ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第26話 新生・葵

 
 警視庁の会議室。京極に鍛え上げられた葵が 京極と共に姿を現した。
 その葵の変貌振りに一番驚いたのは 平次と新一だろう。
 新一はコナンとして 平次と一緒にエクストリームを見ている。その時の葵と比べれば何かが違う。
 力も違う。闘気も違う。全てがエクストリームの時とは異なっている。
 (……こ……これが……あの葵か………?)
 「さて諸君 出ていってもらおうか……この前のように誰かが人質にならないとは限らないからな……そこの新一君のように」
 京極がそう言うと 明智達は出ていった。そして後には葵と京極とシルヴィアが残された。

 「始めましょうか シルヴィア」
 そう言いながら葵が拳をポキッと鳴らした。
 その瞬間 シルヴィアがダッシュして来た。それを葵はパンチで迎え撃つ。
 「右廻し蹴りだ 葵」
 京極がそう呟いた。
 次の瞬間 シルヴィアが葵の正拳をかわした。と 同時に葵が右廻し蹴りを発動。
 シルヴィアがその右足に吸い込まれるように強烈にヒットした。
 「よし――――――……」
 京極のその言葉と同時に 葵の正拳がシルヴィアの顔を捉える。
 「ドゴォッ」
 簡単に吹っ飛ぶシルヴィア。さらに追い打ちをかける葵………。
 「ドガァッ」
 葵の右ハイキックがシルヴィアのこめかみを叩いた。
 さらに葵の連撃――――――……。
 「ズドドドドドドッ」

 それを見ながら 浮かぬ顔で京極は思っていた。
 (おかしい――――――……シルヴィアがあれ程 容易に葵の攻撃を喰らうとは………)
 (どう考えてもオレの予想では 6対4で葵だった………しかし――――……)
 (これでは9対1では無いか!!!)

 「ガッガッガッガッガッ」
 葵のショートパンチが連続でシルヴィアにヒットする。
 それを喰らったシルヴィアは痛みに悶える。

 その時 京極の目線が机の上に移った。机の上に置かれた1枚の紙を見た京極は呟いた。
 「な………何……?こ……これは………?まさか!!?これが本当だとするなら……………!!」

 葵の連撃はまだ続いている。続いている。続いている。
 ビチャビチャと血が回りに飛び散る。
 その時 シルヴィアが動いた。
 「ダッキング!」
 京極のその声と同時に葵が屈んだ。そして次の瞬間 反動をつけて飛びヒザ蹴りをシルヴィアのアゴに放った。
 「ガコォッ」
 シルヴィアが仰け反る。さらに葵がガラ空きになったシルヴィアの腹に蹴りを入れる。
 「ドボォッ」
 「グハァァッ」
 シルヴィアがそう叫びながら 腹を押さえ 悶え苦しむ。紅い海を転げ回りながら。
 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ」
 その瞬間 葵がシルヴィアを蹴り上げた。
 「ガッ」
 と 同時に シルヴィアの髪を掴む。
 「グィッ」
 「どうしたの?何故反撃しないの?」
 「………ヘ………ヘヘ………元気いっぱい……だわよ……」
 そう言うシルヴィアの顔は血塗れになっていた。説得力はない。
 そして 次の瞬間 葵が全体重を寸打(すんだ)を放った。
 寸打――――――……古代中国が生み出した超ベリーショートパンチである。
 わずか3cm――――――……いや 正確には2.54cmの距離からのショートパンチだ。
 それをミゾオチに喰らったシルヴィアは吹っ飛び 窓ガラスに激突。
 「グワシャァァァン」
 しかし その勢いは弱まる事はなかった。窓から外に飛び出てしまった。
 「!!!!」
 それを見た京極は呟いた。
 「こ……これで……これで あの紙に書かれていた事がハッキリする」
 「シルヴィアの正体が――――――…………」

 勢いよくコンクリートの上に落下するシルヴィア………!受け身を取る気は無い。
 そして 勢いよくコンクリートに激突した。
 「ドカァァァツ」
 それを上から見た葵は呟いた。
 「終わったわね……もう生きてはいな…………え?」
 その時 葵は 自分の目を疑った。シルヴィアがムクリと何事も無かったかのように起き上がって来た。
 そして手でパンパンとホコリを払っている。
 「な……何……?あれ……?落下のダメージが全然無い!!?」
 それを見た京極は呟いた。
 「やはりか………これを見ろ 葵……アイツはプロレスラーだ……と言っても元だがな」
 「プロレスラー……?」
 葵がキョトンとした顔で尋ねた。
 「そうッ プロレスラー!その耐久力は他の格闘技に類を見ないッッ」
 その時だった。シルヴィアが上を見上げたのは。そして不気味な笑みを浮かべた。ニィッと。
 シルヴィアは警視庁に入り カーテンを引き裂き 自分の顔に付いていた血を拭き取った。
 そして カツ…カツ……と階段を上るシルヴィア。
 そこに葵が飛んで来た。葵の蹴りが寸分違わずシルヴィアの顔を捉えた。
 「グチャリ」とシルヴィアの鼻が折れる。そのまま仰け反るシルヴィア。バランスを崩し 階段から滑り落ちる。
 さながら 池田屋の階段落ちである。
 「ドカァッ」
 そのまま壁に激突したシルヴィア。そこに葵のヒザが叩きつけられた。
 「ベキィッ」
 そして 間合いを取る葵。起き上がって来ないと思われたシルヴィア…………!しかし 彼女は起き上がって来た。
 「………………ッッ…何!!?この驚異的な耐久力は!!?」
 次の瞬間 シルヴィアの拳が葵を捉えた。
 「ブンッ」
 「グワァキィィッ」
 シルヴィアの拳が葵の腹を捉えた。葵はそのまま 吹っ飛ぶ。
 「ッダァァン」
 階段を越え 踊り場の壁に激突した。
 「がふ………!!」
 血を吐きながら 葵はそう呻いていた。薄れ行く意識の中で葵はシルヴィアの言葉を聞いていた。
 「………遊びは終わりよ………」

 ◆なんと なんと今までのシルヴィアは本気じゃなかった!次回 本気のシルヴィアが葵を襲う!!

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ザ・ドクター様の格闘小説26話
葵の強さは半端じゃないのにその葵の攻撃から一転してシルヴィアの攻防!!
シルヴィアも恐いがこの闘いを見ているまわりもかなりの恐怖(爆)
次で決着はつくのか???by あっきー

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