まおちゃん&あっきー合作小説漫画
王家の指輪に秘められた恋物語
<中編>
作:まお様 漫画:あっきー
ー東京ー
「ええ?!新一がっ!?」
今しがた電話を受け取った蘭は、やはり驚きを隠せない様子だ。
『やっぱ知らんかったん??電話してよかったわー。
ほな、事件が片付いたら工藤君に蘭ちゃん家に向かうように言っとくな!』
「・・・ありがとう。和葉ちゃん・・・。でも新一に伝えなくていいわ・・」
『へ・・?伝えなくていいって・・・。工藤君に蘭ちゃん家に行くようにいわんでいいってこと!?なんで!?』
「・・・私が今からハワイに向かうからよ・・」
『え・・・・えええ!?』
女は怒らせると怖いのである・・・。
それから蘭は出国の準備を整え始めた。
あわただしく荷造りする蘭を不思議に思ったコナンが声をかけた。
「・・蘭ねーちゃん、どこかいくの・・?」
「・・ええ・・。ちょっとハワイにね・・」
「・・ハワイ!?何で!?僕たち聞いてないよね!?そんなこと!」
「あ・・・うん・・。ちょっと・・ね・・。ゴメンね突然。
ご飯はお父さんと何か頼んで食べてくれる?1日で帰ると思うから・・」
「う・・・うん・・。わかった・・」
「あ、急の連絡の時はハワイの新一の別荘に連絡頂戴ね!」
(確か和葉ちゃんの話じゃ、あの二人今日は新一の別荘に泊まるって話てたのを聞いたって言ってたし・・)
「へ!?オレの・・じゃなくて新一兄ちゃんの別荘にいくの!?」
(なんで!?)
コナンがそう問いかけたときには、蘭は玄関のドアをあけて出かけていってしまった。
ーハワイー
静寂があたりをつつみこむ、ハワイ市立美術館。
沈黙。
これほど今の場にふさわしい言葉は他に見当たらない。
KIDの予告時間まであと・・・
30秒ー
警察官たちに、新一、平次はそれぞれの守備位置に立っていた。
予告時間まであと・・・
15秒ー
一瞬にして緊張感が回りをつつむ。
あと・・・
0秒ー
ガッシャーン!!!
予告時刻ピッタリに、天窓の割れる音とともに煙幕が周りを覆っていった。
『怪盗KIDだ!!天窓から侵入し、煙幕で我々のかく乱をよんでいる模様!!』
警察官の一人が叫んだ。
バキッ!!
どこからか、何かをなぐる鈍い音が聞こえた。
それから3分後。煙幕は消え、KIDと指輪も消えていた。
「・・工藤・・これ、ごっついおかしいで・・」
「ああ・・・。」
『い・・いてて』
ひとりの警察官がほほをおさえ、たおれこんでいる。
鼻からはすこし流血しているようで、同僚の警察官も心配そうにのぞきこんでいる。
『どうしたんですか?』
新一が英語でその警察官に話し掛けた。
『それが、煙幕がまわりをつつみこんだとき、指輪は死守しようとおもって指輪を展示してあるケースに自分が覆い被さるようにしたんだよ・・。
でもKIDにおもいっきり顔をなぐられちゃって・・そのままふっとばされて指輪はとられちゃった・・ってワケさ・・ハハハハ』
「「!!」」
その話を聞いた新一と平次はお互いの顔を見合った。
「じゃぁさっきの鈍い音はこの人がキッドに殴られた音・・。にしても妙だな・・。
服部。天窓のガラスを割って侵入したうえに、警官を殴るなんて・・。やつらしくねぇ」
「ああ・・・。こらなんかあるんちゃうんかな・・・」
『とりあえず鑑識をまわせ!!』
それから10分後、鑑識班がやってきた。
『指紋がでました!!』
鑑識班の一人が、指輪が保管されていたケースからキッドのものと思われる指紋を採取した。
「な・・なんやてぇっ!?キッドが現場に痕跡を残すようなへまをするやなんて・・・どうゆうこっちゃ!?」
『その指紋の痕跡・・みせてくださいっ!』
平次が開いた口がふさがらない、という状況のなか新一も戸惑いながらもその指紋をみせてもらった。
『このケースの角のほう・・ホラ。ここですよ。』
鑑識班の一人が指紋の跡を指さしてみせた。なにやら指先の方の指紋しか残っていないようだが・・。
『多分、手袋の指先の方にほんのすこし穴があいていたんでしょうね。
指紋は指先できれているので、そうだと思いますよ。』
「な・・あのキッドがそんなヘマを・・!?」
新一も驚きを隠せないでいた。
『とりあえず、過去の犯罪者記録の中からこの指紋と一致するものがあるかどうか探してみますよ。まぁないでしょうがね。』
警察官がそう苦笑いをしながら言った。
「はは・・。みつかるはずないやろ・・」
平次も動揺しながらもそう自分をなだめるようにいったのだった。
ーが。
ーその日の晩ー
ここは工藤家のハワイの別荘。
平次や新一はここで寝泊りすることにしていた。
プルルルルル♪プルルルルル♪
『はい、もしもし』
電話がなり、新一が受話器を取った。すると新一の顔がみるみる険しくなっていく。
『・・・なんですって!!はい、はい、分かりました!今すぐ行きます!』
新一はなにやら慌てるようにして電話を切った。尋常じゃない新一の様子に平次も驚きながら話し掛ける。
「な・・んや、どないしてん。工藤。電話誰からやったんや?」
「・・・警察の人からだよ。キッドの身元があの指紋から割れたんだとよ!」
「なんやてぇぇ!?じゃぁ、過去の犯罪記録からでてきたっちゅーことやろ??
じゃぁキッドはここハワイで何か犯罪をおかしとったっちゅーことか!?」
「・・いや、違うよ。灯台下暗し・・。あの賢いキッドのことだから、遠くに逃げずに美術館の近くにいるんじゃないかって事になったらしくて、まわりの住民の人に協力してもらって、一人ずつ指紋とったらしいんだよ。そしたら・・・・ヒットしたんだとよ・・」
「ハ・・ハハ・・、そんなアホな・・」
「とりあえず警察署に行くぞ!!」
二人は工藤家の別荘をあとにした。
ーハワイ警察署ー
『コイツですよ』
新一達が警察署につくなり、一人の警察官がある男に手錠をかけたまま新一達の前に座らせた。
その男がキッドだというのだ。
見るとその男はヒョロっとしていて、目もおじけついたようにおどおどしていた。
これが本当にあのキッドなのか・・?
『どーも、こんにちは・・。怪盗キッドさん・・・?』
平次がすわった目で犯人に英語で問い掛ける。
『・・・・』
犯人はおびえているようで返事をしない。
『お前・・・・いいかげんにせいや。アンタ、本物のキッドやないな?』
その平次の発言に新一以外、まわりのものは動揺を隠せないように、少し騒ぎ始めた。
『今のうちに正直に全部言うべきだぜ。じゃねーと、今までの本物のキッドが犯した罪を、お前一人で全部背負わなきゃならないハメになるんだぞ?』
新一がそうその男に言うと、男はさらにびくつき少し震えながら少しずつ口を開き始めた。
『オ・・・オレは・・ただ・・たんに・・・キッ、キッドの・・・FANだったんだ!だ・・・だから!・・ちょっとキッドのまねをして・・みようと・・・お、思っただけだよっ!』
平次は脱力というかんじで床に座り込んでしまった。
「なーんや、やっぱ今回はこの偽キッドの犯行やったっちゅーことか・・。
キッドの正体がわからんくってホっとしたような、残念なような、妙な気分やわー、なぁ・・工藤?」
そう言って平次が新一をの方を見ると、新一はまだなにやら考え込んでいるようで険しい顔をしていた。
「どうしたんや・・?工藤」
「お前・・・。キッドからもらった予告状、今もってっか?」
「もっとるけど・・お前の別荘においてきてしもうたわ・・」
「んじゃ、別荘に戻るぞ」
「・・はぁ?」
ー工藤家の別荘ー
「ったく、ホラ、工藤!」
平次がぶっきらぼうに新一にキッドの予告状を渡した。
予告状を受け取った新一はしばらくそれをマジマジと見てから、何か納得したようにため息をひとつもらした。
「服部・・・。事件はまだおわっちゃいねぇぜ。」
「な・・・なんやてぇ?!」
「だってよく考えてみろ。服部。今まで警察は予告状の内容はマスコミに流しても、
その文面や、どんな紙にかかれていたかは発表していなかっただろ・・・?
なのに、オレの所に送りつけられてきた予告状、そしてお前のところに送りつけられてきたこの予告状・・・。
コレ、いつものどうりの本物のキッドが書く予告状そのまんまだ・・。つまり・・」
「これらの予告状は本物がおくりつけてきよったっちゅーこっちゃ!?」
平次も納得したらしい。
「ああ・・。つまり、本物のキッドによる事件が・・これから起こる可能性があるっつーことだよ・・」
新一がそう平次に話した直後だった。
ピーンポーン
玄関のチャイムがなった。
「あ、わりぃ、服部。でてくんねぇか?オレ今からこのこと警察の人に電話で話すから」
「ったく、しゃーないなぁ。」
平次はそういって少し遠い玄関までいった。
「はいはい、どちらさーん?」
ここはハワイだというのに、バリバリの日本語、しかも関西弁で客を迎える服部平次(17)
しかしドアをあけた瞬間、平次は固まってしまった。なぜなら・・
「・・あら、服部君!」
そこに、工藤新一の幼なじみで同級生の毛利蘭が立っていたのだから。
「も・・も・・も・・毛利のねぇちゃん・・こ・・こんなとこまできて・・ど・・ど・・ど・・どないしたんや!??」
冷や汗を大量に流しながらも平常心を保とうとしている服部平次(17)
「新一、ここにいるんでしょ?入らせてもらうわよ?」
蘭が鋭い目でそう平次に言った。平次はさらに固まってしまったがフと我に返って蘭を必死に止めた。
「ちょぉ、待って!い・・い・・いま、アイツはここには、お・・おらんて!」
平次はそういって、自分の顔が少し覗く程度になるまで玄関のドアを閉めた。
「ウソよ!和葉ちゃんが服部君と新一がいるとこ、ちゃんと見てたんだからっ!」
「和葉がぁっ!?」
その一言で一瞬ひるんでしまったか、一瞬のすきをつかれた平次は蘭によってドアを全開に開かれて中に入られてしまった。
「新一っ!!出てきなさいよっ!!」
平次が止めるヒマもなく蘭はズカズカと家の中にはいっていく。
(だぁぁぁっ!すまん!工藤ぉ!!)
平次は必死に心の中で新一に謝った・・。のだが・・。
「あれ?」
蘭が不思議そうにそうつぶやいた。
「新一がいない・・・」
「へ・・?」
平次もびっくりして部屋を見回してみるが確かに新一の姿がみあたらない。
蘭の声を聞いてどこかににげてしまったのだろうか?
そのとき・・。
プルルルルル♪プルルルルル♪
電話がまた鳴った。直感で新一だと思ったのか、蘭が受話器をとった。
「はい!!」
『あ・・蘭?』
やはり電話の相手は新一である。
「ちょっとぉ!今どこよ!こそこそ逃げるなんて酷いじゃないっ!今すぐでてきなさいよっ!」
『今どこ・・って・・日本にきまってんじゃねーか?おまえこそ何でオレの別荘にいんだよ?
おめぇの家に電話したらあのめがねのボウズが蘭はオレのハワイの別荘に行ったっつーもんだからよぉ・・。』
(ったく、突然オレの別荘に行くとか言い出しやがって・・ホントに別荘にいるし・・。何やってんだぁ?こいつ・・)
「なにいってるの?新一こそハワイで服部君と事件の調査してたんじゃないの?」
『・・はぁ・・!?』
なにやら電話の相手は新一だろうことは平次にもわかった。
しかし、蘭の様子からして二人の会話がかみ合ってないらしい。
「どうしたんや?ねぇちゃん・・?」
「それが・・新一、ハワイになんていってないって言い張るのよ・・。
でもさっきまで一緒にいたんだよね?!服部君?!」
「へ・・?!ちょぉ、電話貸してくれっ!」
蘭が平次に受話器を渡した。
「おい、工藤、もう観念して出てきたらどうや?
ハワイまで毛利のねぇちゃんお前を追っかけてきてんから会ってやれや」
『おいっ!何で服部までそこにいんだよっ!?』
「・・はぁ?!何いうてんねん!お前が捜査には時間かかるからオレの別荘で寝泊りしろいうたんやろ!?」
電話の相手が蘭から平次にかわったので、受話器の向こうのコナンは変声機をはずしてはなし始めた。
『捜査って何の捜査だよ!?』
「何ねぼけたこというてんねん!さっきまでハワイでキッドの捜査に一緒に・・ってお前・・。なんや、また体が小学生にもどってしもうたんか?声がなんや高いで??」
平次が蘭には聞こえないように小声でそう言った。
『はぁ!?さっきからおめーは意味わかんねぇことばっか言ってんなぁ。
オレはずぅっと!小学生のまんまで高校生の姿になんて最近もどってねーぞ?
それにオレはずっと日本にいたし、おめぇとハワイで事件の調査なんてやってねーじゃねーか?
寝ぼけてんのそっちじゃねーのかぁ?』
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