グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜29
ザ・ドクター様


  闘技場中央に1人の男性が立っていた。その男こそ このトーナメントの主催者であった。
  来栖川財閥総帥・来栖川 猛。その男がマイクを持って叫んでいた。
  「地上最強を目指して何が悪い!!!」
  「人として生まれ 女として生まれたからにはッ 誰だって1度は“1番”を志すッッ」
  「一番など一瞬たりとも夢見たことが無いッッ」
  「そんな女は1人としてこの世に存在しないッッ」
  「それが心理だ!!!」
  「ある者は生まれてすぐにッ――――――――……ある者は両親の言葉にッ」
  「ある者は友達の言葉にッ 教師の言葉にッ」
  「ある者は現在の状況に屈して それぞれが“1番”の座を諦め それぞれの道を歩んだ」
  「看護婦 政治家 パイロット OL 実業家 小説家 漫画家 教師………」
  「しかしッッッッ 今夜 諦めなかった者達がいるッッ」
  「偉大なバカヤロウ2名!!!」
  「この地上で誰よりもッ 誰よりもッ “最強”という“1番”を望んだ2名ッッ」
 『決勝!!!』
 『選手入場!!!』
 赤コーナーから毛利 蘭が出て来た。誇らしげな表情で。
 『赤コーナーからッッ この顔だッッ 空手 毛利 蘭!!』
 そして 青コーナーから紅 栞が出てきた。同じく誇らしげな表情で。
 『青コーナーッ 柔術 紅 栞ィィッ!』

 その時 観客達の間から物凄い歓声が沸き起こった。

 『参加選手8名!6度の死闘を勝ち上がり最強の座を争う強者2名!!』
 『今 ここに超人2人が雌雄を決しますッッ』

 毛利 蘭(空手)
 170cm 58kg

 紅 栞(藤原流柔術)
 157cm 42kg

 『泣いても笑ってもこの試合がファイナル!!!』
 『どっちが優勝を得るのか!!?』
 『蘭か!!? 栞か!!?』
 『空手か!!?柔術か!!?』
 『今……開始の号令がかかったァ―――――ッッ』
 「始め!!!」

 そして 両者ゆっくりと歩き出した。砂をゆっくり噛みながら。
 「サク……サク……サク……」
 そして両者が向き合った。その時 栞が不意に手を差し出した。
 「握手よ 蘭さん」
 「え……えぇ………」
 そう言いながら蘭はその握手に応える。
 蘭が栞の手を握った瞬間 蘭の身体が前につんのめった。
 「!!!」
 蘭は大地に手を突き 完全にダウンするのを防いだ。そして 次の瞬間に水面蹴り。
 それを 栞は跳んでかわした。
 そして両者とも体勢を立て直した。

 観客達は叫んだ。
 「すっげェェェ〜〜〜〜ッッ」

 次の瞬間 蘭が拳を放つ。栞の顔に………!
 栞は それを捌(さば)いて蘭の勢いを利用して後に放り投げる。
 相手の力を自分に一旦吸収し自分の力を加えて相手に返す。
 危害を加えようとする敵の力に対し 己の力を加えて敵に返す……………。
  そして 敵の加える力が強大であればある程 敵自身に返る力は強大になってしまう………。

 蘭のローキック。しかし 足が伸びきったところで止められてしまった。一本の手で。
 (こ………これが 紅 栞かッッ)
 その後も蘭は猛攻を仕掛ける。しかし 栞はそれを次々と捌いていく。表情1つ変えず。
 (く……ッッ こ……この女………)
 (表情を変えずに 次々と捌いていく………)
 (機械的なその動きはまさに…………)
 (バトル・サイボーグ)

  その時 蘭が栞の懐に飛び込んだ。と 同時に栞の衣服を掴む。
 と 同時だった。栞が自分の身体を捻ったのは。

 『合気ィィ〜〜〜〜〜ッ』

 宙に浮き 投げ飛ばされる蘭。ダウンした先には栞の足があった。
 それを見た蘭は迷わず 足を払った。蹌踉ける栞。
 と 同時に蘭は栞の顔を掴んだ。
 反射的に栞は両手で蘭の腕を掴む。
 「パシッ」
 その時 蘭が呟いた。
 「捕まえたわ………」
 「シィィィッ」
 その叫び声と同時に蘭は渾身の正拳突きを放った。
 それを腹に喰らった栞は為す術もなく吹っ飛んだ。
 と 同時に追い打ちをかけるためにダッシュにいく蘭。
 「ザズッ」
 渾身の右上段正拳突きを放つ気だ。と 同時に栞が懐に飛び込んだ。
 栞のこの行動。蘭にとっては 飛んで火にいる虫………!
 「ブッ」
 蘭の正拳突きをかわし 右横に回り込み 足を払った。
  そして 蘭の顔を掴み 後頭部から大地に叩きつけようとする。
  しかし 蘭が叩きつけられる前に大地に手をついた。
  次の瞬間 蘭の蹴り足が跳ね上がる。栞の顔面めがけて。
  が それを栞は いとも容易くかわす。
  そして 蘭は立ち上がった。そこに栞は追撃に行く。
  しかし 蘭は手を出さない。
  手を出さなければ向こうの力では さしたるダメージを与えられない。
  そういう考えだろうか。 
  しかし この考えは栞に対して甘過ぎた。
  そう………。まるでとろけるようにッ………!
  「ズドゥッ」
  並ならぬ衝撃が蘭の腹を襲った。
  「甘い」
  蘭は薄れゆく意識の中でその2文字の言葉を聞いていた――――。

続きへ

ザ・ドクター様の格闘小説29話
新一:らーーーーんっ・・・
新一の声が聞こえてきそーな(爆)薄れゆく意識???ちょ・・・ちょっと待てーー!!!!!Σ(==;)
なぜ蘭は栞に手を出さない???今のままでは蘭は栞に勝てないのか?!!!!たてっ立つんだ蘭!!←おいっby あっきー

戻る

TOPへ

E-list BBS Search Ranking Playtown-Dice Go to Top