2人のプレイボール(1)
修羅聖斗(ザ・ドクター)



 大阪。
 珍しく快斗が平次の家に遊びに来ていた。

 「おぉ 快斗ぉ 久しぶりやなぁ………」
 「あぁ 金があって ヒマだったから ちょっと来てみたんだ 工藤がいれば からかえるんだがな」
 「そっか んで何をやって遊ぶ?」
 「ん?久しぶりに来たから 大阪を案内して欲しいんだ」
 「あぁ いいで……」

 快斗のお願いに平次は快く了解した。そして その時 平次の家の電話が鳴った。
 「プルルルル………プルルルルルルルルルル…………ガチャッ」
 「はいっ!こちら 波動軒!ご注文は?」
 「はぁっ!!? 波動軒!!? ラーメン屋ですか!!?すみません 間違えました!………ピッ」
 「ツー……ツー……ツー……ツー………」
 「…………どこが波動軒だ……ここは オマエの家だろうが」
 快斗が容赦なくツッコむ。
 「あ。間違えた 最近ラーメン屋でバイトやっとるもんでなぁ………クセが出てしもたわ」
 平次はそう言いながら頭をポリポリ掻いた。

 「プルルルル………プルルルルルルルルルル………ガチャッ」
 今度は 快斗が受話器を取った。
 「はい もしもし こちら 黒羽……」
 「はぁっ!!?黒羽? すみません 間違えました!………ピッ」
 「ツー……ツー……ツー……ツー………」
 平次の強烈なツッコミが 入る。
 「ここは 自分の家かぁぁ!」
 「いや すまない!ここ 余りにも居心地いいんで自分の家だと思っちゃったんだよ!」
 お互いに同類のようだ。

 その時 また電話が鳴った。
 「プルルルルルルル…………プルルルルル………」
 2人は電話を取るべきか悩んでいた。下手するとさっきのようにならないとも限らないからだ。
 「………ガチャ……」
 「はい こちら 服部やけど どちら様ですか?」
 「おぉ やっぱり そこが 平次ン家か さっきから同じ番号にかけてたんだけどよ……」
 「波動軒やら黒羽やら 出てさぁ 混乱してたんだよ」
 「それは すみません……で 何用ですか?」
 「あぁ 平次がいたら取り次いでくれないか?」
 「分かりました ハイ 平次……八百屋の源さんからよ」
 そう言いながら 和葉は受話器を平次に渡した。

 平次は目を点にして和葉を見ていた。そう 電話を取ったのは和葉であった。
 「あ……あぁ……サンキュ 和葉……」
 「ンで 何の用や 大工の源さん」
 「誰が大工の源さんや! パチンコやないんやぞ!八百屋や!八百屋の源さんや!」
 「あはは 悪い 悪い……ンで 八百屋の源さん 何の用や?」
 「あぁ なんか 魚屋のトメさんが腰痛起こしてなァ ピンチヒッター頼まれてくれないか?」
 「……草野球やな……場所はいつもの河川敷か?」
 「あぁ そうや…………すぐに来てくれ……」
 その時 電話の向こうから 悲鳴が聞こえた。
 「あぎゃぁ!」
 悲鳴の原因を見た源さんは冷静な言葉で言った。
 「すまん 平次 誰かピンチヒッターをもう1人用意してくれへんか……今 果物屋の八っつぁんが バウンドを取り損ねて玉を打った………」
 「なんや そりゃぁぁっ!大体 今頃 探したって 見つけられ……」
 「あぁ 和葉ちゃんはどうだ?」
 「和葉ぁ?あぁ あんなん怪力だけで 選球眼あらへんし……扇風機っちゅぅ………」
 その時 平次に殺気が突き刺さった。
 「はっ!この殺気はっ!」
 そう叫びながら 平次は後ろを向いた。そこには 鬼の表情で拳を鳴らす和葉が居た。
 「誰が扇風機よぉぉっ!誰が怪力女よぉぉっ!」
 和葉の 連続コンボが 平次を襲った。
 「グワシャァァァン」
 「ドカァァァッ ベキィィィッ」
 「た……助けてくれ 源さ――――んっっ!」
 その言葉を聞いた 源は小声で呟いた。
 「かわいそうに………平次のヤツ 和葉ちゃんの逆鱗に触れたな……今はそっとしておいてやろう………ピッ……」
 源の電話が切れた。
 「ああぁぁぁっ!源さ――――ん!!ちょっと!ちょっとぉぉぉっ!」
 電話からは 虚しく ツーツーと不在を知らせる音が鳴り響いている。
 「まだまだ こんなモンじゃすまないわよぉぉ………乙女の純真な心を傷つけた罪は重いんだからねぇっ!」
 「おらぁぁぁ――――――――っ!」
 「グワシャ―――――――ン」
 平次の家で大乱闘がが起こっている。家を壊しかねない程の大乱闘が。

 その大乱闘をよそに 快斗は平次の家の冷蔵庫から ビール瓶を取り出し 飲もうとしていた。
 「こらぁぁぁぁっ! 未成年が飲んだらあかんやんっ!」
 そう叫びながら和葉が投げた メモ帳が快斗の頭に強烈にヒットする。
 「ガゴン」
 運の悪いことに 金具が当たったようだ。
 「あたぁぁっ!」
 「じ……冗談なのに………」
 快斗は目に涙を浮かべながらそう言った。
 「上段も下段もあるかい! せやったら その栓抜きはなんや!冗談で栓抜きがいるんかい!」
 「うん」
 快斗は あっさりとそう言った。
 「ほぅ……うん………か……」
 和葉の怒りのオーラが 濃くなっていくのがハッキリと分かる。

 その時 平次は快斗を生贄に逃げようとしていた。
 (すまん……快斗……オレは逃げるわ……あとは頼むわ……)
 「スコ――――ン」
 「逃げるなぁぁぁっ!話はまだ終わってへぇぇん!」
 メモ帳が平次の頭に当たった。
 「おい 和葉ぁ!これ以上アホになったら どないすんねん!」
 「安心し アンタはそれ以上アホにはならへん………」

 30分後。河川敷に現れた男3人………。いや 男2人と女1人。男2人はもうボロボロだった。平次と快斗だ。
 女は ストレスから解放されたかのようにスッキリしていた。しかも鼻歌まで歌っていた。無論 和葉だ。
 2人を見た源さんは叫んだ。
 「ど……どないしたんや 2人ともぉぉぉっ!!」
 「ちょっと和………いや 怪獣にやられちまってな………ありゃバケモノやわ……」
 「へぇ……で試合には出られるんか?」
 「あぁ……多分な……快斗 自分はどや?」
 「あぁ 多分いける……やれる………」
 そして陰でこう思っていた。
 (平次もいろいろと苦労しているんやなぁ…………)と。


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うわぁぁっ快斗やんっ快斗が出とるやんかぁぁ(感涙)←おいおい
草野球に平次と快斗が???ふ・・この勝負もろたも同然か??(爆笑)
ドクター様さんきゅうう♪ by あっきー

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