ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第4話 イギリス・『シルヴィア・アレクシス』

 第4話 イギリス・『シルヴィア・アレクシス』

 イギリス。
 グラスゴー郊外カリオス刑務所。
 そこの一室に1人の女性がいた。
 女性は扉に背を向け 座っていた。日本で言うところの正座。
 その時 扉が勢いよく開いた。
 「囚人番号444ッ 出ろッッ」
 「何………?」
 そう言って女性が振り返った。
 「上からの命令だ……なんだか知らないけど戦えってよ」
 「闘う………?」
 そう呟きながらシルヴィアは思った。
 (……なるほど………アタシを潰すつもり……?でも それは通用しないと思うわ……)
 (いかにイギリス最強の男を連れて来たとしても…………!)
 そう思いながら シルヴィアは先程の男についてそのまま歩く。
 その先には闘技場があった。刑務所内に急遽仕立てられた闘技場。
 それは 粗末なモノであった。大地は砂。その20m四方にロープが張り巡らされていた。
 「………こ……これは………?」
 「そう そこで闘うのだ シルヴィア……イギリスの罪深き罪人よ………」
 シルヴィアは 「ふぅっ」と溜息を吐きながら言った。
 「………で……相手は……?」
 「あの男だ」
 そう言いながら所長らしき男がある一点を指差す。そこを見たシルヴィアは思った。

 (な……ッッ あ……アイツは……ッッ!)
 「その驚きようでは知っているようだな……我がイギリスが誇るプロレス王………」
 「カール・ハインツ・イスタス」
 「文句無しにイギリス最強の男だ」
 「この男と闘ってもらう……勝てば無罪放免……負ければ……」
 「死……ってコトね………いいわ………その条件で十分よ」
 (プロレスにとってこのリングは凶器………)
 (通常 リングに埋められているダメージを和らげるスプリングが無いために……)
 (リング上で与えられるダメージとは比較にならない………ッッ!)
 (早期決着………)
 シルヴィアの脳裏にその四文字がよぎった。

 その時 所長らしき男が叫んだ。
 「始め!!!」
 と 同時にカールがダッシュ。迅速のスピード。
 そして カールはシルヴィアの右腕を取りに行く。
 「パシィッ」
 次の瞬間 カールが迷わず シルヴィアの右腕を折りに行く。
 それと同時だった。シルヴィアの蹴りがカールの腹に入ったのは。
 「ドボッ」
 そして空いている左手で裏拳……。しかし この裏拳。体重も入っていない普通の裏拳であった。
 「ガキィッ」
 その威力でカールの手がシルヴィアの右腕からズルリと落ち 吹っ飛んだ。
 ロープに衝突して跳ね返るカール。彼を待っていたのは地獄だった。
 シルヴィアがカールのバックを取り クラッチを組む。
 「ガチィッ」
 そして そこからバックドロップを放つ。『投げる』バックドロップではなく『落とす』バックドロップ。
 『投げる』と『落とす』のでは威力が違う。
 『投げる』のを魅せるのを旨とする技なら『落とす』のは破壊するのを旨とする技………。
 「ゴシャァッ」
 頭から落ちたカール……。鈍い音がした。
 「勝負あ」
 しかし シルヴィアはまだ試合を終わらせない。気絶しているカールを再びバックドロップの型に捉える。
 「ガキィッ」
 「グシィッ」
 またもや『落とし』た――――――………。

 「オ……オイ……そこら辺で……」
 所長が そう呟く。

 「ダメよ 所長……完膚無きに仕留めない限り 勝利とは言えないわ…………」
 「そう……相手が二度と立ち上がれなくなるまで完膚無きに――――――……」
 「ガキッ」
 シルヴィアが またもやバックドロップの体勢を取る。次の瞬間 シルヴィアは勢いよくバックドロップを放つ。
 しかし これは『落とす』バックドロップではない。『投げる』バックドロップだ。
 その軌道の先に鉄柱があった。それに叩きつけるつもりか。
 「ドグワッシャァッ」
 叩きつけた――――……。これ以上は無いという程 強烈に。
 「終わったわ……所長……これで晴れて無罪放免ね…………」
 シルヴィアが笑みを浮かべながらそう言った。
 その笑みを見ながら所長は思った。
 (か……考えが甘かった………ッッ…………)
 (これ程の強さを持つ女に………この地球上の誰が勝てるというのだッッッ)

 イギリス・ロンドン。地下街。
 そこで1人の男が酒を飲んでいた。
 「切り裂きジャック……久しぶりですね……」
 酒を飲んでいた男は後からの声に気づいて振り返った。そこにはシルヴィアがいた。
 「………アンタかい……何の用だ?」
 「…………久しぶりにアンタと組みたい………一緒に日本に向かうんだ」
 「……日本?何故?」
 「……そこに最強の戦士がいるようなんでね……それに加えて平和ボケした国だ……」
 「ぬるま湯化した今の日本にとってアンタの来日は丁度 いい………」
 「マグニチュード級の衝撃を与えるだろうよ」
 「日本に行けば……切り刻めるのか………?人間を………?」
 「あぁ……日本に着いた後は好きにしたらいい……」
 「アンタが人を殺そうが警察に捕まろうが全てアタシには関わりのない事だ」
 「フン かなりの好条件だな……日本には会ってみたいヤツもいるしな………」
 「あぁ……アンタが初めての敗北を知ったあの……ジャパニーズか……」
 「あぁ………こんな復讐の機会はまたとも無い………ついていくぜ シルヴィア」
 そう言って切り裂きジャックはウイスキーをグイッと飲み 立ち上がった。
 「その前に……」
 切り裂きジャックはそう呟いたと同時にナイフをシルヴィアに向かって投げた。
 「力を試してみねぇとなァッ」
 「ピシィッ」
 それをシルヴィアは後廻し蹴りで叩き落とした。
 「ヒュ〜〜ブラボ〜〜〜」
 「これなら組めるな 弱いヤツと一時でも一緒に行動したくねェからなァ」
 「それではアタシは合格……………と言うワケかな?」
 シルヴィアはそこで一旦言葉を切った。
 「クックックックック…………」
 「本当に相変わらず人が悪い………」
 「でも そこがアンタの魅力なんだよなァ」
 そう言いながらシルヴィアは笑みを浮かべていた。
 シルヴィアは呟いた。
 「では 行こうか……東京に………」

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ザ・ドクター様の格闘小説4話
おわっとそして4人目が・・・・・・(笑)
(いろいろ変更すまんでし・・・)
イギリスからはプロレスのシルヴィア・・・・
世界の格闘家たちが日本に集結?・・・でも格闘家と呼べる人は何人だ??(爆)こわすぎるっby あっきー

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