グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜23
ザ・ドクター様



  「好都合だわ」
  純はそう呟いた。

  「この闘技場に土俵を作ること……それがさっき思いついた案だった……そしてやろうと思った……」
  「しかし それには及ばなかったみたいね………」
  「私がやらずとも 貴女がやってくれた……礼を言う」
  「………しかし これは勝負だ……負けない」
  そう言った瞬間 純は蘭を投げる。蘭は土俵際で残す。
  さらに純は投げをうつ。
  『投げェェ――――――ッ』
  蘭の足が砂を噛む。
  『残したァ―――――』

  コナンは呟いた。
  「相撲の勝負……となったら……いいワケは出来ない……お互いに………」
  「それに服部……オマエも知っていると思うが……蘭はここで相撲をやる気でいる…………」
  「時たま 相撲の技の中に空手の技は無いように思われがちだがに……実はあるんだよなァ」

  「ドゥッ」
  『ロ……ローキック!!? いやッ けたぐりィィィッ』
  『けたぐり けたぐり けたぐり―――ッ』

  平次は呟いた。
  「まず……ひとつ………と言ったところやな………」
  「あぁ……空手というモノを熟知している……オレの蘭は………」

  「うがァッ」
  そう叫びながら純は掴みに行く。
  「ガシッ」
  またもや 蘭の攻撃がヒット。ヒジだ。
  下から上へ上げるヒジ。下から上への攻撃。

  平次は呟いた。
  「かち上げ―――――………」

  『かち上げ かち上げ かち上げ―――――ッ』

  「ドガァッ」
  蘭の最後の攻撃で 純は吹っ飛ばされ そのまま土俵を割った。

  「掌底―――――……」

  「ズズ………ン」
  純が崩れ落ちた。相撲で横綱が負けたのだ。

  「勝負ありッッッ」

  蘭は呟いた。純を引き起こしながら。
  「いい勝負だったわ………この勝負が始まった時 アタシはゆっくりと歩いた……」
  「あれは意表を突き 頭脳を狂わせるためのモノだった……もし 再度 まともな試合で戦えば……」
  「今度はこっちも負けるかも知れないわ」
  それを聞いた純は笑みを浮かべていた。


  その様子に会場の人々から拍手が送られていた。もちろん 平次も。
  「いい勝負やったなァ コナン………」
  そう言いながら平次はコナンの姿を見た。しかし そこにコナンの姿はなかった。
  「お……おい?コナン?どこに……?」
  そう言いながら平次は自分のカバンの中を開けた。

  「ウッ こ……これは………まさか工藤のヤツ………ッッ!!何考えてるんや!!?」

  綾香は 医務室を出て 葵を待たせている控室に向かおうとしているところだった。
  その時 どこからともなく ボールが跳んできた。勢いよく。
  それを 綾香は正拳突きで打ち返した。
  「ドカァッ………テンテンテン……」
  「本当にいい勝負だったぜ 格闘の女王さんよ」
  そう言いながら 1人の男が闇の中から姿を現した。
  「オ………オマエは………!!」
  その男を見た綾香は驚く。男はさらに言葉を続ける。
  「ご存じかも知れないが オレの名は工藤 新一という……………少し 力を試させて欲しくてな………」
  「力……?どうしようって言うの?」
  「………今から オレはこのボールを蹴る……それを なんとかして止める……それだけの事だ」
  「無論 かわす事は許されない」
  「………それだけでいいの?」
  「あぁ……いくぞ 格闘の女王さんよォ!」
  そう叫びながら工藤はサッカーボールを蹴る。
  「ドコォッ」
  「なかなか 速い………」
  綾香はそう呟きながら 正拳突きを繰り出した。
  「ドガァッ」
  綾香はボールを打ち返すが さらに工藤はこぼれ球に追いつき 連続して蹴る。
  「バシィッ」
  再び 綾香はそれを弾き返す。と 同時に工藤との距離を詰める。
  「ズザッ」
  「ピシィッ」
  工藤の足を強烈に払い 転倒させ そのスキにボールを奪い取った。
  綾香はボールを拾い、転倒している工藤を見ながら言った。
  「……これでいいかしら?工藤くん?」
  「あぁ………さすがに強い………」
  「………それは光栄だわ」
  そう言いながら綾香は微笑みを浮かべた。

  もうひとつの控室。
  「オレの名は工藤と言う このサッカーボールを使って勝負していただきたい」
  そう言う工藤の視線の先に栞の姿があった。
  「………いいでしょう」
  そう言いながら栞はゆっくりと立ち上がった。と 同時に工藤はボールを強烈に蹴る。
  「ドカァッ」
  猛烈な勢いで それは栞に襲いかかった。
  しかし 栞 瞬きもせず それを掴んだ。そして そのまま 身体を回転させ 工藤にそのままの勢いで返した。
  「ドグァッ」
  それを工藤は腹に喰らい ダウンした。
  「ズズゥ………ン」
  「……これで いいのかしら?」
  栞が一言そう呟いた。
  (バ……バカな……ッッ オレの蹴ったボールの勢いを全く殺さずにそのまま自分の力へと転化しやがった………)
  (ま……まさか これが噂に聞く柔術の極意………!!?)
  (だとするならば………次の試合は………まさしく 剛VS柔の激突だ…………!!)
  その時 廊下の向こうから足音が聞こえて来た。
  「おーい 工藤ーどこやー?」
  「ここだ 服部」
  「おぅ そこにおったか いきなりいなくなったと思ったら………」
  そう言いながら平次は工藤を背中におぶった。
  「ったく 人が飲もうとしとった白乾児を持って行くんだからよぉ」
  「どうせ 全部飲んだんやろ?」
  「すまないな 服部……で どうやった?」
  「どう………って?」
  「トボけんでもえぇ……自分 綾香と栞にケンカを売ったんやろ?このサッカーボールで……?」
  「あぁ……2人とも強かったよ……どっちが勝つか分からないな………」
  「………そうか……」

  間もなく 準決勝最終試合が始まろうとしている。



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ザ・ドクター様の格闘小説23話
うわ・・新一までもあっさり・・・
はたして蘭と決勝を競うのは綾香か栞か??にしても・・すさまじー!!(笑) by あっきー

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