ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第21話 死闘U

 長島スーパーランド。

 「新一ィィィィィッ」
 蘭がそう叫んでいた。新一をシルヴィアに人質に取られたのだ。
 シルヴィアは新一を羽交い締めにしながら言った。

 「……フ……愛する人を人質に取られてでも攻撃できるかな?」
 その時だった。平次が木刀を背中から取り出し 突っ込んで来たのは。
 「工藤ぉぉぉっ!骨は拾ってやるからなぁぁぁぁ!」
 平次の電光石火の突きが 今 シルヴィアめがけて放たれた………!
 「バシュッ」
 「…………ッと」
 シルヴィアが工藤を盾にしていた。そのために平次の木刀が寸前で止まった。
 「…………ッッ 卑怯な………ッッ!」
 「へッ 何とでも言えばいい……勝つ事が全て 勝つ事こそが王道!!!」
 「確かにその通りだな しかし 一般人を巻き込む事だけは感心しねェ……少しはクリーンなファイトをしな」

 その時だった。一枚のトランプが飛んで来たのは。それはシルヴィアに襲いかかる。

 しかしシルヴィアは新一を盾にしようとする。
 「ガチィッ」
 新一が口で掴み取った。
 「誰だ!!!」
 シルヴィアがそう叫ぶ。それに呼応したかのようにトランプが飛んで来た方向から声が聞こえて来た。
 「フッフフフ 誰だとはご挨拶……久しぶりだな 工藤 服部………」
 「あ……あぁ……!オ……オマエは………!」
 シルヴィアが目を剥きながらそう呟いた。


 東京・新宿。
 北斗の強烈な正拳突きが瑠璃の腹にヒットしようとしていた。瑠璃は落ち着き払っている。
 「ガコォッ」
 ヒジとヒザで北斗の拳を挟んで防いだ。

 「蹴り足ハサミ殺しッッッ」
 明智がそう叫んだ。

 「フフ……この程度のモノ?………本当に日本人というモノは面白い人種だわ」
 「この程度の技で大騒ぎする」
 そう言いながら瑠璃が笑みを浮かべていた。
 その瞬間だった。北斗が瑠璃の腕を掴んだのは。
 一本背負いにいく………!いや。これは従来の一本背負いでは無かった。
 従来の一本背負いなら 掴んだ腕の内側を支点として投げるが この技は外側ッ……!
 ヒジを支点として一本背負いを放とうとしているッ…………!
 これは柔道に無い技ッ……!厳密に言えば “スポーツ”柔道には無いのだ。
 つまり“格闘技”柔道なら この技はあるッ…………!

 都内某所・講道館。そこに柔道無差別級金メダリスト・山下安弘(やました・やすひろ)がいた。
 「………は……?一本背負い……………?あぁ ……あの技ですか……?」
 「知っていますけど……えぇ……何が聞きたいンですか?」
 「え……?一本背負いのバリエーション………?ン〜〜〜〜……これを話すべきかどうか……」
 「…いいでしょう……元々柔道が格闘技であった事は知っていますよね?ハイ……ハイ……それなら話は早い………」
 「格闘技としての柔道……それには危険な技もあった事は事実です……しかし この講道館の創始者は考えた……」
 「道場を作るに当たり 危険な技を教えるべきかどうか……と………彼は悩みに悩みました」
 「その結果 教えるべきでは無いとの結論に至りました……私の教える柔道は飽くまでもスポーツ……護身………」
 「その考えを貫いたのです……そのまま 封印されたと思われた危険な技ですが………実はそうじゃァ無かった……」
 「……その技の一部は色々な格闘技に脈々と受け継がれているのです……柔術………そしてプロレスにも………!」
 「え………ヒジ関節を中心にして放つ一本背負い……?あぁ そう言うのは確かにありますよ」
 「……でも それって確か日の目を見ずに封印されたハズですけどね……余りにも強力過ぎると言う事で……」
 「もし その技を誰にも教えられず……自分の力で開発したのならその人は天才ですよ……ハハ……」
 「そして その技に対策は無い………柔道では…………ッッ!」

 瑠璃は思った。
 (このまま堪えれば確実に折られるわ………!……その前に………!)
 瑠璃が跳び 蹴りを放った。北斗の背中に。
 「ドガァッ」
 しかし 北斗の握力は並大抵では無い。そのまま離さずに投げに行く………!
 「グンッ」
 「これでも倒れないと言うのッッ」
 「ズダ――――ン」
 瑠璃が背中から大地に叩きつけられた。辛うじて腕は折れていない。
 直ぐさま立ち上がろうとする瑠璃と追い打ちをかける北斗。立ち上がろうとする者と立っている者………!
 どちらが有利かはすぐに分かる……。
 例えば 椅子に座っている者と立っている者……この2人が闘ったならば………。
 確実に立っている者は椅子に座っている者をボコボコにする事が出来る。
 一応 椅子に座ったままでも攻撃は出来るが力のない小手先だけの攻撃。そんなモノは時間稼ぎにもならない。
 つまり 立っている者が圧倒的に勝利を収める事が出来る………!
 そして この場合は………!!
 北斗の正拳が立ち上がろうとする瑠璃を襲う。そして瑠璃はそれをまともに喰らい 吹っ飛んだ。
 吹っ飛んでいる最中に体勢を整えて瑠璃が着地。再び向き合った。
 「へッ なかなかやるじゃねェか」
 「貴方もね」
 そう言いながら2人は不気味な笑みを浮かべていた。

 ガーレンがシェラザードを掴み投げた。
 「ドガァンッ」
 直ぐさま立ち上がるシェラザード。しかしまたもや掴まれる。そこからガーレンズリフト――――……。
 「ブァッ」
 高く高く投げられた。そのまま重力の力を借りて勢いよくシェラザードが落下………!
 「ズダンッ」
 その時であった。シェラザードの影が動いたのは。影がざわ、ざわ、と蠢き始めた。
 それを見たガーレンは構えながら言った。
 「ぬぅ!!?」


 長島スーパーランド。

 シルヴィアは呟いた。
 「か……怪盗キッド!!」
 「……その少年から手を離せ フェアな闘いをしようじゃないか」
 そう言うキッド。それを聞いたシルヴィアは不気味に笑いながら新一を解放した。
 「……そう……それでいい………」
 そう言うキッド。しかし 彼目掛けてシルヴィアがダッシュした。
 それを見たキッドは右拳でシルヴィアを叩きに行く。
 しかし シルヴィアはそれをかわした。その時だった。蘭の眼がそれを捉えたのは。
 宙にキラッと光るモノ……。この場合はそれに太陽の光が反射しているのだろうか。
 「キッドッッ」
 蘭がそう叫び キッドが返答した瞬間だった。
 「なんだい?」
 キッドの右腕がキッドに別れを告げたのは。キッドの右ヒジから下が何かに切断されたのだ。

 ◆なんと言うコトだ!!?キッドの右腕が切断されたァァ!


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ザ・ドクター様の格闘小説21話
Σ( ̄□ ̄;)Σ( ̄□ ̄;)Σ( ̄□ ̄;)Σ( ̄□ ̄;)Σ( ̄□ ̄;)Σ( ̄□ ̄;)Σ( ̄□ ̄;)Σ( ̄□ ̄;)
キッドぉぉぉぉぉぉぉぉぉ (断末魔)by あっきー

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