グラップラー蘭〜ＲＡＮ ＴＨＥ ＧＲＡＰＰＬＥＲ〜17
ザ・ドクター様
葵が綾香めがけて低い体勢からダッシュする。 「ゴォッ」 それを見た京極は思っていた。 （いきなり“虎王”をやる気かッッ!!?） （奇策………!!!奇襲としては最も効果的な技ッ……！しかし 今使うべきでは無いッ………！） （何故ならば…………!!） ダッシュしながら葵は思っていた。 （そう……初っ端から“虎王”を使う気は無いわッ………！） （何故ならば 綾香さんは データ・ファイター………序盤はデータを集めるため受けに回る……!!） （そうしてそのデーターを全て採取した後 頭の中でプログラム――――――――――……） （必倒のプログラムを組み 倒すッ…………!!） （しかし “虎王”は最後の最後での切り札………!!断じて知られてはならぬ―――――ッッ） （綾香さんの作成した完璧なプログラムを打ち崩すためにも………!!） （“虎王”の“破片”すら 出すワケにはいかない！） 「キュン」 瞬時に綾香の横に回り込む葵。そこから肝臓めがけてストレートを放つ。 「ガキィッ」 綾香のガードに阻まれた。 （………なるほど………） 葵の左ハイキック…………。 「ザシュゥッ」 「ヒュラ」 葵の攻撃をかわす綾香。 （まともに入らないッッッ） 「ズシャァ――――――ッ」 葵の右ハイキック……！綾香はガードを上げ防いだ。しかし次の瞬間掴まれた。 葵が薄い笑みを浮かべた。かすかに笑みを浮かべた葵は次の瞬間 極めた。 脇固め――――――……。 左腕を極められた綾香は冷静に分析していた。 （なるほど……総合格闘技でしたね…………しかしッ） （この技は私には通用しないッッ） 「シュラ」 軽やかに葵の脇固めから抜けた。そして綾香は再び構える。葵の背を前にして。 （攻撃!!?） そう思いながら葵は飛び退いた。飛び退く途中で綾香の方に向きを変える。 「チャッ」 「………攻撃………して来ない……？」 その時 綾香が構えを解き 右手で「来い」と言うふうに指を動かす。誘っている。女王のこの余裕。 （誘ってる……………） それを見た京極は思った。 （まだ誘うのか………と 言うことは綾香のプログラムはまだ完成していない……） （ここで全てを出すな…………出すなよ 葵） 『動かないッッ』 『双方 ともに動かなくなってしまいましたァッ』 『さァッ どっちから仕掛ける!!?』 「ブァァッ」 葵の飛び蹴り………!!それを綾香は 身体を反らせて交わした。 そして 葵は着地しざまに後ろ廻し蹴りを放つ。 「ブァッ」 それも 綾香は紙一重でかわす。 （………へぇ………強くなっているわ……） 「ボッ」 葵の正拳突きが綾香の腹を襲う。 「グワキィッ」 綾香がヒザとヒジで葵の正拳を上下から挟んだ。 「な………ッッ」 『ブッ ブロックだァァァッ』 『空手の防御法の一つッ 交差法で葵の正拳突きを迎撃しましたァッ』 そして 綾香が構えた。両腕で顔を固め 全身を縮こまらせている。 （フ………貴方の攻撃パターンの解析は………全て終わった………） スキのないガードの構え。それを見た観客達は叫んだ。 「まるで要塞だッッッ」 （………ストレートから廻し蹴りってところか………） 綾香がそう思った瞬間 葵が動いた。 左ストレート。それで綾香のガードを破壊に行き 廻し蹴りにつなげる。 「ガコォッ」 しかし それを読んでいた綾香のガードに防がれた。 葵は着地し 構えた。それと同時に綾香が駆けた。葵までの最短距離を。 「ドヒュッ」 （速………ッッッ！） 「ガコォッ」 綾香の速い突きが葵を襲った。まともに激突した葵は吹っ飛んだが 宙で体勢を立て直し 着地した。 「ト……ッ」 （み………見えなかった………いや……見えはしたが避けられない速さだわ………） 『こ……高速拳だァ〜〜〜ッッ』 『来栖川 綾香を格闘の女王たらしめる技ッッ それがこの高速拳ですッ』 『その拳を見極められる者は少ないでしょうッ』 京極は呟いた。 「むぅぅ………ついに出たか………高速拳………」 「………しかし………!!」 葵が構えた。左手を前に出し そして右拳を右腰からわずかに離して構えた。 『オオォォッ 葵のこの構えは!!?』 それを見た京極は呟いた。 「そうだ それでいい……」 「上段ッ 中段ッ 下段ッ どこを攻撃して来ても………!!」 「カウンターが取れる！！！」 そして 葵がその構えのまま 動き出した。 「ズズ……ズズ………ズ……」 『オオッッ 葵が徐々に間合いを詰めているッッ』 『待っているばかりではない 松原 葵ッッ』 『どーする 来栖川 綾香ァァァ――――――――ッ!!?』 続きへ
ザ・ドクター様の格闘小説17話
すごいテンポ!!!!!早い・・・・状況が目に浮かぶような(笑)
葵の必殺技はいつ出るのか・・・・見切ったという綾香の次の行動はいったい!!!
しかし・・・・つえーーっ＞＜； by あっきー