ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第17話 ナイフ


 「ふッ ふッ ふッ」
 そう息を吐きながらランニングしている男性がいた。
 その男性の名前を京極 真―――……。
 「ふッ ふッ ふッ」
 その時だった。京極の足下から何かが絡んできたのは。
 「う!!?」
 いや………。影か。京極自身の影が京極の足に絡まっている。
 「こ……これは………?バカな………?」
 「この技は………!!」
 足から腰へ。腰から胸へ。胸から首へ。首から顔へ。顔から頭へ。
 その影が京極の全身を覆った。京極の叫び声がそこにこだまする。
 「ッヒィィィィィィィィィッ」
 そう叫びながら京極は跳ね起きた。

 病院。
 「ゼハッ ゼハッ ゼハッ」
 「大丈夫ですか 京極さんッ」
 「大丈夫?真ッ」
 葵と園子の声だ。
 「あ……あぁ……すまない……心配かけて………」
 「……それにしても葵……あの女達と今 闘っているのか……?凄いな………」
 「だが 今のままでは勝てない……」
 「仮に あのシェラザードがG−5の中でも最低ランクだとしたら……確実に勝てない」
 そして 京極は葵に何かをそっと耳打ちした。それを聞いた葵はコクンとうなずいた。
 「何 内緒話しているの?」
 「いや……何でもないんだ 園子………」

 その夜。
 「ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ」
 歩く音………。いや……。何かを切り刻む音だ。
 「ドズッ……」
 男が女性の胸にナイフを突き立てた。
 「フフフ……また1人か………」
 その時だった。男の背後からカツカツと足音が聞こえて来たのは。
 「……また……獲物か……この足音は女……か……いや……男……?」
 「まぁ……どっちでもいいか 新しい獲物だからなァ」
 そう言いながら男は血の付いたナイフをペロリと舐めていた。
 下卑た笑みを浮かべていた。
 「ケヘヘヘヘヘヘ………」
 そして 男が足音の主めがけてナイフを振り下ろした。
 「ゴォッ」
 「ザクッ」
 ナイフが何かを裂く音がした。
 「ザクザクザクザクザクッ」
 「………知っているかい?ナイフから身体を守るためにはハローページが一番いいってことをよ」
 その声の主は竜一だった。
 「随分とキレイな人を殺してるじゃ無いか………もう助からないだろうけど………」
 「ワカるかい?」
 男がニィッと笑みを浮かべながら言った。
 「……オレは六星竜一だ……名前を聞いておこう」
 「名前は無い……言うなればジャックとでも名乗っておこうか」
 「ジャック………切り裂きジャックかい」
 「ほぅ 東洋の島国にも伝わっているようだな」
 「当然だ オマエのコトを知らぬ犯罪者は世界に1人たりともいない」
 「そうかい」
 そう言いながらジャックが動いた。と 同時に竜一は構えた。
 ジャックがナイフで突きに行く。と 同時に竜一は かわそうとするが間に合わない。
 ……竜一の右頬が切れた。
 「………へぇ………いい切れ味のナイフを持っているな……ちょっと貸してくれねェか」
 そう言うと竜一はジャックの懐に飛び込んだ。
 「ズドッ」
 ジャックの腹に竜一の拳が食い込む。
 と 同時にジャックの持っているナイフを奪い取る竜一。
 「これは戴いたぜ……なるほど……重さは悪くない……」
 そう言った竜一は自分の持っていたハローページめがけてナイフを振り下ろす。全体重をかけて。
 「ズドッ」
 ハローページが一刀両断にされた。
 それを見て竜一はその威力を感じ取った。
 「……切れ味も悪くない……鉈の重さ……カミソリの切れ味………もらっていいかい?」
 「ダメだ 返せ」
 ジャックのその声を聞いた竜一は笑いながら言った。
 「ハハ やっぱりな……じゃ返すぜ」
 そう言いながら 竜一はジャックに向けて軽くナイフを放った。
 そして それを不用意に掴み取るジャック……。
 その時だった。竜一が動いたのは。
 ナイフの柄を 押し出すような蹴りで叩いた。
 抜群の切れ味に重さと突くスピードが加わる………!
 「ガッ」
 ジャックはそれを避けた。しかし ナイフは大地に叩きつけられた。
 地中深くに刺さってしまい 抜くことが出来ない。
 「クッッ」
 そう叫んだジャックは懐からナイフを取り出した。
 「またナイフか!!!」
 次の瞬間 ナイフが飛び出した。刃が発射される構造のナイフ……。
 そう。それはスペツナズ・ナイフだった。
 「ソ連の軍隊が使っていたスペツナズ・ナイフ……最初の最初にそれを使ったらアンタが勝っていたろうな」
 「しかし もうアンタに勝ち目はない………」
 そう言って竜一は不気味な笑みを浮かべていた。
 「ドキュッ」
 ジャックの金的が潰された。竜一の蹴りで。
 この瞬間 ジャックの敗北が決定したのである。

 都内某所。
 シルヴィアは無線を大地に叩きつけていた。
 「くッ……いくら呼んでも出ない……まさか ジャックがやられたの………?」
 そう言った一瞬後に笑みを浮かべるシルヴィア。
 「フフ……確かに闘いがいがあるわね」

 病院の一室。
 そこの患者プレートには「高遠 遥一」と書かれていた。
 高遠のベッドの横に白マントの少年がいた。
 「何の用ですか 高遠さん」
 「あぁ……キミか……実は私の敵を討って欲しくてな……今 闘えない状態なのだよ」
 「ところで……何で 負けたんですか?」
 「……影だよ……影には気をつけた方がいい………」
 「影………?」
 「そう 影だ……シルヴィア……あの女は間違いなく影に何かを仕込んでいる」
 「分かりました 貴方の敵はオレが討ちましょう」
 その時 月光が白マントの少年の顔を照らし出した。
 怪盗キッド―――………。

 病院の外。
 そこに2人の男女がいた。
 京極 真と松原 葵。
 「約束通り来てくれたか」
 「ハイ 京極さん」
 「……では……本当の空手を教えてやろう……」
 そう言いながら京極は不気味に笑った。

 ◆事態は急展開!運命の輪が狂狂(くるくる)……狂狂と回り始める………!


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ザ・ドクター様の格闘小説17話
急展開???って既に急展開やのにこれ以上????(爆)
キッドが・・・キッドがこのバトルに参戦?!by あっきー

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