グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜14
ザ・ドクター様



 コナンが呟いた。
 「相撲は倒れない事を前提とする格闘技!!?」
 「そや……つまり 足腰が強いんや…………例を言うなら…………!!」

 麗華の猛攻。
 拳。蹴り。ヒジ。ヒザ。
 五体全てを武器とし 攻撃…………。
 しかし 純は………“山”は揺るがない…………!!

 「例を言うなら 麗華の攻撃に動じない………あぁいうようにね………」
 「もし 足腰が弱ければとうの昔にダウンし 負けているやろう」
 「しかし 相撲にそれは無いんよ………倒すとするなら……………!!」

 その瞬間 麗華がサイドステップで純の後ろに回り込んだ。

 「そう これしかあらへん」
 「大相撲の弱点はスピード……そして スタミナ………」
 「通常の相撲は瞬時に勝負がつく…………つまり その瞬間だけの力があればいい………」
 「逆に言えば 持久力は皆無!!!」

 後ろに回り込んだ 麗華はそのまま純のヒザ裏を蹴る。その威力で 純の足が折れ そのままヒザをつく。
 「かくん…………どっ……」
 「もらったァァァッ!!!」
 そう叫びながら 麗華の左ハイキックが純の顔に叩き込まれた。
 「ドキュッ」
 「ザシャァッ」
 純が 初めてダウンした…………。新相撲横綱が初めて見せる醜態…………!

 佐伯 純 スタミナ:4

 「ィヨッシャァァァッ!!!」
 麗華がそう叫んだ。と 同時に純が立ち上がる。

 「………確かに純は倒れはった………しかし 相撲を甘く見てはダメや……」
 「この大会で個々の技の破壊力………プロレスが文句無く1番やろう………せやが………」
 「2番は……空手………?柔道………?柔術………?」
 「いや どれでもあらへん それもそのハズ…………力では相撲が2番目に強いんやから…………」
 「ホレ それを 純が今まさに証明してくれとるわい」
 平次がコナンに試合を見るように促した。そこには 純に抱きしめられている麗華の姿があった。
 麗華は苦しそうだ。それもそのハズ。これも相撲の技の1つなのだから。

 「サバ折り……や」
 「サバ折り………?」
 「あぁ………腕力だけで相手の身体を締め…………そのまま背骨を破壊する………」
 「いわゆる 殺人技や!!!」
 「や………やはり………相撲は接近戦ではプロレスと並んで無敵…………?」

 「ぐ………ぅぅぅ………」
 背中を強力な力で絞められている麗華は苦しそうに そう呻いた。
 「どう?サバ折りの味は………?」
 純がニヤリと笑みを浮かべながらそう言った。
 「ぐ………ぐぐぐっ…………ま………まるで………」
 (ま………まるで………万力で締められているようッ…………!!)
 「ビキッ ビキッ ビキッ」
 麗華の背中から破滅に近づく音が響いてくる。そして破滅は近い。
 「ビキッ ビキッ ビキッ…………ビキッ………」

 平次は呟いた。
 「あの女………本気で破壊する気や…………………ギブアップしろ 麗華………」
 平次の声が 麗華の耳に入った。
 「五体満足でいられりゃ また再挑戦でける………ムリするこたァあらへん………今すぐギブアップするんや………」
 その言葉を聞いた麗華はニヤリと笑みを浮かべた。ムリをしているのがハッキリと分かるような笑みだ。
 そして 次の瞬間 麗華の身体から力が抜けた。力尽きたのか………。
 それを感じた純は サバ折りを解いた。
 「ドシャァッ」
 重力に逆らえずそのまま無様にダウンする麗華………!!
 (終わったか………)
 そう思って麗華に背を向ける純…………。しかし。しかしだ。
 まだ勝負は終わってはいない………。コールが為されていないのだ………!
 麗華がすかさず立ち上がり 攻撃を仕掛ける。それに気づいた純は振り返る。
 「シィィィィッ」
 そう叫びながら麗華は 純の顔めがけて正拳突きを放つ。
 「クゥゥゥッ」
 純はそう叫びつつも反撃に向かう。
 「ガキィッ」
 純の左手が麗華の首を掴んだ。

 「のど輪やッッッ」
 平次がそう叫んだ。

 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」
 麗華が そう呻きながら首を激しく動かす。
 のど輪の弱点。それは首を激しく動かされれば その勢いで外れてしまう事。
 それを純は理解していた。そして 新たな技に移行する――――――……。
 右ヒジを麗華のノドに極めた。こうする事によって のど輪と同じ効果を発揮する。
 そして左腕で麗華の右ヒジを極めた。左腕で麗華の右ヒジを抱えにいったのだ。
 しかも その手を自分の右腕に添えてノドと右ヒジへの2箇所攻め。
 これはエグい。しかし この技は一体………?

 それを見た平次は驚愕の表情を見せながら言った。
 「な………なんちゅぅ事や………今の相撲界にあの技を使う者がおったとは…………!」
 「え………?へ………平次お兄ちゃん………あの技は一体……?」
 「“鉈(なた)”……や………」

 『鉈……?そうです 鉈です』
 『ヒジでノドを攻める格好が鉈を振るう様に似ているところから命名された技ッ』
 『完全に極まっていますッ 麗華の右ヒジとノドを完全に殺していますッ』

 「………あれは………脱出不可能………もう…………終わりや………」
 そう言いながら平次は首を横に数度振った。

 そして 麗華の顔色と右腕が共に白くなり 崩れ落ちた。
 それを見た審判は叫んだ。
 「勝負ありッッッ」
 その声を聞いたと同時に 純は鉈を解いた。白目をむいた麗華の顔が蘭の目に映る。
 「もっと闘いたかった」麗華がそう呟いた声を蘭は聞いたような気がした――――――……。



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ザ・ドクター様の格闘小説15話
麗華がまさかの一回戦負け!!という事は自動的に麗華を倒した純が次の蘭の相手・・・・・
蘭も空手やけど相撲に太刀打ち出来るのか?!次はいよいよBブロック!!!柔道と柔術の闘い!! by あっきー

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