ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第18話 ガーレン

 4年前。アトランタオリンピック―――……。
 グレコローマンスタイルレスリング130kg級決勝。
 それにガーレンが出ていた。
 ガーレンとボブの闘いだ。
 試合が始まった。
 両者組み付く。しかし ボブは逃げる。

 投げられたくないからだ。
 アマレスと言うモノは投げられたらそれだけで相手のポイントになるからだ。
 ポイントを奪われるだけなら まだいいだろう。
 しかし ボブが恐れているのは まったく別の事である。
 俗にアマレスでは「リフト」という技がある。「リフト」………。その名の通り持ち上げる事を意味している。
 しかし ガーレンのリフトは既に1つの技として成立している。その名を「ガーレンズリフト」。
 そして ガーレンを知っている者に次のような問いをしてみた。
 「もし ガーレンと闘ったら フォール負けを選びますか?選びませんか?」と言う質問をだ。
 なんと100%の人が選んだのである。フォール負けを。

 そして 展開が変わった。
 試合が中断され ボブが 円形のリングの中央でにヒザをついて手を床に着いている。
 土下座の変形のような格好だ。その上にガーレンが被さる。
 そしてガーレンはボブを掴んだ。試合再開の合図がかかった時 観客達は驚くべきモノを見た。
 人が………。130kgを越える人間が軽々と後に投げられたからだ。
 軽々と3Mは飛んだ………!!
 『これはもうレスリングではな―――い』
 そう叫ぶアナウンサーの声が印象的だった。
 そしてガーレンは金メダルを獲得した。これがオリンピック3連覇の瞬間であった。

 ガーレンは後に語る。
 判定勝ちなど ちょっと技術があれば出来る。しかし それは本当の勝利ではない。
 相手を完膚無きに叩き潰しての………。圧倒的なポイントで勝ってこそ本当の勝利なのだと。

 「ガチャ……」
 扉が開いた。そして ガーレンが入って来た。ガーレンの視界にテレビが入る。
 そのテレビの内容は4年前のアトランタオリンピックだった。
 「いいかな ガスパディン アケチ」
 「えぇ ガスパディン ガーレン……オリンピックでは残念でしたね……」
 「あぁ……心配は無用だ………それにしても キミと私の出会いは衝撃的だったな」
 「えぇ……でも貴方にとってあれは衝撃的のうちに入らないでしょう?」
 明智がクスリと笑いながらそう言った。
 「そう あの出会いは―――………」

 4年前。アトランタ。
 明智が有休を取ってオリンピックを見に行った帰りだった。
 銀行強盗に遭遇したのは。
 「キャァァァァァッ」
 銀行の中から女性の叫び声がこだまする。と 同時に銀行から数人の男が飛び出してきた。
 風体からすると銀行強盗か。
 と 同時に明智は銃を抜き 構えた。
 「HOLD UP(手を挙げろ)!」
 そう叫びながら。
 銀行強盗達が明智を見てそう言った。
 「へッ……黄色い猿が何か言ってやがるぜ……ジャパニーズが………死になよ」
 その声と同時に男は銃口を明智に向けた。その時 明智は死をも覚悟した。
 弾丸は発射されなかった。
 男が銃を構えた銀行強盗の腕を持ち上げていた。
 その男を見た明智は呟いた。
 「ガ……ガーレン」
 次の瞬間 掴まれた男の姿が消えていた。
 「ドッシャァッ」
 ビルに叩きつけられた。
 「コッ コイツッッ」
 残りの銀行強盗が銃を構え ガーレンに向けた。
 と 同時にガーレンの両腕が銀行強盗に向かって伸びた。
 その瞬間だった。銀行強盗達が宙に飛んだのは。
 宙に勢いよく舞い上がり 重力によって叩きつけられた。
 「ズダンッ」
 受け身も取れない―――……。
 「本当にオリンピックの最中になんて事をしてるんだ……コイツ等……」
 「ご協力有り難うございます ガスパディン ガーレン」
 「キミは……?どこかで出逢ったかな………?」
 「ハハ 謙遜(けんそん)しなくてもいいですよ ガスパディン ガーレン……貴方の事は世界中の人が知っていますよ……」
 「何でも ロシアの英雄だとか………」
 「それは光栄だな………キミの名前は?」
 「明智健吾です 以後お見知り置きを」
 これが2人の出逢いであった……………。

 その時 明智警視の元に1人の男が駆けつけてきた。
 「大変です 明智警視ッ 新宿に変死体がッッ」
 「分かった すぐに行く ガスパディン ガーレンも来て欲しいッ」
 「了解した」
 明智は先程 駆けつけた男と話をしていた。
 「君は随分と元気だね……何という名前だったかな?」
 「ハイ 山田巡査であります」
 「言って置くがね 元気すぎるのも考え物だよ……昔 私には1人の勇敢な同僚がいた……」
 「その同僚は私よりよく働き 手柄もあげた……しかし その同僚はもうこの世にはいない………」
 「この仕事は危険が多い……ムリしないで下さいよ」
 「ワカりました 明智警視ッ」

 新宿。
 死体を見た明智は呟いた。
 「う……これは酷いですね……顔がグシャグシャに潰されている……」
 「身元を隠すためですかね 明智警視……」
 「そのようだな……身元確認を急げッ」
 その時 山田が駆けつけてきた。帽子を目深にかぶって。
 「大変です 明智警視ッ 向こうに裸で倒れている男がッ」
 「この事件の被害者かも知れないですね 剣持君向かって下さいッ 私も向かうッ」
 明智のその声でそこにいる警察官が全員が現場に向かった。
 しかし 山田だけが明智の後から動かなかった。様子を見ているような感じだ。
 それに気づいた明智は呟いた。
 「早く行きなさい……山田巡査……」
 その時だった。山田の帽子がパサリと落ちたのは。
 「………どうしました?山田巡査――――――………?」
 明智が山田に背を向けて そう呟いていた。
 しかし それは山田ではなかった。その顔は瑠璃―――……。
 瑠璃の拳が今 明智めがけて振り下ろされようとしていた。

 ◆遂に登場!瑠璃!その初めての獲物は明智!絶体絶命の大ピ――――――ンチィ!!


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ザ・ドクター様の格闘小説18話
明智警視ーーー!!!死ぬなー←おい(爆)
一般人を巻き込んで行ってるけど・・・・大丈夫なんかいな・・・@@;by あっきー

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