グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜30
ザ・ドクター様


  「甘い」
  栞が発したその言葉と同時に 蘭が吹き飛んだ。

 「!!!!!」
 『な……何が起こったァァァッ』
 『ノーガード状態の蘭がいきなり吹っ飛ばされました』
 『それも 非力な栞に……ッッ!』

 それを見た平次は呟いた。
 「………な……なんと言うコトや………あ……あの技を使えるとは………」
 「柔術は………『返し』だけやなかった………」
 「ど……どういうことなの?平次お兄ちゃん?」
 「どんな格闘技にも守りと攻めがある……それは柔術であろうとも変わらへん………」
 「柔術の守りの要を『合気』とするならば……………栞の今の技は攻めの要……!!」
 「『当て身』……や………」
 「相手の足を後から前に払い……そして肩に全体重を乗せて当てる………」
 「前のめりの力と肩からの体当たりの力がプラスされ 強大な破壊力を生む……」
 「……攻めも……守りも完璧にこなせる………今の栞に敵はあらへん………」

  そして 蘭がユラリと立ち上がった。
 と 同時に 栞がダッシュ。当て身を喰らわせにいく。
 その時だった。蘭がスッと右拳を突き出したのは。

 「エ………?な…………なんや……?」
 蘭の拳を見てそう呟いた平次。

 (甘い……その程度で この当て身は防げないわ……これで決まりね 蘭……)
 その時だった。蘭の右拳がスピードを増したのは。
 (そんなコトをしてもムダだッ!)
 しかし 蘭の拳が狙ったのは 栞の肩…………!
 当て身を封じる腹………!!

 次の瞬間 蘭の左拳が 栞の腹に突き刺さった。
 「ドォッ」
 下から エグるように――――――……。
 それをまともに喰らった栞は吹っ飛んだ。
 「が………!!」
 そう呻きながら。
 (や……やられた………!まさか こんな手で来るとは………!!)
 (しかし…………まだ勝負は終わっていない)
 そう思いながら栞は着地。と 同時にその場に正座した。

 『座っている 達人が座っているッ まるで観念したかのように……』

 それを見た茜は呟いた。
 「つくづく……つくづく達人だわ………」

 その時 栞は何故かこう思っていたという。
 (帰りたいわぁ〜〜〜)

 次の瞬間 蘭が動いた。座っている栞の顔面にローキックを放った。

 『顔面にロ〜〜〜〜〜ッッ』

 それを栞は掴み そのまま後に投げ飛ばした。
 地面に顔から叩きつけられた蘭はすぐさま立ち上がり後から攻撃を仕掛ける。
 しかし 栞はそれを見透かしているかのように 座ったまま腕を取り 合気で投げ飛ばす。

 『矢継ぎ早に飛びかかる蘭が 座っている達人に奔騰されているゥゥゥッ』

 蘭が歩みを進めた。座っている栞の元に。
 そして ゆっくりと手を伸ばす。それを 栞が掴んだ。と 同時に蘭が動いた。

 それを見た北斗は呟いた。
 「何!!? アームロック!!?」

 アームロックで栞の腕を固めた。そして その間に繰り出す。必殺の左正拳突きを。
 「グワキィッ」
 栞は顔に喰らい 吹っ飛び 強烈にダウンした。



 「勝負ありッッッッ」




 『決ッッッ』
 『ちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜く!!!』
 『弱冠17歳ッッ 毛利 蘭がッ』
 『エクストリーム2000最大トーナメント………チャンピオンだ〜〜〜〜ッッ』
 『参加選手8名ッッ 試合数7ッ 死闘 実に2時間ッ』
 『負傷者の和葉参加者全員といってもいいでしょうッ』
 『7度に亘る試合は――――』
 『ただの一試合とて凡庸な内容はありませんッ』
 『全ての試合が大勝負ッ 全ての試合が名試合ッ そして全ての選手がイカしてたァッ』
 『現代社会において「強い」ということが或いは無意味との声もあるでしょうッ』
 『しかし覚悟を決めて入場する選手の表情――――』
 『己の実力が通じず敗北を受け入れる選手の表情――――』
 『傷つき勝利を手にしたときの選手の表情の――――』
 『そのどれもが我々の心を突き動かさずにはおきませんッッ』
 『強くあろうとする姿は――――かくも美しい!』
 『「強い」事は美しい!「強い」事は素晴らしい!』
 『アリガトウ 毛利 蘭ッッ』
 『ストロング・イズ・ビューティフル!!!』

 そして 蘭が控室に戻ろうとした時に晶がその前に立ちふさがった。
 「どうしたい 蘭?優勝したんだぜ?もっと嬉しそうな顔しろよな」
 「北斗さん……」
 「待ってたんだぜ」
 「待つ……?」
 その時 北斗の手がある一点を差していた。そこには 今まで闘って勝ってきた選手達の姿があった。
 「遅いわよ チャンプッッ」
 蘭を迎える敗北者達の表情は爽やかだった。
 蘭の勝利を讃えるかのように笑っていた。

 それを見た蘭は思っていた。
 (みんな………ありがとう……)
 (アタシ……もっと強くなります)
 そう思う蘭の目は涙であふれていた。



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ザ・ドクター様の格闘小説30話
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もっとΣ(=□=;)
蘭・・・強過ぎ・・・・今度所々に新一の心境入れたってやって・・(笑)
にしても優勝・・おめでとー・・・相変わらず強いな蘭・・・・・・・・
新一・・全部黒の組織の事話せば蘭が壊滅させてしまうかも・・・・←それも怖い(爆)by あっきー

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