魔法少女 プリティ♪歩美……

マジカルモンスターに立ち向かうもう一人の魔法少女である。

いかにして歩美はプリティ♪歩美になったのか!

これは、プリティ♪歩美の最初の事件である。


魔法少女 マジカル☆哀 外伝
魔法少女プリティ♪歩美 誕生!!
作:探偵K様


「歩美ーー もうねる時間よーー」

「はーーい!」

パジャマに着替えていた歩美は元気よく返事をする。

女の子らしいかわいらしい部屋。机には赤いランドセルが置いてある。

「おやすみなさーーい」

歩美はベットにもぐりこむ。

たちまちすぐに歩美は寝息をたてた。

しばらく経った後、

「起きてくれ。起きるんだ」

その声に眠っていた歩美は目を覚ます。

「ん?だーれ?」

「わたしだ」

歩美が声のした方を見てみると空を飛ぶオオカミの姿

「ん〜。おやすみ」

「寝るなーー!!」

寝ぼけてまた眠りにつこうとした歩美にその生物は思わず叫んだ。

「なーにー?眠いよ〜」

歩美は、眠そうに目をこすっている。

「いや、まあ話しを聞いてくれ・・・」

その生物は、息をつくと話し始める。

「わたしの名前はフェンバル。魔法の国レインダムから来たのだ」

「まほーの国?れいんだむ?」

歩美はきょとんとする。

「そして君に魔法少女になってもらいに来たのだ」

「え〜!!まほーしょうじょ〜〜〜!!」

「ああ、驚いただろうがよく聞いてほしい・・・あの〜。おーい?」

フェンバルは、歩美に呼びかけた。

歩美の目は、すでに焦点があっていない。

魔法少女の言葉の持つ魔力にうっとりとして目を輝かせていたのだ。

(ま、魔法少女!・・・・女の子が憧れるものベスト3に入ってるじゃない!)

ちなみにベスト3とは、お嫁さん。お姫様。魔法少女である。・・・・本当か?

「ま、まあ。いいか。魔法少女をやってくれたら願い事をひとつなんでもかなえるぞ」

フェンバルのその言葉に歩美はいっきに現実世界に引き戻された。

「えっ!だったら、コナンくんのお嫁さんにして!」

「あ、ああ。や、やってくれたらな。」

いきなりお嫁さんにしてくれと頼む歩美にフェンバルはかろうじてそう答えた。

「やる!やるよ!わたしは、魔法少女プリティ♪歩美ね!」

「あ?プリティ♪歩美・・・って?」

とっくに名前まで決めたらしい。

「それじゃよろしくね♪フェンちゃん!おやすみ!」

「フェ、フェンちゃん?・・・・」

フェンバルが驚く間もなくベットにもぐりこんだ歩美は、またすぐに寝息を立てる。

「フェンちゃん・・・・」

歩美が寝ている中、電光石火のようにして決まった自分の呼び名について硬直しているフェンバル


こうしてプリティ♪歩美は誕生したのだった。なんか情けないぞ。フェンバル・・・・



「遊びに行ってきまーす!」

「早めに帰ってくるのよ!」

「はーい!」

歩美は、母親に返事をすると家を出た。

「まだ信じられないよー。夢じゃないかなあって思ってたのに」

「まあそうだろう。」

歩美とフェンバルが道路をいっしょになって歩いている。

今朝起きたときは夢ではないかと思ってしまった歩美だったが、そばにフェンバルがいたので夢ではないとわかったのだ。

「それでまほーしょーじょってなにをやるの?」

目的も聞かないままO.Kしてしまった歩美は、魔法少女の目的について聞く。

「魔法少女の目的は、マジカルモンスターを退治する事なのだ。」

「まじかるもんすたあ?」

「そう!それが!とあるバカのせいでマジカルモンスターがレインダムから逃げてしまったのだ!」

ファンバルはいらだった様子で、大きな声をあげた。

「ま、まあ。それはこっちの話しなのだが・・・まあそういうことだ」

ハッとすると、フェンバルは、とりつくろうように言う。

「そのマジカルモンスターっていうのを退治すればいいのね!そうすれば・・・」

ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜

歩美の目が夢心地になっている。どうやらまた空想の世界に入り込んだようだ。

「歩美〜。お〜い!・・・またか・・・」

呼びかけても返事が帰ってこない歩美にフェンバルはがっくりと肩を落としたのだった。



米花公園へと来た歩美とフェンバルだったが、そこには誰もいなかった。

「まだ誰も来てないみたい」

コナンたちと今日は米花公園で遊ぼうと約束したのだが歩美が一番早く来たようだ。

「つまんない」

歩美は退屈そうにつぶやいた。

バリバリバリ!!

その時、突如プラズマのような音があたりに響き渡った!!

何もない空間からマジカルモンスターが現われる!!

「ヘルハウンド!」

「あれって学校に出たよ〜」

歩美はヘルハウンドの姿を見て指を指す。双頭の犬がそこにいた。

「歩美!プ、プリティ♪歩美に変身だ!」

フェンバルは、名前を言うのに妙な照れが出てしまう。

こういうのには慣れていないらしい。ヒョウちゃんとは大違いだ。

「うん!わかったあ!」

元気よく返事した歩美だったが、

「で、どうやるの?」

ズル!!

「ほ、ほら。この魔法のステッキを持って『レイ、プリティ、ラインド、リリューション!』って言うんだ。」

フェンバルは、なんとか立ち直るとプリティステッキを渡した。

「うん!レイ!プリティ!ラインド!リリューション!!」

魔法のステッキを持ち呪文を唱える歩美

七色の光が歩美を包み込んだ!!

「魔法少女 プリティ♪歩美ーー(はぁと)」

変身が終わった時には、高校生の歩美の姿があった。プリティ♪歩美だ。

「うわあ!すっごーい!」

歩美は成長した自分をあちこちと触っている。

「よし!マジカル・モンスターを退治するぞ!プリティ♪歩美!」

「よーし!がんばる!」

そして、プリティ♪歩美とフェンバルは飛び立っていった。



ちなみにヒョウちゃんにも、このことについて連絡が入っていたのだが・・・

ピーピーピー!

「くーー。すーー。ぴーー。」

呼び出し音が鳴っている中、ヒョウちゃんは眠りの中にいたのだった・・・



ヘルハウンドの近くへと来たプリティ♪歩美とフェンバル

ガルルルルルルル!!

歩美に向かってヘルハウンドは唸り声をあげる!

「こ、こわいよー!」

「だけど退治しなきゃならないんだぞ」

「で、でも〜〜!」

ヘルハウンドに怯えるプリティ♪歩美

普通の犬でも恐ろしく感じるのにそれがもっと巨大な犬なのだ。

犬に対する恐怖感で歩美の足がすくむ。

ヘルハウンドは、歩美に向かって姿勢を低くし口を大きく開けて威嚇の体勢を取っていた。

「ふえーーーーーーーーーん!!」

「お、おい!!」

プリティ♪歩美は逃げ出した!

「お、追いかけてくるーーーー!!」

ヘルハウンドがプリティ♪歩美の後を追いかける。

逃げる。追いかける。逃げる。追いかける。その繰り返しだ。

「もうやだ〜〜〜〜〜〜!!」

あまりの恐怖に歩美の目に涙があふれていた。

ヘルハウンドは次第に歩美に追いついてきている!!

ウオオオオオオオオン!

咆哮が轟き渡る。襲い掛かろうとしていたヘルハウンドはビクッとして止まった。

ヘルハウンドを脅えさせるほどの咆哮を出したのはフェンバルだった。

フェンバルがヘルハウンドに立ちはだかっている。

「動くな・・・動けばただではおかない!」

フェンバルの体から気みたいなものが放出されている。ヘルハウンドは完全に圧倒されていた。

ちょっとのぬいぐるみほどの大きさのフェンバルが百倍以上大きいヘルハウンドを威圧している。それは奇妙な光景だった。

オオカミとイヌ。姿形は似ているが、その格は全く違うのだ。

ウオオオオオオン!

「くっ!」

吠えると同時にヘルハウンドが飛び掛かってくる。フェンバルはヘルハウンドのその鋭い爪から逃れた。

「逆効果だったか・・・」

一度は威圧に成功したが、恐怖のあまりヘルハウンドは我を忘れてしまったらしい。

「まあ時間がかせげたからいいとしよう」

すでに歩美は逃げてしまって姿が見えない。うまく逃げられたようだ。

目を閉じてフェンバルは集中する。

フェンバルの姿がその場からかき消えた。



歩美は公園の草むらの陰に隠れていた。

体ががたがたと震えている。その背中はひどく小さく見えた。

「こんなところにいたのか」

歩美のところにきたフェンバルが呼びかける。

「なんとかヘルハウンドを退治しないと」

「やだ!やだ!やだ〜〜〜〜〜〜!!」

歩美はまるでだだっこのように・・・と言うかだだっ子そのままである。

それほどヘルハウンドが恐かったらしい。

「・・・わかった。もうやらなくていい」

フェンバルはため息をついた。仕方ないと思っている表情だ。

「だいたい、願い事をエサにしてやらせるという方が間違ってるんだ」

「願い事・・・」

歩美が願い事という言葉にピクリと反応する。

「契約を解除しよう。ヘルハウンドならこっちでなんとか・・・ん?」

優しく歩美に話し掛けていたフェンバルは、急に悪寒を感じて後ろを振り返る。

歩美とフェンバルのすぐ背後にはヘルハウンドがいたのだ!!

「しまった!ヘルハウンドの嗅覚を忘れていた!!」

元々犬は嗅覚が鋭い。人間の数万倍の嗅覚を誇っている。

ヘルハウンドはそれに加え魔力を嗅ぎ分ける能力を持っているのだ。

麻薬捜査犬のように魔法捜査犬として使われているぐらいである。

魔法少女プリティ♪歩美の法衣やフェンバルの魔力を嗅ぎつけたのだ。

歩美にヘルハウンドが飛び掛かっていった!

「えーい!」

ばちこ〜ん!!

歩美は持っていたプリティステッキを振りまわしヘルハウンドの鼻にぶち当てた。

さすがにこれはこたえたようでヘルハウンドは、キャインキャインと鳴きながらぐるぐる走り回っている。

「コナンくんのお嫁さんになるためがんばるんだから〜〜〜〜!!」

恋する乙女の一念強し!である。

「それでこれからどうするの!フェンちゃん!」

「歩美!プリティ、ハート,イリュージョンだ!」

フェンバルが、叫んだ!

「わかったあ!・・・・プリティ!ハート!」

歩美の体が自然に動き、呪文を唱え始める。

「イリュージョン!!」

呪文を唱え終わると同時に歩美はステッキを振った!

ちゅどーん!

七色の光線によってヘルハウンドは倒れていった。

「やったあ!!」

「よし、あとはその指輪をヘルハウンドに向ければO.Kだ」

いつのまにかおもちゃのような指輪が手につけられている。

ちなみに可愛いハート型♪

歩美が指輪をヘルハウンドに向けるとヘルハウンドはその中へと吸い込まれていった。

「ねえ?これでいいの?」

「ああ。これでいい。よし!行くぞ!プリティ♪歩美!」

こうしてヘルハウンドを退治したプリティ♪歩美とフェンバルは立ち去っていった。



「これでコナンくんのお嫁さんになれるのね♪」

「いや まだまだだ」

「えー!まだなのーー!!」

歩美が不満のこもった声で叫んだ。

「そうだ!あのあいつに勝たないとなあ!!」

「あいつ?」

「あ。いや、な、何でもない」

どこかの誰かさんに対抗意識を燃やしたフェンバルだったが、歩美の一言で我に返った。

どうもフェンバルは、どこかの誰かさんのことになると我を忘れるようである。

「よーし!」

プリティ♪歩美はステッキを持ち直すと、

「プリティ、キュートな魔法少女!魔法少女プリティ♪歩美ーーーー!!」

くるっと一回転してポーズを決めた。



「歩美のやつおせえなあ」

「そうですね〜」

元太と光彦がぼやいた。

みんなはすでに待ち合わせ場所で歩美を待っている。

約束を忘れてしまった歩美が思い出したのはその一時間後であった。

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探偵K様あとがき

こうしてプリティ♪歩美の最初の事件は終わった。

この後、もう一人の魔法少女マジカル☆哀と出会うことになるのだが・・・

まあその結果は読者も知ってのとおりである。

魔法少女プリティ♪歩美の活躍は続く!


ぶふっ(笑)なんともフェンバルに同情を・・・←おいおい
シリアスに見えてもやっぱりヒョウちゃんとそっくりなフェンバルがあっきーは好きです♪
ええ、歩美ちゃんかわいいです・・・・(爆)
あ・・・もしかして、魔法少女になった理由って哀ちゃんと同じじゃ・・・・・(爆死)byあっきー


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