2人のプレイボール(2)
修羅聖斗(ザ・ドクター)




 源は言った。
 「さて お二人さん どこを守る?」

 「あぁ オレは いつも通り4番 サードで」

 「そうか そっちの色男は?」
 「どこも守れません」
 キッパリとそう言い放った快斗。

 その言葉に2人はズッこけた。

 (オ……オイ……こんなヤツ連れてきてどうするんだよぉ〜 平次……)
 (えぇやんか 源さん コイツ やりそうやったから連れて来ただけや………)
 (そうか?やりそうなのか?まぁ 平次 オマエが言うのなら間違いはないと思うが………)

 源さんに信頼されている平次。平次の眼力は相当なモノなのか?

 そう。何を隠そう 平次は十数年前 阪神にバース獲得をかけ合ったコトが……………無かったりする。
 その時 平次は まだ小学生。阪神頭脳にかけ合えるものか。

 平次は快斗を見て言った。
 「よし 快斗 自分は一番センターをやり 多分大丈夫やと思うから」
 「1番 センターか……で センターってどこだ?何しろ野球は初めてだから………」
 「野球を見ることもあらへんのか?」
 「おぅ その通りだ」
 (毎夜 盗みに行っているんだから野球見るヒマなんて無いだろ)

 「センターはな………あそこや」
 そう言いながら 平次は外野の中央を指さす。
 「そうか 分かった……」
 そう言いながら 快斗はセンターに向かう。
 「オ……オイオイ ちょっと待て どこに行く?」
 「どこって……センターに……」
 「アホかぁ!今はこっちの攻撃やぁ!こっちが先攻なんやぁ!守りに行く必要はあらへんわい!」
 「……そうか……」
 そう言いながら快斗はベンチに戻る。

 そして両チームが ホームベースに集まった。
 「よろしくお願いしまーす」
 その声がわき起こる。
 ここに 堺インビンシブルズ と 難波ウォーリアーズの試合が始まった。先攻は 堺インビンシブルズである。

 「よし いけェ!快斗ォォ!」
 快斗がネクストバッターズサークルにあるバットを取って素振りをしている。
 「ブンッ ブンッ」
 お世辞にもそのスィングは上手いとは言えなかった。バットに振られている状態であった。

 その時 相手のピッチャーがピッチング練習を始めた。
 大きく振りかぶり 高く脚を上げ 身体を捻った。
 バネのような身体だ。そして 左腕がムチのようにしなり 球が勢いよく投げ出される。

 「ドシィッ」
 激しい音を立ててボールがキャッチャーのミットに収まった。

 間違いない。この男。素人じゃない。そして そのボールを軽々と取るキャッチャーも。
 そのバッテリーを見た平次は呟いた。

 「あのバッテリー……どこかで見たことがあるような気がするんやが……」

 「ドォォン」
 またもや ど真ん中に練習のボールが決まった。かなりの威力を持つストレートだ。

 「やっぱり あのバッテリー どこかで見たことがある………」
 そう言う平次の目に ピッチャーの男の背番号とネームが目に入った。

 「!!!!……な……なんちゅうコトや………『HIMURO』………やと……?」
 「『HIMURO』……?ま……まさか その名前は………?」
 「そうや 『HIMURO』……氷室と言ったら去年まで阪神タイガースに所属していた天才投手や!!」

 氷室 京介(ひむろ・きょうすけ)。1997年 大阪桐蔭学園からドラフト1位で阪神タイガース入り。
 異例の高校ルーキー開幕一軍&開幕投手。開幕戦で巨人相手にノーヒットノーランを達成し その年 17勝で新人王。
 翌年 21勝で最多勝投手。1999年 開幕戦でピッチャーライナーを避けきれず左肩に喰らい再起不能となり引退した。

 「………というワケや………プロ野球界は栄光にまみれた男だけやあらへん……」
 「才能を持ちながらも不運によりその道が閉ざされた男もいる……あの氷室がいい例や」
 「それにしても あの左肩……復活している!!?」
 「あのキャッチャーも元プロや……」
 「かつて 中日ドラゴンズにいた………真壁 誠」

 真壁 誠(まかべ・まこと)。1995年 PL学園からドラフト3位で中日ドラゴンズ入り。
 2年間2軍暮らし。1997年 その実力が開花し 正捕手の座に着く。その年 ホームラン48本打点124点の大活躍。
 中日Aクラス入りの原動力となる。しかし 生来の気性の激しさのために 反則プレイが多く 球界を永久追放される。
 1998年のことであった。

 「………生来の気性の激しささえなければ いい選手やった……あの天才・古田を遙かに上回る程に……」
 「順調にいけば 2人ともプロ野球界から選出されるシドニーオリンピックの選手に選出されたハズや」
 「そ そうなると これは………いわば 元プロバッテリー……!!」

 それを聞いた平次はニヤリと笑って言った。
 「相手にとって不足はない………のぅ 快斗………?」
 それを聞いた快斗は 心の中で呟いていた。
 「いや 不足どころか相手としては十分過ぎなんだが」と。
 「この2人から点を取れるかどうか それが勝負の分かれ目やな」
 「………あぁ………」

 「ズバン」
 そう激しい音を立てて 氷室のピッチング練習が終わった。
 「さぁ………始めようか……」
 氷室は不気味に笑いながらそう言った。

 そして快斗が左打席に立ち 氷室を見て構えている。
 「プレイボーイ」
 そう審判が叫んだと同時に和葉が赤面した。
 審判は間違いに気づき 慌てて言い直した。
 「プレイボール」
 試合が始まった。

 氷室がプレートを踏み そして大きく振りかぶる。ワイルドアップのモーションだ。
 そして そこから高く脚を上げ 大きく踏み出したと同時に 左腕がしなるように出て来た。
 ボールが氷室の左手から離れた次の瞬間 快斗は聞いた。
 ボールの唸り声を。ボールが風を切り裂く音を。

 「ゴォォ〜〜〜ォォォ」
 「ズバァァン」
 氷室の投じたストレートが外角低めに突き刺さった。

 「スットライ――――――ク!!」
 審判の口からそうコールされる。そのコールを聞いた快斗は冷や汗を流しながら思っていた。

 (こ……これが……これがプロの球か!!?オ……オレ達は打ち崩せるのか!!? この怪物を!!?)



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ひえぇぇぇ相手はプロ(笑)勝てるのか探偵と怪盗・・・・
しかし草野球でこんな大物が・・・・・というつっこみはなしやで(爆)
で・・・快斗野球初めてって・・・・・勝て・・・・たらいいなあ(笑)←こらこら
にしてもこの平次の自信はどっからくるんや??
ドクター様小説さんきゅうう♪ひょっとしてこれは真剣勝負と思いきや爆笑の渦だったりする? by あっきー

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