グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜13
ザ・ドクター様



 「ドカァッ」
 純の張り手を喰らった麗華はフェンスに激突した。そして そこめがけて 純がブチかましを浴びせる。
 「ドコォッ」
 麗華は跳んでかわしていた。用心のために純との距離を徐々に取る。
 「ツ……ツツツ………ツ………」
 少しずつ。少しずつ。言葉の通り 徐々に…………。
 が 次の瞬間 ダッシュ………!!麗華がダッシュした。
 純へ一直線のダッシュ。一撃でしとめようとする麗華めがけて張り手が飛んできた。
 しかし 麗華はそれをかわし 突く。突く。突く。
 突きの連続。しかし…………………!!捌かれている。麗華の突きが2本の腕で捌かれている。

 平次は呟いた。
 「……凄いで……見ろよ コナン……そこら辺の空手家の突きなんぞあの前捌きで全て叩き落とされそうやな」

 次の瞬間 純の右張り手が麗華の顔に炸裂した。と 同時に麗華が動きを見せる。
 「パシィッ」
 …………掴んだ。純の右小指を掴んだ……。

 栞は思った。
 (……柔術の……指捕り………折る気ですか)

 麗華は思っていた。
 (一気にヘシ折るッッッ)

 それを見た平次は呟いた。
 「マズいで………」

 麗華はボソリと呟いた。
 「当分の間 休場してもらうわよ………」

 次の瞬間 麗華が 純に背中を見せた。背中越しに小指を折る気だ。

 『万事休すだ 横綱ァ――――――――ッ』

 麗華が折ろうと力を込める。しかし 折れない。なんと小指一本で持ちこたえている。
 麗華が呆然とした瞬間 麗華の後頭部に 純の頭突きが入った。
 「ゴチィッ」
 麗華は頭をお押さえつつ 純の腹に後ろ蹴りを入れた。
 「ドゴッ」
 そして 回転して純と向き合った。

 『大相撲VS空手』
 『両雄一歩も譲りませんッッ』

 平次は呟いた。
 「………力士に対して指を捕る作戦は余り感心せぇへんで………」
 コナンは思わず呟いていた。
 「な………なんで………なんで指捕りが通用しないの!!?」
 「やっぱ 凄いわなァ 力士の小指っちゅうのは………」
 「考えて見りゃ 相撲ってマワシを捕るのも小指からやったんや…………」
 「小指が命綱なんや 力士っつぅのは………」
 「横綱クラスなら その小指で4分の1トンもある力士も転がせるんや………」
 「立ち技最強の格闘技って案外………大相撲なのかも知れないでェ………」

 その時 純が構えた。その構えを見て場内が ざわめきだした。
 『オオオオォォォッ 仕切りの構えだ 純ッッ 一気に終わらせる気ィかァ!!?』

 その構えを見た平次が驚愕の表情を浮かべた。
 (仕切り…………!!!)
 その思いと同時に。そして 無意識のうちに呟く。
 「終わらせる気や………」
 それを聞いたコナンは平次に尋ねた。
 「終わらせる………って………じゃ……麗華お姉ちゃんは…………」
 「あぁ………負ける………負けよるで…………!」

 次の瞬間 地面が爆発した。爆発的な瞬発力…………!!
 「ドンッ」
 「ドカ――――――――ン」
 純が衝突した。フェンスまで麗華を押し切ったモノと思われる。そして そのフェンスは観客席の方に曲がっていた。

 それを見た観客達が叫んだ。
 「すっげェ突進力ッ」
 「フェンスが こんなんだよ こんなん………」
 「……しかし 麗華の姿が無いぞ……」

 麗華は純の反対側にいた。直線で結んだ反対側に。
 麗華の姿を見た純は笑みを浮かべながら言った。
 「まさか あんなかわし方をされるとは思わなかったわ」
 「ふ……………かわせると思ったのよ………」

 コナンは呟いた。
 「へ………平次お兄ちゃん………今 麗華お姉ちゃんはどうやってかわしたの!!?」
 「…………スライディングや……スライディングでかわしたんや……つまり 純の股間をスライディングで滑った……!」
 「スライディング!!!?」
 「せや 相撲の仕切りってのは大体 相手にぶつかる事を前提とする技や」
 「例え かわられても…………その手で倒す………手で相手の頭を掴んで 大地に叩きつける………!」
 「そ………それなら どうして 純さんは 麗華お姉ちゃんを潰しに行かなかったの!!?」
 「えぇか コナン……よぅ考えてみぃ……相撲で“かわる”と言えば大抵が真横やろ?」
 「………そして 相撲では股間をスライディングで通り抜けるなんちゅう方法は絶対に実行できんのや」
 「“相撲”と言う競技ならな…………よぅ思い出してみ?相撲のルールを………!」
 「あ……そ……そうか……先に大地に足の裏以外の部位が触れたら負け………!」
 「そや コナン よぅ出来たな ホメちゃるで」
 そう言いながら平次はコナンの頭をクシャクシャにした。
 「せやから スライディングなんちゅうのは負ける可能性があるから“相撲”では使わないモンなんやで」
 「せやが これは“相撲”やない……ナンデモアリや……つまり 今の麗華の行動は 大相撲の範疇の外ッ…………!!」
 「徐々に……徐々に 佐伯 純のコンピュータが狂ぅて来たで………!」

 麗華は笑みを浮かべていた。してやったり と言いたげな笑みを。
 しかし この屈辱が収まらないのは純の方だ。
 勝てる。そう思って放った仕切りがスライディングなどと言う相撲ではあり得ない技でかわされたのだから。
 今の 純の怒りは 計り知れない…………!!
 次の瞬間 麗華がダッシュ。純の怒りに乗じての猛攻………!!
 怒りは 攻撃の精度を甘くさせる。弱くさせる。
 麗華の猛攻。しかし 倒れない…………!!純が倒れない…………!!

 平次は呟いた。
 「やっぱ 倒れんか………そら 当たり前か………プロレスが“耐える”事を前提とする格闘技ならば…………」
 「相撲は“倒れない”事を前提をする格闘技なんやから…………!!」




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ザ・ドクター様の格闘小説13話
大相撲vs空手。最初驚いたけどこんな闘いもあるんなあ・・と(笑)
麗華も強いが純も強い。見守るしか出来ない蘭達・・・・・次号決着?! by あっきー

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