ラン〜RAN〜
ザ・ドクター様

第3話 ドイツ・『ザナドゥ・スコルピオン』

 ドイツ・ネオナチス軍舎。

 そこの総統室で1人の女性がシャワーを浴びていた。
 ドイツの英雄であるザナドゥ・スコルピオン。それが その女の名前であった。
 その女の裸体は美しかった。まるで美の女神・ヴィーナスのように。
 しだけた眼。そして筋の通った鼻。そしてスタイルのいい締まった身体。
 そのどれもが美しさの要素を兼ね備えていた。
 髪は金色の長髪。腰まで伸ばしていた。
 そして スコルピオンがシャワー室から出て身体を拭いている時 ノックの音がした。
 「いいでしょうか スコルピオン様」
 「ヘルガですか………お入りなさい」
 「ハイ スコルピオン様」
 「………で何用ですか?ヘルガ?」
 「ハイ ドイツの大統領が会いたいとのことです」
 「ドイツの大統領……?何で………?」
 「さぁ……?察するにスコルピオン様に話があるのではないかと………」
 「話……ね……」
 そう呟きながら スコルピオンは最悪の状況を思い浮かべていた。

 ドイツ大統領館。
 そこの一室にスコルピオンは通されていた。1人の青年が そこにいた。
 ドイツの若き大統領・ヘルシンクである。
 「これは これは……初めてお目にかかる……スコルピオン殿……噂通りの美しさだ」
 しかし スコルピオンは そのほめ言葉にも耳を貸さず言い放った。
 「スコルピオンです」
 「女にしては 度胸が座ってらっしゃるようだ……女にしておくのが勿体ないですよ」
 「……それで 何の用ですか?」
 話を自分の都合のいいように進めるヘルシンクと飽くまでも自分のペースを通すスコルピオン。対照的であった。
 「実は…………ですね……貴方は ドイツの英雄だそうで………」
 「それで……?」
 「ドイツに英雄は2人もいらない……死んでいただきたいんですよ」
 その言葉と同時にヘルシンクの口に不気味な笑みが浮かんだ。

 次の瞬間 ヘルシンクは素早くその部屋から出てドアをロックした。
 「くッ……出せ……ッッ!」
 その時だった。部屋の天井から何らかのガスが放出されたのは。
 「これは………?ガスか…………?くッ………」
 スコルピオンは口を塞ぎ息を止めた。しかし息が続くのにも限界がある。
 しばらくして スコルピオンの意識が徐々に途切れる。
 「クッ………催眠ガスか……」

 数十分後。寝ているスコルピオンは暗闇の中で目覚めた。全裸で。
 その時 その部屋全体に明かりが灯された。
 「お目覚めかね スコルピオンくん」
 スコルピオンの視線の先には口を意地悪く歪めつつ 笑うヘルシンクが立っていた。
 スコルピオンは ヘルシンクの空間と 自分の空間に隔たりがある事に気がついていた。
 (……壁……?いや……ガラスか……呼吸穴はあるようだ……それでも指一本通るかどうか……きわどいところだな)

 現在の位置。スコルピオンが大地に寝たままの体勢でいた。その間にガラス壁があるので立ち上がれない。
 今のところ ヘルシンクが絶対的に有利ッ………!
 「どうしてキミを生かしておいたのかワカるかね?」
 「キミの力が欲しいのだよ 無論 キミの持っているネオナチスの力だ」
 「今 ネオナチスの力を手に入れれば……世界をも制覇できる……」

 その時 スコルピオンがボソボソと呟いた。
 それを聞いたヘルシンクは不用意にスコルピオンに近づく。2人のボディーガードを無視して。
 「お待ち下さい ヘルシンク大統領ッ 相手はあのスコルピオンですぞッッ」
 「だから 何だというのだ?いくらスコルピオンといえども あの状態から手は出せまい」

 「ボソボソボソ……」
 スコルピオンの声を聞き取るために ヘルシンクは自分の耳を 空気穴に近づける。
 その時だった。閃光が空気穴を走り抜けたのは。
 スコルピオンの中指が一寸違わずヘルシンクの耳穴を貫いていた。
 「口が臭ェんだよ」

 「ヘ……ヘルシンク大統領ッッッ」
 そう叫びながらボディーガードは拳銃を抜く。
 と 同時にスコルピオンは拳でガラス壁を破壊した。
 そして スコルピオンはヘルシンクを盾に ボディーガードめがけてダッシュする。
 ボディーガード達の放つ弾は全てヘルシンクに当たる。今 スコルピオンはヘルシンク大統領を弾避けに利用している。

 次の瞬間 1人のボディーガードの顔が潰された。スコルピオンの拳に――――……である。
 それを見た残りのボディーガードの1人は泣き叫んだ。
 「ヒィィィィッ 助けてくれェェェッ」
 「………見苦しいわね……助かるチャンスをあげましょう……」
 そう言いながらスコルピオンは 拳銃を拾った。そして呟く。
 「弾を……」
 ボディーガードは大人しく6発の銃弾を渡した。
 そして スコルピオンは拳銃に弾を3発装填してシリンダーを回して言った。
 「ロシアンルーレット……名前ぐらいは知っているでしょう?」
 ロシアンルーレット。それは昔から根性試しとして語り継がれて来た命懸けのゲームである。
 「今 6発の中に3発の実弾が込められている………つまり確率は1/2……」
 そしてスコルピオンが己の耳に拳銃を当てて引き金を引いた。
 「カチン」
 弾は出なかった。
 そして スコルピオンがボディーガードに銃を突きつけた。
 「残りは3/5……まだ割りがいい数字ですね」
 そう言いながらスコルピオンは引き金を引いた。スコルピオンの指先に振動が走る。
 「カチッ」
 「……また空か………さらに1発加えて……2/3!普通はこの辺りで決まる………」
 そして スコルピオンは またもや引き金を引いた。
 「カチン」
 ………弾は出なかった。スコルピオンという女。強運に守られているらしい。
 「………次は4/5!かなりの高確率で弾は出る………。アタシが運命を決めてやろう」
 そう言いながらスコルピオンは銃を突きつける。ボディーガードは腰が抜けて立てない上に涙を流していた。
 「も………もう………」
 「ガチィッ」
 「また 弾は出なかった……もしかするとキミは生き延びられるかも知れない」
 そう言って スコルピオンはまた弾を込め シリンダーを回す。
 「シャ――――………」
 「これが最後……アタシか……キミか……どちらが死ぬか………」
 「勝負………!!」
 そう言いながらスコルピオンは引き金を引いた。
 「カチン…………」
 ………出なかった。スコルピオンという者。強運に守られている。
 それも ただの強運ではない。天性の強運――――……!!
 「最後だな」
 スコルピオンがそう呟いた時だった。ヘルガが入って来たのは。
 「スコルピオン様 助けに参りました」
 「あぁ ヘルガか 着替えはあるか?」
 「えぇ こちらに………スコルピオン様」
 「………とりあえず今日のところは生かしておいてあげるわ……感謝してよね?」
 「あ……そうそう……スコルピオン様……先程 メールが………」
 ヘルガは着替えているスコルピオンにそう言った。パソコンを巧みに操りながら。
 「どこからだ?」
 「日本です」
 「日本………?内容は?」
 「えーっと 今 読んで見ますね……」
 「東京に最強の闘士現われり。これをG−5の名を以って撃沈せよ。KING」
 「………だそうです」
 それを聞いたボディーガードは叫んだ。
 「G−5!!?アンタがあのG−5の一員だったのか!!?」
 「……そうだ……」
 「ハハ……なら敵うワケねェやな……ハハハハ………」

 スコルピオンは呟いた。
 「東京……か……ヘルガ 一緒に来るか?」
 「ハイ スコルピオン様」
 ヘルガは明るく笑いながらそう言った。

 数日後。
 「ヘアリッヒ スコルピオン!(素晴らしきスコルピオン!)」
 「デア グローセ ヘルト!(偉大なる英雄!)」
 「デア グローセ フューラー!(偉大なる指導者!)」
 「デア グローセ スコルピオン!(偉大なるスコルピオン!)」
 「スコルピオン デア グローセ フューラー!!(スコルピオンは偉大なる指導者だ!!)」
 ネオナチス信者達のスコルピオンに対する歓声に包まれて スコルピオン達は東京に旅立った――――。

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ザ・ドクター様の格闘小説3話
そしてドイツから3人目が・・・・・
しかし・・・みんな・・・・死に近い位置にいるけど・・・蘭の空手は通じるのか???
日本の5人の強者といったい・・・・・・って気になるやんけ(爆)
あと二人・・・・・・?・・・・・・・・一体どんな格闘センスの持ち主?(なんか変な感想(笑))by あっきー

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