ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第16話 影

 帝丹高校の一教室に1人の男と2人の女がいた。
 蘭が傷だらけの身体で叫んだ。
 「京極さんッッッ」
 「手を貸そうか 蘭」
 京極(きょうごく)は笑みを浮かべながらそう言った。
 「……その身体ではムリだろう……この場から立ち去りなさい」
 「き……京極さんは………?」
 「……オレか……オレは この女と闘う……2人っきりにさせてくれ」
 「え……えぇ……」
 そう言いながら蘭は立ち去った。

 京極を見ながら恵美は思っていた。
 (京極 真(きょうごく・まこと)――――………)
 (全日本空手界のエース……全日本男子空手界のブランドと名高い男………)
 (そのタイトルは数え切れない……20は軽く越えるだろう……)
 (一年くらい前にあった世界空手選手権無差別級に出場して堂々の優勝………)
 (しかも オール一本勝ちッッ)
 (もし シドニーオリンピック競技に空手があったら 文句無しに金メダルを取っていた男……)
 (そんな男と――――………)
 「一度 闘ってみたかった」
 「ほぅ……しかし無抵抗の者を相手にするのとはワケが違うさ」
 「何があったかは知らないが オレを無抵抗の蘭と一緒にするなよ」
 「オレは 手を出しもすれば……噛みつくぞ………」
 その瞬間 恵美が動いた。
 「しぇいいいッ」
 そう叫びながら左正拳突きを恵美は放った。
 「バチィッ」
 京極が恵美のパンチを片手で受け止めた。
 「一緒にするなと言ったハズだ」
 「それから 下手な変装はやめてくれよ?それじゃ全力を出して闘えないだろ?」
 「無論 オレじゃなく アンタが……………ね……」
 「さぁ その変装を解いてオレに見せてくれよ オマエの本気を」
 「いいでしょう……どうせ もうここにはいられないわ…………この学校では今回が最後のチャンスだったのよ」
 「そのチャンスを潰した……京極 貴方には容赦しないわ」
 「どう容赦しないと言うんだい?」
 その瞬間 恵美が変装を解いた。と 同時に恵美……。いや。シェラザードが走った。
 瞬時に京極の懐に飛び込む。
 「ギャッ」
 下からエグるようなボディーブローを京極の腹めがけて放つ。
 「じゃッ」
 そう叫びながら京極はヒジでそれを叩き落とした。
 「ぐ……ッッ」
 そう呻きながらシェラザードは蹴りを放つ。
 「バォッ」
 それを京極はかわし 拳を叩き込む。
 「ゴァッ」
 寸前でシェラザードはそれをかわす。
 が さらに京極が追い打ちをかける。
 蹴り―――……短い蹴りだ……。捉えるためだけの蹴り―――………。
 しかし それが命取りだった。
 シェラザードの影が京極の足に絡みついてきた―――………。
 (影が………?絡みついて………?)
 シェラザードの顔に不気味な笑みが浮かんでいた。

 警視庁。そこを1人の男が訪れた。
 その男は巨人だった。2Mは越えているだろうか。
 瞬く間に巨人の周りに人が集まってきた。
 「ここの責任者に会いたい」
 「何者だよ オマエ………」
 「……それにしても ズイブンデカいな……」
 「なぁ コイツ どこかで見たことねぇか?」
 「そう言えば見たことあるな」
 「まさか 指名手配の犯人?」
 「確かに凶暴そうなツラしてるなァ」
 巨人の前に集まった警察官が言いたい放題だ。
 「じゃ逮捕するか?」
 そう言って1人の警察官が手錠を取り出した。
 「待ちなさい」
 その声と同時にキラキラをバックにしょった青年が現れた。
 警視庁きっての美男子・明智健吾だ。
 「貴方達……その人が誰だか知っているのですか?下手すれば国際問題にもなりかねませんよ」
 「……え……?こ……この人……誰です?」
 「そう言えば……ゴリラみたいな顔をしているな……本当にどこかで見たことあるぞ……」
 「確か……今年………?」
 「オリンピックで…………?」
 その時だった。警察官達が「あっ」と言う表情をしたのは。
 「お……思い出した………」
 「た……確か……アレクサンダー・ガーレン」
 「その通りです」
 「ロシアの英雄……そして13年間無敗と謳われる男………」
 「シドニーでは惜しくも金メダルを逃したが それでも世間の評価は変わらない」
 「久しぶりだな ミスターアケチ」
 「ようこそ ミスター ガーレン」
 そう言いながら2人は握手を交わした。
 「何の用ですか?」
 「実は 人を捜しに来た……」
 「人………?」
 「シェラザード・クローリーという女だが……ご存じ無いか?」
 「シェラザード・クローリー……?よく知っていますよ………」
 「よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜くね…………」
 「それは良かった」
 「今はどこにいるか分かりませんが じきに現れますよ……じきにね………」
 「そうか……」
 ガーレンはそう呟いた。

 帝丹高校。
 「ドシャァッ」
 京極が倒れていた。全身血塗れで。
 「な……あ……あれは……?あの影は………?」
 「………しょせん……この程度か………」
 シェラザードはそう呟きながら去った。

 ◆強い……!シェラザード………!!京極が問題にならない………!!

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ザ・ドクター様の格闘小説16話
明智警視!!!!!見覚えあるメンツがどんどんそろってきたー(笑)
そして京極さんでも歯が立たない炊いて・・・シェラザード!!!←誰が倒せるねん(笑)by あっきー

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