グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜12
ザ・ドクター様



 一回戦第2試合。
 空手VS相撲。現実に こんな闘いがあっただろうか。いや 無い。
 現実的に言えば こんな闘いはまずムリである。相撲協会は事の他 他流試合を禁じている。
 その証拠に現役の力士と他の格闘技の他流試合など見たことが無いだろう。
 そんな闘いが 今 ここに実現するのである。

 控室。大相撲・佐伯純が着替えていた。そこに1人の男性がやってきた。
 そう。好色の達人。女好きである名探偵・毛利小五郎。しかし キメる時はキメる。
 「お〜い 蘭!頑張っているかぁぁ〜?」
 そう言いながらドアを開けた小五郎。しかし そこで着替えている純と鉢合わせしてしまった。
 次の瞬間 純はダッシュし 瞬時に小五郎まで迫る。
 「ヒ……ッッ」
 純のブチかましが小五郎を襲った。
 「ドカァッ」
 「ズダ―――――ン」
 そのまま 背後の壁に激突した小五郎。
 次の瞬間 純の張り手。張り手。張り手。容赦ない張り手。それが 小五郎の顔を連続して叩く。
 そこに シャワールームから戻った蘭がやって来た。
 蘭が見たモノはボロボロになった小五郎の姿であった。
 「ら…………蘭〜〜〜………」
 息も絶え絶えだ。
 普通のきゃらだったらここで敵を討ちに行くだろう。しかし 蘭はそうしなかった。
 「もう………お父さん……また覗いたんでしょう?覗く時は相手に気をつけないとそう言う風にされるわよ」
 小五郎の性格を分かっている。
 「うちのお父さんが覗いたようで どうもすみません」
 そう言って頭を下げた。

 闘技場。闘技場に毛利 小五郎が姿を現した。
 と 同時に観客達がざわめき始める。
 「小五郎だッ」
 「毛利 蘭の父親だ」
 「眠れる名探偵と呼ばれる毛利 小五郎………」
 「幾多の事件を解決してきた男………」
 「頭 よ・さ・そ〜〜〜……」
 「でも 何でボロボロになっているんだ?」
 「わっかんねぇ〜〜………」
 「まさか どこかを覗いて誰かに殴られたとか?」
 図星であった。

 「邪魔するぜ」
 小五郎はそう言って 来栖川 猛……綾香の父の元に歩み寄った。
 「邪魔するぜ」で一応は格好を付けているつもりなのだろうが ボロボロなので格好が付かない。
 「オッ 小五郎 こっちだ こっち」
 猛が小五郎を先導し 席に座らせた。

 「オィオィ あのオッサンも来たで コナンッ」
 平次がコナンにそう言った。
 「やっぱりね………あの人のことだから 来るとは思っていたけど………」
 「せやな でも なんでボロボロなんや?」
 (………どーせ また控室 覗いたんだろうな………で見つかってボコボコにされたんだな………)
 コナンの考えは正解であった。

 小五郎は勧められた椅子に持たれるようにして腰掛けた。
 「キシィ…………」
 椅子が軋みの音を立てた。
 「どうだい 小五郎……例え 小五郎といえどもこの大会の優勝者は予測できまい」
 猛が小五郎にそう語りかけると 小五郎はにぃっと笑って言った。
 「優勝者は決まっているぜ 猛 0パーセントな」

 自信たっぷりにそう言い放つ小五郎。しかし 0パーセント?0パーセントって…………?
 結局は小五郎にも分かっていないのである。
 敢えて 「優勝者は決まっているぜ 猛 0パーセントな」と言ったのは ズバリ 格好を付けたいがためである。

 そして 新相撲・佐伯 純が 闘技場に姿を現した。
 ズボンを履き その上にマワシを締め 上にはTシャツを着ていた。

 闘技場への通路。
 「麗華 頑張ってよ」
 蘭が麗華にそう言った。
 「あぁ………絶対に負けねぇよ なんてったって アンタには借りがあるんだからよ」
 「この試合に勝って その借りを返すさ」
 「………対戦相手は 新相撲横綱………しかし こーゆーのこそが美味しいんだよな」
 そう言いながら 麗華はニヤリと笑った。自信溢れる笑みだ。
 それを見た蘭は思っていた。
 (………間違いない……麗華は………麗華は勝つわ……)

 『赤コーナー 九篠 麗華 空手!!!』
 そうコールされたと同時に 麗華は叫ぶ。
 「応ッッッ」
 『現れましたァ――――――――――ッ 九篠 麗華ですッ』
 『空手界の新星 九篠 麗華が闘技場へ降り立ちましたァァァ』
 『対するは現役の横綱だ―――――ッ』
 そして 純が高々と右脚をあげ そこから勢いよく踏み下ろす。
 「ズンッ」
 そのパフォーマンスで 観客達が沸いた。

 「両者中央ッッ」
 審判がそう叫び 両者が中央に集まった。
 「武器の使用以外 一切を認めますッ 両者元の位置へッッ」

 佐伯 純(新相撲)
 189cm 93kg
 パワー:7 スピード:2 ディフェンス:2 テクニック:7 ????:4

 九篠 麗華(空手)
 164cm 58kg
 パワー:6 スピード:7 ディフェンス:6 テクニック:7 ????:7

 しかし 両者 動かなかった。純は麗華を見下ろし 麗華は純を見上げていた。
 両雄 動かず 睨み合っていた。
 そして 審判に幾度も促され 両者とも元の位置に戻った。
 
 コナンは呟いた。
 「平次お兄ちゃん 麗華お姉ちゃんにチャンスはあるの?」
 それを聞いた平次は鼻の頭をポリポリと掻きながら言った。
 「ン〜〜〜………相撲ってモノァ 様式美に染まりまくっとるんやけどなぁ………」
 「強ぇぇんや あれでなかなか………」

 猛は先日の佐伯 純との会話を思い出していた。
 「横綱が負けたら赤っ恥だぞ」
 「………大丈夫です………」
 「相撲は踊りじゃないですから…………格闘技ですから………」

 審判が叫んだ。
 「始めぃ!!!!」
 と 同時に 純がダッシュ。1発目の張り手を放つ。それを 麗華は辛うじて避けた。
 しかし 2発目の張り手が 麗華の顔をまともに捕らえた。
 「バシィィィッ」
 「ドガッシャァッ」
 その衝撃で そのまま麗華はフェンスに激突した――――――――――………。




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ザ・ドクター様の格闘小説12話
勝ち進んだ蘭が声援を贈る相手。九篠麗華。
前回のストーリーで蘭と互角の闘いをした相手。さてさてどうなる〜
にしてもおっちゃん・・・あいかわらずやなあ・・・(;^_^A by あっきー

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