グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜27
ザ・ドクター様


  『さァ〜〜〜〜〜ッ トドメの一撃を加えんと』
  『格闘の女王が接近していく〜〜〜〜』
  「ズチャ……」
  綾香が1歩を踏み出したその時 栞が勢い良く立ち上がった。
  と 同時に綾香の足を右足で払った。強烈に。
  「ピシィッ」
  『うわァ 物凄い足払いだァァッ』
  次の瞬間 綾香が宙で一回転する。そして栞はその頭に手を添えた。
  驚愕の瞬間だった。綾香の頭を支点としてそのまま宙で回したのだから。
  そして 勢い良く左こめかみから叩きつけた。
  「ドガァッ」

  『叩きつけた〜〜〜〜!』
  『重量を問わない空中で十二分に加速をつけ』
  『地面という凶器に向かって超高速で叩きつけたのですッ』
  『このダメージは深刻だァッ』

  ヒザに手を当てつつ 栞は息をついている。
  「ハァ……ハァ……ハァ……」

  「ア〜ヤカッ」
  「ア〜ヤカッ」
  「シオリィッ」
  「シオリィッ」
  観客席から歓声が沸き起こる。
 
  『期せずして綾香コールと栞コールの大合唱だァ』

  その時 栞が闘技場に座り込んだ。
  綾香に攻撃を加えようともせず ただ座っているだけ。
  (効いたわ〜〜〜………)
  (敵意 殺意を持つ技なら以下に速かろうが物の数ではないけど………)
  (あ〜〜〜まで見事に意を消されてはねェ………)
  「……少々 休ませてもらうわ……」

  『前代未聞!!!』
  『闘いの最中 両雄 休憩に入ってしまったァァァッ』
  
  「ア〜〜ヤカッ」
  「シオリッ」
  「ア〜〜ヤカッ」
  「ア〜〜ヤカッ」
  「シオリッ」
  「シオリッ」
  「シオリッ」
  「ア〜〜ヤカッ」

  その時 2人の目がギランと輝いた。まるで鞘に収められた刀剣を抜いたかのように。
  そしてゆっくりと立ち上がる2人。
  『オオッ 動き出したぞ 2人同時だッ』
  『ダメージは五分ッ 両者 再び向き合った〜〜〜ッッ』

  『空手か!!?柔術か!!?』
  『剛対柔ッ 激突再びッッ』
  綾香と栞の両者が向かい合っていた。決着を着けるべく。

  綾香はいつでも右拳を出せる構えで思っていた。
  (作戦など無い………)
  (計算もクソも無いッ 全てを肉体に委ねる……)
  (17年間 今日この瞬間まで音を上げずにアタシについて来た………)
  (“オマエ”を信ずる……)

  同様に栞はノーガード………。いや。両腕に僅かに力を入れた状態で右足を踏み出しながら思っていた。
  (やれるものなら やって見なさい 来栖側 綾香ッ)
  (答えは至って単純……貴方の空手と私の柔術 どちらが上か!!?)
  (そして 私が貴方に勝った瞬間 私の悪夢も終わる………!)
  そう思いながら栞がわずかに前に出た。すり足で。すり足。
  それは足を上げない歩法である。相撲とかでもよく見るだろう?
  足を上げないで歩く力士を。力士は すり足によって足を鍛えている。当然の理だ。
  こんな緊迫した闘いで……足を上げて歩くヤツはいやしない。
  もし上げて歩いたとしたら その瞬間に食いつかれる………!

  『オオッ 先に動いたのは栞だァッ』
  そして 栞は徐々に間合いを詰める。対する綾香は1歩も動かない。

  『徐々にッッ 徐々に間合いが詰まっているッッ』
  『制空圏が触れ合う寸前だッ』

  そして 栞がさらに間合いを詰める。そして数分後。
  その間合いは極端に短い。両者の最も近い足同士の距離がわずか20cmしかなかった。

  『オオオオォッ 恐ろしい光景だァ―――――――――ッ』
  『双方明らかに必殺の間合いに入っているッッ』
  『手を出せば必ず相手を倒せる距離ですッ』

  それを見た茜は呟いた。身体を震わせながら。
  「よ………よくやるぜ 2人とも………」

  それを見る平次とコナンの目の上に汗が流れていた。そして 控室のモニターで見ていた蘭も。

  「この距離までよくガマン―――……」
  栞が そう呟いた瞬間 綾香の拳が動いた。栞の顔を突かんとしている。
  「したわね」
  その言葉と同時に 綾香の正拳が栞の顔にヒットする。
  「来栖――――――」
  その瞬間 栞の顔が歪み 鮮血が噴出した。

  「川」
  「綾」
  その瞬間 栞の頭が動いた。

  「香よ」
  栞は綾香の拳の手首をアゴで挟み込んだ。
  次の瞬間 綾香の体重が前の方に移動した。栞に引っ張られるように。
  そして そのまま栞は綾香の足を払い 綾香の顔面を掴んだ。
  綾香の身体が一回転し 後頭部から大地に叩きつけられた。
  「ドグァッ」
  砂と砂煙が舞い上がる。

  その瞬間 審判が叫んだ。
  「勝負ありッッ」



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ザ・ドクター様の格闘小説27話
・・・・?! 綾香の拳が栞にヒット!!!
・・・とおもいきや・・・・・・綾香が後頭部から叩きつけられた???
審判の勝負はいったいどっち????
・・・・・栞はこの瞬間をずっと待ってたように見えるのはうちだけやろか??by あっきー

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