ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第14話 サッカーの裏技

 帝丹高校の一教室。
 平次は長刀を恵美に向けながら言った。
 「自分……何者なんや………?」
 「な……何者………って……?」
 「トボけてもムダや アンタ ホンマもんの恵美やあらへんやろ?」
 「……その根拠は?」
 「………オレは転校初日にコッソリとホンモノの尻を触っていた……」
 「しかし その翌日に尻の感触が変わっていた……」
 「これがどういう事かワカるか?人が入れ替わったってコトだよ」
 「ク…………!」
 恵美がそう呟いた時だった。1人の男が入って来たのは。
 「オーイ 服部ー?サッカーやらねぇか?」
 それを聞いた恵美はチャンスだと思った。そして新一に語りかけた。
 「やろーやろー 私も混ぜてよぉー」
 恵美は新一を押しながら校庭に向かう。

 サッカーが始まった。
 平次と新一が同じチーム。恵美がもうひとつのチームであった。
 「オイ 工藤 気づいてるか?あの女……犯罪者だぞ」
 「……そうなのか?」
 「あぁ せやから……ここで倒しておかないと」
 小声でそう会話する新一と平次だった。
 「気をつけろよ 工藤」
 「そっちもな 服部」
 試合が始まり 新一がチョンとボールを平次に渡す。

 その瞬間 恵美がダッシュしてきた。
 「チャリャァッ」
 そう叫びながら恵美が情け容赦なく左ローキックを放った。
 無論 蹴りの軌道上には平次の右足とボールの両方がある。
 従って 平次がケガをしたとしても試合中の事故として片づくのだ。
 新一からのパスを受けた平次は恵美の左ローキックを喰らい ハデに転倒した。
 その威力から考えるに下手に踏ん張って転倒せずにいたら平次の右足は確実に折れていたハズだ。
 かと 言って平次のピンチが去ったワケではない。
 「ふッ!」
 鋭く息を吐き出しながら 間髪入れずに恵美は倒れた平次めがけて右の正拳を撃ち下ろす。
 傍目には 瓦でも割っているように見えるだろう。
 しかし 実際には 平次の無防備な腹部があった。
 すんでのところで 平次は身をよじって恵美の正拳をかわした。
 平次は そのまま転がって間合いから逃れる。
 右足に走る激痛のせいで 嫌が応にも平次の意識は戦闘状態へと切り替わっていた。
 「ちっくしょう………」
 平次ははがし痛みに耐えながら 片ヒザ立ちになって身構える。
 「ゴメンなさい 手が滑ったわ」
 笑いながら適当な言い訳を言うと再び恵美が歩き出す。もちろん平次に向かって。
 その時 新一は転がり出たボールをキープしてドリブルを始めていた。
 「よしっ! オレがサッカーの裏技を見せてやるっっ!」
 高らかに宣言し 新一は恵美へボールを蹴る。ところが このボールは少し高い。
 このままでは恵美の頭上をギリギリ越えてしまう。
 それを見た恵美は何の防御も取らなかった。
 しかし そのボールにはドライブ回転が欠けられていた。突
 如 軌道を変えたボールが恵美の視界を遮る。

 同時に 走り込んでいた新一が恵美めがけて跳ぶ。
 ジャンピングボレーだ。ボール越しに恵美の顔を蹴った。
 恵美は強烈な威力のボールを顔にもらい上半身を激しく後に振った。その勢いでダウンする。
 「先生 すみません!足が滑りました!」
 新一が頭を下げながら恵美と大差ない言い訳を叫ぶ。
 そう。平次が蹴ったのはボールであって恵美ではないのだ。
 これは飽くまでも遊びの中での不幸な事故である。
 新一の言葉通り まさにサッカーの裏技といえよう。
 その瞬間 恵美が立ち上がり 新一に飛びかかった。
 虚を突かれた新一はあとずさった。
 しかし 恵美は新一を追いかける。
 ………そして………恵美が姿を消した。
 「………先生……一体 どこに………?」
 平次は呟いた。
 「逃げやがった…………」

 都内の喫茶店。
 「いらっしゃいませー」
 店員の声が響く。どうやら誰かが入って来たようだ。
 その女性の名前を 来栖川 綾香と言った。
 綾香は奥の席に座り アイスコーヒーを2つ注文した。
 それを聞いた店員は不思議に思って尋ねた。
 「………誰か来るのですか?」
 「……いえ………来るかも知れないし 来ないかも知れない……五分五分ね………」
 「………そうですか………」
 綾香は机をガタガタと動かしている。
 (この机……動くわね………)

 数分後 コーヒーが2つ運ばれて来た。
 その時 綾香は店員に何かしら耳打ちをした。それを聞いた店員はうなずく。
 綾香は 1つのコーヒーにミルクと砂糖を入れ ゆっくりと飲み始めた。
 一方の手でもう1つのカップに何かを振りかけている。
 振りかけて掻き混ぜ……振りかけて掻き混ぜる……。
 「カチャカチャカチャ……」
 「いらっしゃいませ―――――――……」
 「相席……いいかな………?」
 そう言ったのはピーターソンだった。
 綾香はピーターソンに笑みを返す。
 「いいわよ………」
 「それでは遠慮なく………ところで何でカップが2つあるんだい?」
 「えぇ……貴女が来ると思って頼んでおいたの………」
 「このコーヒーは私の――――……オゴリよッッ」
 そう叫びながら綾香はコーヒーカップを掴み ピーターソンめがけてブチまけた。
 コーヒーがピーターソンの目に入った。ピーターソンは眼を押さえながらうつむいた。
 と 同時だった。綾香がテーブルを真横から蹴り上げたのは。
 そして 机越しにピーターソンめがけてドロップキックを放った。
 「ドカァッ」
 綾香が机が動くか確認したのは この攻撃のためだったと言うワケか………。

 ◆強烈!綾香の先制攻撃!しかしピーターソンがこのままで終わるとは思えないのだが???

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ザ・ドクター様の格闘小説14話
ひええっっ平次は大丈夫なのか???!!!(折れたって・・折れたってぇ??Σ( ̄□ ̄;))
そしてあの綾香が喫茶店でいきなり先制攻撃!!!!
まずい・・・・まずいぞ・・・・・・・このままでは街が破壊されるぅぅぅ!!!!←こらっby あっきー

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