グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜22
ザ・ドクター様



  闘技場に2人の女性がいた。
  空手・毛利 蘭。新相撲・佐伯 純。
  2回戦第1試合はこの2人の対決である。

  毛利 蘭(空手)
 170cm 58kg

 佐伯 純(新相撲)
 189cm 93kg

  「麗華の敵はアタシが取る……」
  蘭は誰に聞こえるともなく そう呟いた。

  審判は叫んだ。
  「始めぃぃっ!」
  『始まった…………ッ エ!!?』
  『ゆ…悠々と歩みを進めます 毛利 蘭……構えもせず……!』
  その蘭の行動に対して会場の人々は呆気に取られていた。いや 一部を除いてか。
  と 同時に純が動いた。つっかけたのだ。そこから張り手………!!
  それを 蘭はスッとかわしたが 追い打ちをかける。
  「ッバシィッ」
  蘭は両腕でブロックした。その威力で蘭は少し後ずさった。
  「ッビシィッ」
  蘭のローキックが入った。純は連続して張り手を繰り出すが それをかわし 連続でローキックを叩き込む。
  「ぐ……ぅぅ……」
  「ぬァッ」
  純はそう叫びながら 蘭の道着を掴みに行く。掴み技に行く気か。
  しかし 蘭はそれを拳で打ち払った。と 同時に純の腹に正拳を突き入れる。
  次の瞬間 蘭は純に抱きかかえられた………!!
  殺人コースのサバ折りに移行する気ッ……!


  「完全に決まったッ」
  「このサバ折りからは決して逃げられないッ」

  「………エ」
  その時 純の顔を影が覆った。蘭のヒジが純の顔を強烈に叩いた。
  「ぐちぃっ」
  サバ折りから脱出するために 連続でヒジを叩き下ろす。純の鼻からは鮮血が流れている。
  その連打に堪りかねた純はサバ折りを解く。その瞬間 蘭は純の水月を蹴った。
  と 同時に そこを踏み台にして肩に駆け上りヒザ蹴り。そして ヒジを純の顔に叩き込んだ。
  「ドカァッ」
  そのまま 純は背中からダウンした。
  (バカな………ッッ! この私が負けるはずなど無い………!)
  (し………しかし………このパターンは………アタシが愛する相撲が地に落ちようとしている!!?)
  (日本の伝統の相撲がッッッッッ)
  (新相撲の横綱として……断じて………断じてそれだけは避けねばならぬッッ)
  (相撲なら……相撲なら………相撲なら………ッッ!!?)
  その時 純の脳裏に妙案が浮かんだ。そして 純はそれを実行するために立ち上がる。

  『立ったぞ 佐伯 純ッッ』
  『しかし この不利な状況は動かないッ 動かないのに―――…』
  『何をしようと言うのか??』

  次の瞬間 純がダッシュした。しかし 顔に蘭の正拳が入る。それも連続して。
  「ゴスッ」
  また入った。

  『観客が総立ちだ〜〜〜〜』

  視界を失った純の手が蘭を探る。そして 蘭の身体に自身の手が触れた次の瞬間 組んだ。
  「ガキッ」
  四ツの体勢に入った。
  その時 純の耳元で蘭が短く呟いた。
  「かかったわね……………」


  『四ツの体勢に成功――――――ッ』
  『蘭の火が噴くような正拳突きを連続で喰らいッ』
  『一瞬 視界を失った佐伯 純でしたがッ』
  『力で自分の体勢に持ち込みましたッ』

  それを見た平次は呟いた。
  「ケッ 見え透いてはるぜ 今のままでも勝てるが念のためを思って相撲に誘いはった」
  「横綱相手に相撲で負けても傷つかへんって腹や」
  「それは違うな 服部………」
  「エ……?く………工藤………?」
  そう言いながら平次はコナンを見た。コナンは伊達眼鏡を外していた。コナンは言葉を続ける。
  「断言していい……あの蘭という女の内に『負けの美学』なんていうモノは存在しない」
  「天下の大横綱相手に四ツ相撲………過去17年間 蘭が真価を発揮して来たのは……」
  「いつも あのような絶体絶命の窮地に追い込まれたその時だ」
  一瞬 工藤の性格が出てしまったコナンであった。
  「さすが 蘭の彼氏や 彼女のことは全て知り尽くしてるってワケやな」

  その時 純が投げた。やぐら投げだ。
  完璧に決まる。純は そう思った。しかし 蘭は残っていた。
  『らッ 蘭が残ったッ 横綱のやぐら投げを空手家の蘭が残しているッ』
  「どうしたの?横綱………?汗が冷たいわよ………?」
  「まさか 空手家に相撲が出来ないと思っていたんじゃないでしょうね?」
  「どう!!? 横綱ッッッ」
  そう叫びながら 蘭は脇固めに行く。一回戦で晶に散々やられたアレだ。
  蘭は純の右腕を極めている。ガッチリとホールドしたまま 投げに行く。

  『アアッ ガッチリとホールドして…………!!?』
  『こッ これは相撲で言うところのッ 小手投げだッ―――――』
  『これは気づかなかったッッ 相撲にも関節技があったのです!!!』

  蘭の小手投げを 横綱は残す。残す。残す。
  『残った 横綱が残してるッ』
  『残した――――――――――ッ』
  『空手家の投げを横綱がやっと凌いだッ』

  コナンが呟いた。
  「服部……気づかないか?あの闘技場………」
  「土俵やないか!!!」
  闘技場を見た平次は そう叫んだ。

  『どッ 土俵だ!!蘭の関節技小手投げを凌いだ純の足跡が 期せずして土俵を描いてしまったのです』

  蘭は順と組みながら呟いた。
  「期せずしてじゃない こうなるように横綱をコントロールしたのよ……」
  「この小さな円が貴女にとってどんなに危険かはワカるよね?横綱……?」
  「さっきのような関節技の場合は特にね……」
  「………さァ……相撲を始めよう 横綱………」
  それを聞いた純はただ一言呟いた。
  「好都合だわ」


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ザ・ドクター様の格闘小説22話
いよいよ蘭ちゃん準決勝!!!相手は横綱・・・・・
どうなるこの勝負・・・・って蘭ちゃんは相撲が出来たのかー??Σ(=□=;)y あっきー

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