グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜1
ザ・ドクター様


 
  夏のある日。1人の少女が毛利探偵事務所を訪れた。

 「ここね………蘭の居るところは………」

 その少女は長髪だった。長い髪を首のところで束ねていた。そして スラリとした長身。
 少女が毛利探偵事務所のドアを開けたその時だった。
 中から灰皿が飛んできたのは。灰皿と その中身が少女めがけて襲いかかってきた。
 それを少女は上半身の動きだけでかわした。身体を反らし 身体を上下左右に捻り………。
 最後に 灰皿を掴み取った。
 「パシィッ」
 少女は一言呟いた。

 「……お返しよ 蘭!!」
 その声と同時に蘭めがけて灰皿を投げつけた。灰皿が勢いよく蘭の脳天に襲いかかる。
 次の瞬間 蘭が放った。右の後ろ廻し蹴り。蘭のそれの前に灰皿は叩き落とされた。
 「ドカァッ」
 それを見た少女は拍手をした。
 「パチパチパチ…………腕は衰えていないようね 蘭……」
 その少女を見た蘭は目をパチクリさせて言った。
 「……あ……あの……どちら様でしたっけ?」
 その時 平次が叫んだ。部屋の隅っこでボロボロになっている平次が。
 「……か 空手界に現れた新星!九篠 麗華(くじょう・れいか)やないか!!?」
 「九篠…………」
 そう呟いた蘭の頭に1人の少女の顔が浮かんだ。

 5年前 激闘を繰り広げた九篠 麗華という少女のことを。
 「えー?ウソォ!!? あの九篠ォォ!!?本当に久しぶりね―――――?」
 ボロボロになった平次を無視して会話が進められている。何故か平次が哀れだ。
 「……で 何の用?お父さんなら居ないわよ」
 「そうだよー今日も競馬場に行くって言ってたし……」
 麗華の前に1人の少年がちょこんと姿を現した。江戸川コナンだ。
 「ねー 蘭 姉ちゃん このお姉さん?前 互角の激闘を繰り広げた麗華というお姉さんって?」
 「そうよ コナンくん 本当に変わったわね 麗華………」
 「今日は貴方に用があって来たのよ」
 そう言いながら麗華は鞄から一通の封筒を出して言った。
 「エクストリームスペシャル2000………出てみる気無い?」
 「エクストリームスペシャル2000!!?」
 「………それって………確か……蘭 姉ちゃん……」
 「オレが説明しよう!」
 そう言いながら平次がスックと立ち上がった。
 「エクストリームとは!!」
 「噛みつき 金的 目潰しは禁止。無論 武器の使用は一切認めない。今まで修行して来た技の全てが認められる。」
 「倒れた相手に攻撃を加えない。時間は無制限。勝敗の判定は審判に委ねることとする」
 「………言うなれば 女だけのK−1や……それも過激な……な……」
 「せやが エクストリームスペシャルでは このルールが排除されるんや!!」
 「つまり…………武器の使用以外 一切の制限無し!!!!!」
 「……………!!」
 蘭は驚きの表情を隠せなかった。それと同時に思っていた。
 (そんなに凄いルールになるなんて………そのルールの中で この女と……麗華と闘いたい………!もう一度………!!)
 「………そして 出場選手も既に決まっているわ………貴女以外はね………」
 そう言いながら麗華が蘭を指さした。
 「他の出場選手………?」
 「あぁ……エクストリームスペシャル2000に出れる者は全部で8人………その1人がこのアタシ……」
 そう言いながら麗華は自分を親指で指さした。
 「誰よ?残りの6人は!!?」
 蘭が身を乗り出してそう言うと麗華は言葉を続ける。

 「まず『プロレス界の荒獅子』北斗 晶(ほくと・あきら)!!」
 「『シドニー金間違いなしの天才柔道少女!!』藤堂 茜(とうどう・あかね)!!」
 「『薄幸の達人』柔術の女王・紅 栞(くれない・しおり)!!」
 「『現れた若き天才格闘少女!』松原 葵(まつばら・あおい)!!」
 「『世紀末の女横綱』新相撲 佐伯 純(さえき・じゅん)!!」
 「そして『格闘の女王!!』前年度エクストリームチャンピオン!!来栖川 綾香(くるすがわ・あやか)!!」
 「あ………あの来栖川も出るんか!!!?」
 平次がそう叫んだ。

 「知っているの?服部くん!!?」
 蘭がそう尋ねると 平次は呟いた。
 「………あぁ………来栖川……来栖川電工の長女や……そして その格闘技術は計り知れへん!!」
 「……しかし……工藤のねーちゃん……自分なら 勝てるかも知れへん………あの女王に………!!」
 「あの女王は負けたことが一度もあらへん………つまり 敗北を知らへん………!!」
 平次のその言葉を聞いた蘭は拳を握りしめながら思っていた。
 「……面白いわね………参加するわ 麗華……もし 当たったら良い闘いをしましょう」
 「えぇ………」
 そう言いながら2人は 「がしっ」と握手を交わした。健闘を誓い合う握手――――……。

 数日後。来栖川電工にて。
 綾香はシャワーを浴びていた。シャワーが身体に当たる音が部屋の向こうからしてきている。
 「シャ――――………」
 その後ろに1人の少女が居た。その少女は大人しかった。とてつもなく内気と言い換えて良いだろうか。
 その少女は胸に書類を抱えていた。
 「なぁに?姉さん?」
 「なに?もしかして 例のモノが届いたの?」
 「………(こくこく)」
 姉さん。そう呼ばれた少女は首を縦に振っていた。この少女の名を来栖川 芹香。綾香の実姉である。
 「………分かったわ そこに置いておいて」
 綾香がそう言った。それを聞いた芹香は脱衣場に書類を置いて立ち去った。
 「…………ふぅ………」
 少女は長い髪をなびかせながら脱衣場を出た。
 少女の髪は薄い蒼。そして 腰まで伸ばしていた。そして 身体を拭き 上にガウンを羽織ると椅子に座った。
 この少女が綾香。女王と呼ばれる来栖川綾香だ。
 「……そう言えば 書類が届いていたわね……」
 思い出したようにそう言うと綾香はすっくと立ち上がって書類を取り また座った。
 書類を取り出し 見る。
 「……やっぱりあのトーナメント関係だわ……今回はどんな人が参加するのかしら?」
 「……北斗 晶……藤堂 茜……紅 栞……佐伯 純………なるほど 凄いメンバーね………」
 そして 綾香はもう1枚の書類に目を移したと同時に驚いた。そこには こう書かれていたからだ。
 
 尚 下記の3名を大会本部推薦選手とする。
 松原 葵。
 九篠 麗華。
 毛利 蘭。
 ……………以上。
 と。

 「へぇ………この3人も……?でもこの2人って5年程前 伝説の闘いをした人達じゃないのぉ?」
 「その人達も出て来るとは……面白くなって来たわね………でも 優勝は渡さないわよ」
 綾香のその目は優勝への野望にギラついていた。
 そして 抽選の日を迎える。この日 選手全員が一同に集結する……………!!



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おわっやってきまたトーナメント戦!!!ザ・ドクター様の格闘小説第2弾♪ありがとー!!
蘭ちゃんが推薦されてる・・・まあ当然と言えば当然のような・・・(爆)
ザ・ドクター様の新シリーズ「グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜」スタート!!!
すかっとする蘭ちゃんの活躍が見たい!!(笑) byあっきー

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