」
コナン「証拠ならあるさ。」
貴博「何?」
コナン「このスポンジ、そして博満さん殺害現場に残っていたフィルターのないタバコがそうさ」
貴博「そんなものがなんの証拠になるって言うんだ!!」
コナン「このスポンジ、あんたのポケットから落ちたんだ。それにこのスポンジはたばこのフィルターだ!!」
貴博「そんなの、俺がタバコを吸っていることを示すだけで何の証拠にもならん!!」
コナン「フン、よく考えてみなよ。このスポンジとおちていた吸殻、何か足らなくないか?」
貴博「フン、何が、一体何がたらないというんだ!!」
平次「あ、ひょっとしてフィルター部分の包み紙か?」
貴博「あっ!!」
貴博は急いで自分のズボンのポケットを探り、白い紙を取り出した。

コナン「そう、つまりあんたのポケットにあったそのフィルターと博満さん殺害現場の吸殻とがぴったり一致するはずなんだよ。」
0717「な?お前一体…」
コナン「江戸川コナン、探偵さ!!」
0717「フン、探偵か…だが、お前らがいなければ証拠はなくなるわけだ!!死んでもらうよ。大柳 貴博のようにな!!」

ドン

0717はコナンに向けていた銃口を瞬時に平次の方へむけて1発放った。
その銃弾は平次の腹部に命中した。

コナン「服部!!」
コナンはあわてて平次のもとに走っていった。
平次「グッ!!大丈夫、かすり傷や!!」
コナン「かすり傷って、重症じゃねえか!!」
貴博「はっはっはっは…、さあ、次はどこがいい?」

ドン!!



そのころ、湖のほとりのはじめ達は…
蘭と和葉と美雪とゆきは小五郎の付き添いで一緒に救急車に乗っていった。
そこに残っていたのは、はじめと佐木とフミの3人になった。
その中で、フミがその異変に最初に気づいた。
下がっている水面が上がり始めたのである。

フミ「ねえ、水面上がってない?」
はじめ「水面…ああ、確かに…でもそれが…」
そこに剣持からの電話がかかってきた。
はじめ「もしもし、あ、オッサン、何?」
剣持「例のライフルマークの件だが…お前が撃たれた銃弾と怪盗紳士が撃たれた銃弾のライフルマークが一致しなかったんだ。」
はじめ「え?何だって…そうか!!」
といってはじめはどこかへ走っていった。
佐木「せ、先輩!!どこに行くんですか?」
フミ「おい、はじめ!!」
はじめは2人の声に振り向きもせずに走り去っていった。


ドンドン

平次とコナンは遺跡の奥のほうの建物の中に隠れていた。
0717「どこ行ったのかな…出ておいでよ」
0717が完全に通り過ぎていったのを確認して、コナンは平次に尋ねた。
コナン「大丈夫か?」
平次「うぐっ、はあっはあっはあっ…大丈夫や」
コナンは、弱りきった平次を見て決心し、立ち上がった。
平次「お、おい…なにすんのや?はあっはあっ…」
コナン「お前はここにいろ」
平次「お、おい…」
コナン「決着をつけてくる。」
コナンはそばにあったこぶし大の石をもってその建物を出ようとした。
平次「ま、まてや…」
コナン「必ず戻ってくる…それまで死ぬなよ!!」
コナンは建物の外に出て行ってしまった。

コナンが平次のいる建物から100メートルほど離れたとき、
ドンドン
0717の放つ銃弾がコナンのそばをかすめた。
コナンはとっさに建物の影に隠れた。

そこに0717がコツコツと足音を立てながら歩いてきた。
0717「隠れてもムダだよ!!さあおとなしくでておいで。」
コナン「…最後に1つ聞きたいな…」
0717「何だい?」
コナン「博満さんを殺した動機は、おそらく…」
0717「ああ、俺が怪盗キッドを撃ったところを見られたからさ。」
コナン「だろうな…だがおまえが怪盗紳士を撃った理由だけがわかんねえんだよ。」
0717「何をいってる?おれは怪盗紳士なんで撃ってないぞ。」
コナン「何だと?」
0717「よく考えてみろ、俺は金庫に入れないからキッドから横取りしたんだ。セキュリティに触れずに金庫に入る方法を知ってるなら横取りなんかせずに直接盗んでるさ。」
コナン「(何だと…ということは…ますい!!蘭たちが危ない!!)」
0717「そんなことよりそろそろ片をつけようじゃないか。」
コナン「…ああ」

ドン


そのころ…
湖にはもう1つダムがあった。
それは湖に流れ込んでいる川の河口にあった。
通常は4月1日には閉じられているものなのだが、この日は…
そのダムの管理室に下のダムを閉じた人物がいた。
その人物はダムを解放した後、ゆうゆうと管理室から外に出てきた。
しかし…

はじめ「待て〜っ!!」
その人物「…」
そのとき、金田一 一が走ってきた。
はじめ「そこまでだ!!」
その人物「…」
はじめ「怪盗紳士を撃ったのは、あんただな!!」
その人物「…」
はじめ「そして、下のダムを閉め、上のダムを開けて洞窟の中にいる人を水攻めするつもりだな!!」
その人物「…」
はじめ「…いつまで黙ってるつもりだ?」
その人物「…」
はじめ「あんたは怪盗紳士狙撃の際、こいつを落として行った。これはパスツールピペットっていうらしい。
ゆきさんに聞いたところによると化学実験で使うそうじゃないか。そうだろ、西沢さん?」
西沢「そいつはうかつだった…そのパスツールピペットの先のほうは針のように細い管だからね、
ポケットに入ってしまったのに気づかなかったんだな。それにしてもマヌケだな、俺は。」
はじめ「ああ、あんたはマヌケだよ。それ以外にも2つありえない行動をしているんだからな。」
西沢「何?」
はじめ「まず、そのしゃべり方さ。関西人のあんたが関西弁じゃない。大柳家の人みたいに越してきてから1年じゃ
仕方ないけど…昔のエターナルブルーのこと知ってたあんたはそうじゃない。で、思ったのさ。
あんたは関西以外からやってきてここのことを調べている人じゃないかってね。」
西沢「なるほど、気がつかなかったよ。で、もう1つは?」
はじめ「俺たちが2回目に大柳家別荘を訪ねたときのことさ。あんた、紹介される前に大滝警部のこと刑事だって
わかってたよな?」
西沢「ああ、そういえば…うまく奴の犯行に見せかけたつもりだったんだがな。仕方ない」
そういうと西沢ははじめに銃を向けた。

はじめ「怪盗紳士を撃った銃か?」
西沢「ああ、そうだよ。これで君も死ぬんだ。」
西沢は再び銃を構えなおした。
西沢「さて、なにか言い残すことは?」
はじめ「ない!!おれはこんなところでは死なない。」
西沢「死ぬよ。僕の手によってね。」
そして西沢が引き金を引こうとしたそのとき…

ガシッ
西沢の手の銃がはじかれた。
目を開けたはじめの前に怪盗紳士と西沢が向かい合っている姿が映った。

はじめ「怪盗紳士!!」
怪盗紳士「早く逃げて!!」
はじめ「くっ」
はじめはそのすきに逃げ出すことが出来た。
西沢「フン、まだ生きていたか。」
怪盗紳士「おかげさまでね」
西沢「そうかい、じゃあ改めて死んでもらおう」
怪盗紳士「だれが!!」
怪盗紳士はパンチをしようとしたが、あっさり受け止められ、投げ飛ばされた。
そして西沢は銃を拾って怪盗紳士に向けた。
西沢「死ね!!」
はじめ「うおおおおおおおおおっ」
はじめが西沢に体当たりしようとした。
しかし…
西沢「こざかしい!!」
はじめは西沢によってかんたんに、怪盗紳士のそばに投げ飛ばされてしまった。
西沢「さて、どっちから先に行く?やはりレディファーストかな?」
西沢は再び引き金を引こうとした。

そこに、
誰かのけりが入った。
それによって西沢の銃は吹き飛ばされた。
西沢「何?」
蘭「アアアアアアアアアアアアアアアア」
ドカッバキッボコッドゴッ…
西沢「うぉぉ」
蘭の空手によって西沢は完全にのされてしまった。
蘭「ふううっ」
和葉「やった、蘭ちゃん!!」
美雪「はじめちゃん!!」
はじめ「喜ぶのはまだ早い!!このままじゃ洞窟が水没してしまう。服部とコナン君が危ない!!」
蘭「コナン君!!」
和葉「平次ぃぃぃ!!」
はじめ「早くダムを閉めないと、それに下のダムも開けないと」
美雪「下のダムの方にはゆきさんと良博さんと佐木君とフミちゃんが行ってくれてるわ!!」
はじめ「そうか、じゃあ急いでこっちのダムを閉めるんだ。」
怪盗紳士「まかせて!!」
しかし、時すでに遅く、洞窟は半分まで水没していた。

ドンドン
もうすでに18発の銃弾をよけていたコナンだが、洞窟に水が入ってきているのに気づき、0717の真正面に突っ込んでいった。
0717「どうした、血迷ったか!!」
それでもコナンは走っていった。

0717「死ねええええ!!」
カチッカチッ
0717「何っ!!」
銃は弾切れだった。
慌てて弾を再装填しようとする0717、しかしコナンはその隙を突いて持っていた石をキック力増強シューズでけった。
コナン「行っけぇぇぇぇぇぇっ!!」
0717「何!!」

しかし…
0717はそれを何とかかわし、弾を装填してしまった。
コナン「しまった!!」
0717はコナンをけとばした。
コナン「ぐっ」
0717「形勢逆転だね。コナン君」
0717がコナンを撃とうとしたその瞬間!!

パシュッ!!
どこからかトランプが飛んできた。
そのトランプによって0717の拳銃は弾き飛ばされた。

0717「誰だ!!」
そのとき、地面にささったトランプがポンと破裂し、ピンクの煙幕が立ち上った。
その煙がはれたところに、平次をかつぎ、サッカーボールをかかえた怪盗キッドの姿があった。
コナン「キッド!!」
0717「貴様!!」
キッド「どうした名探偵?こんなところで終わるのか?」
コナン「うるせえ、余計なお世話だ!!」
キッド「フッ、じゃあお世話ついでに、これやるよ。」
といってコナンにサッカーボールを渡した。

コナン「サンキュー」
0717「貴様らあああああああ」
0717は隠し持っていたナイフを振り回しながらコナン達に迫ってきた。
コナン「これでゲームオーバーだ!!行けええええええええ!!」

ドン
コナンのけったサッカーボールは0717に向かって飛んでいった。

0717「フン、こんなもの!!」
0717はまたよけようとしたが…
パシュ
キッドのトランプ銃のトランプが0717の顔をかすめ、0717は動きを止められてしまった。
0717「グッ、し、しまった!!」
ドガッ!!
サッカーボールが0717の腹部に命中した。
コナン「よしっ!!」
キッド「あまり喜んでるひまはないぜ、水がすぐそこまで迫ってる。こっちだ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
ダムの水が濁流となって棲龍洞窟に注ぎ込んでいた。
コナンとキッドは平次と0717を背負って洞窟の奥のもう1つの出口を目指していた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
そのころ下のダムでは…
フミ「はやくはやく」
佐木「い、急いでください!!」
良博「分かってる!!でも完全にあくまであと10分ぐらいかかるんだ。」

上のダムでは…
はじめ「はやく、はやく閉まれ!!」
和葉&蘭「完全に閉まるまではあと5分くらいよ。」
美雪「あれ?怪盗紳士は?」
はじめ「え?」
すでに怪盗紳士の姿は消えていた。
はじめ「怪盗紳士…」
美雪「はじめちゃん、背中…」
はじめ「え?」
そこには怪盗紳士からのメッセージが貼り付けられていた。

『次はこうはいかないわよ、名探偵君!! 怪盗紳士』

はじめ「サンキュー…怪盗紳士」
そしてようやく上のダムが閉まった。
しかしそのときには棲龍洞窟は完全に水没してしまっていた。
その5分後、下のダムが開放された。

そして、はじめ・美雪・佐木・フミ・蘭・ゆき・良博は洞窟の正面の岸に集まった。
和葉「平次ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
蘭「コナン君…」
佐木「大丈夫なんですか?完全に水没してますよ?」
佐木が撮影しながら言った。
良博「もう、だめかもしれない…」
和葉「そんな…うそや!!平次がそんな簡単に死ぬわけあらへん!!」
美雪「和葉ちゃん…」

そのとき…
コナン「蘭姉ちゃん!!」
蘭「え?」
いつのまにか彼らの後ろにコナンと怪盗キッドが立っていた。
そしてその背中には平次とニセ貴博の姿があった。
蘭「コナン君!!」
和葉「平次、平次!!」
平次「和葉…大丈夫や…」
和葉「平次…」

ピーポーピーポー…
彼らのもとにパトカーが近づいてきた。
キッド「さて、警察も到着したことだし、そろそろおいとましましょうか…」
コナン「おい、待てよキッド!!」
キッド「またな、名探偵!!」
キッドはそのままハンググライダーで飛び立っていった。
コナン「次は、絶対捕まえてやるぜ…またな、怪盗キッド…」
コナンはとてもやさしい顔で小さくつぶやいた。

<エンディングテーマ中(笑)>

コナン(のナレーション)
「その後、ニセ貴博と西沢 徹は到着した警察に逮捕された。
ニセ貴博は、自分はある組織の工作員でコードナンバー171番だと主張したが、彼が組織との連絡用に使っていた
という小屋はすでに炎上し、彼が言う組織の所在地にも何もなかったので、彼の妄想だろうということになった。
一方の西沢さんのほうは以前からエターナルブルーの秘密を知っており、その秘密が明るみにならないように守りたかった
らしい…。
ちなみに、しばらくの間姿をみせなかった良博さんは、貴博に睡眠薬をかがされていたらしい…。
拳銃で撃たれたおっちゃんと服部は、病院に搬送され、一命を取りとめた。
後日、例の洞窟に調査団が入ったが、岩の扉が閉じてしまっている上にエターナルブルーが流されてしまったらしく
中を調べることは出来なかったようだ。今後、あの遺跡が再び俺たちの目の前に姿を現すことはもうないのかもしれない。」




END


あとがき
いやー、完結しました。
それにしても10章はやはり長くなってしまいました。
通常の3倍くらいはあると思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

Gahal様の第3の予告状最終話
うおぉぉ(め_め)予想よりはるかに迫力のある結末・・・・・
それも期待通り怪盗紳士と怪盗キッドの活躍も見れて最高に良かったです♪
ほんとにすごいなあ・・・・(トリックも)
結局最後まで犯人が判らなかったのはわたしだけではないはずだ(爆) byあっきー

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