グラップラー蘭〜RAN THE GRAPPLER〜9
ザ・ドクター様



 (この人を倒すにはどうやったらいいの!!?)
 そう思いながら 構える蘭の前に北斗 晶が立ち塞がった。
 「ズンッ」
 「プロレスの醍醐味とは!!!!」
 そう叫びながら 晶は再びガードを解く。
 次の瞬間 蘭は連続で正拳突きを放つ。放つ。放つ。放つ。
 間を置かず 連続で…………!!
 相手に反撃の隙を与えない…………!!
 このまま…………このまま…………このまま終わらせる気だッ…………!!
 「ドドドドドッ」
 (おそらく これが最後のチャンス………!!………ここで決めきらないと………!!)
 (ここで決めきらないと!!!!)
 (ここで決めきらないと!!!!!)
 (勝てないッッッッッッッ)
 「グチィッ」
 蘭の渾身の正拳突きが 晶の顔にまともに入った。

 『入った〜〜〜〜〜〜ッッッ』
 『蘭の渾身の正拳突きがッ 晶の顔に まともに入りましたッッ』
 『………ッしかし………ッッ………』
 『しかし倒れない 北斗 晶ッッッ』

 そして 次の晶の行動を見た蘭は驚く……………!!
 晶が身体を思いっきり捻っていた。脚を固定し 思いっきり捻っていた。
 「グ………グググ…………ググ………グ………」
 その捻りは止まらない………!さらに捻り続ける………!!

 (な……………!!)
 (何を考えているの……………!!)
 (小細工を弄するタイプでない事は十分に察するが……この構えからこのまま単純にパンチを繰り出そうというの……?)
 (如何に打撃力が強かろうがこんな子供騙しとさえ言えぬような………!)
 (しかも究極と呼んでも さし仕えの無いようなこの闘いのレベルで!!!)

 次の瞬間 晶の 振り下ろすような左パンチが蘭めがけて繰り出された。
 それを蘭は両手で受けた。しかし それをも晶のパンチは突き破った。
 手ごと自分の顔に衝突し 蘭は吹っ飛び そのまま フェンスに勢いよく 激突した。

 「ドカァッ」
 そのスキに晶は蘭との距離を詰める。

 「ザウッ」
 蘭がフェンスから跳ね返ったスキを狙って右アッパーを繰り出そうとする。
 それを蘭は虚ろな目で見ていた………!!
 そして 本能が蘭の意識を呼び覚まし 防御に行かせる…………!!
 「ガガガッ」
 晶の右アッパーを左ヒザと左ヒジで挟んで受け止めた。
 蹴り足ハサミ殺し…………!!
 しかし 晶のパンチのスピードは弱まらなかった。そのまま 蘭の腹にめり込む。
 「ズドォッ」
 (う…………ッッ)
 (防禦【うけ】が通用しないッッッ)
 そう思いながら蘭は 腹を押さえ ひざまずいた。
 「ザンッ」
 「ガッハァァァァッ」
 そう叫びながら 蘭は のたうち回っていた。

 晶は 大地でのたうち回っている蘭を見下ろしていた。

 『なんと言う強さだッッ』
 『毛利 蘭の防御をブチ抜いて 北斗 晶のパンチがボディを直撃!!!』
 『蘭が放った高等技術 蹴り足ハサミ殺しッッッ』
 『怪物・北斗 晶の繰り出す豪打の前に敢え無く砕け散ったのです』

 「〜〜〜ッッ」
 「〜〜〜〜〜ッッ」
 蘭は顔を苦痛に歪めながら呻いていた。その髪を晶が掴み 引き起こした。
 そこから また右アッパーをボディに放つ。
 「ドブォッ」

 『……ッさらに追撃ッ 同じボディだッッ』

 蘭は口から血を吐き 胃液を流している。
 「ズザッ」
 腹を押さえながらヒザをついた。そこめがけて 晶が蹴りの体勢に行く。
 下から蹴り上げる蹴りへ…………!!

 『万事休すだ 蘭〜〜〜〜ッッ!!』

 しかし 蘭は身体を横に回転させてかわした。と 同時に吐瀉物が大地に飛ぶ。
 「ビチャッ ビチャッ」
 蘭は 手を大地につき 順に足をつく。

 『かッ かわしたッッ』

 「ゲホォッ」
 まだダメージが回復していないのに動き回ったため口から胃液が溢れる。

 『吐瀉物を撒き散らしながらのその動きにはエリートファイターの誇りはありません』

 そして 晶が追撃しようとする。しかし その寸前に蘭は晶に抱きついた。
 「ガッ」
 晶に密着して少しでも体力を回復しようとしている。
 失ったダメージを取り戻そうとしている。
 息を整えようとしている。

 『防御と言うよりはむしろ避難に近いモノがあります』

 そして 晶が動く。抱きついたまま離さぬ蘭の背中めがけて連続のヒジを浴びせる。
 「ガッガガッガガガッ」
 しかし この距離では 腰も入らぬ。つまり腕の力だけの攻撃になってしまう。
 つまり 晶の攻撃のダメージが半減する…………!!

 そして 晶が振りかぶった。と 同時に 蘭が その腕を掴んだ。そして 投げた。
 一本背負いだ。柔道の一本背負い。
 「ドォッ」

 その直後攻撃に転じると思われた蘭。しかし 逃げた。
 晶から 最も離れた位置のフェンスに身体をもたれさせている。
 「ド………ッ」

 『逃げたッッ』
 『毛利 蘭が明らかに北斗 晶に対して背を見せましたッッ』

 (そうとも………負けるくらいなら逃げる………)
 (例え どんなに みじめ に見えようとも………!アタシの行動のベクトルは全て勝利に向けられている)
 (あと10秒)
 そう思いながら 蘭は晶のパンチを かわす。
 「ザウッ」
 晶の右アッパー………!!
 それを蘭は踏み 跳んでかわす。
 (あと10秒ダメージを負わなければ……………!!)
 (アタシの体内に反撃の体勢が整うわッ)
 そして 着地。
 「トッ………」
 (8………ッッ)
 (7……ッッ)
 (6……ッ………5ッ)
 (4……………3……………2………)

 晶のパンチが繰り出される。が 蘭はそれをかわし 晶の腹の急所――……【水月】に蹴りを入れる。
 そして 蘭はそれを踏み台にして 晶の肩に駆け上ってヒザ蹴り。
 晶が仰け反った。
 次の瞬間 蘭の渾身のヒジが晶の顔にまともに入った――――………。
 「グワシャ」
 「ダンッ」
 この試合 初めて 晶がダウンした―――――――――――……。

 毛利 蘭――――――――――――………折れぬ心:7



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ザ・ドクター様の格闘小説9話
どっちも譲れない女の闘い!!勝ちへの執念、格闘家のプライド・・・・・
闘うごとに蘭ちゃんレベルアップしているようでこれから先がめっちゃ楽しみ♪
わかりやすくトーナメント図解が必要かな? by あっきー

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