ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第31話 鼻歌

 
 東京ドーム。シルヴィアと北斗が激突していた。
 「ミシミシミシ」
 北斗の腱が悲鳴を上げる。
 しかし北斗はギブアップをしない。いや。最初からする気が無いのだろう。
 北斗は強靱なる精神の持ち主だから。
 「ガコォッ」
 アキレス腱をキメながらも北斗はシルヴィアの顔に攻撃を加える。
 「ドゴッ ドゴッ ドゴッ」
 その攻撃にたまらずシルヴィアは離れた。そして北斗は立ち上がり間合いを取る。
 「シュザッ」
 (強い―――――……)
 自分の経験。自分の力。それらを相手と照らし合わせて本能が そう呟いた。
 誰に聞こえるともなく…………。
 「ビシィッ」
 北斗のローキック。それがシルヴィアの脚にまともにヒットする。
 「ビシッビシッビシッ」
 北斗の連続ローが次々とシルヴィアの脚を捉える。

 その時 不意に明智の携帯が鳴った。
 「あ。誰ですか?ハイ もしもし」

 「明智さん!どこにいるんだよ?アンタ?」

 「あぁ 金田一くんですか……東京ドームですよ」

 「東京ドーム?アンタ……なんでそんなところに………?今日 試合ねぇだろ?」

 「フフッ 来てみれば分かりますよ 金田一くん……多分面白いモノが見れますよ」

 「面白いモノ?分かった 美雪 いくぞ」
 「うん はじめちゃん」
 明智の持っている携帯の向こうからそう声が聞こえてきた。
 「やれやれ 騒がしくなりそうですね」
 明智はそう呟いた。
 
 「ガコォッ」
 北斗のパンチがシルヴィアの顔に入り 吹っ飛んだ。しかしシルヴィアはダウンを堪え 構えた。
 「………耐えやがった」
 北斗がそう呟いた。
 「……どうしたよ?北斗?速く来いよ?今がチャンスだぜ?」
 そう言うシルヴィアの身体から何かが溢れている。オーラと言い換えてもいいか。
 北斗はそれを感じ取っていた。
 (…………何だ?アイツ……?オレの攻撃を紙一重でかわし カウンターを喰らわせる気か?)
 (そうとなれば 迂闊に飛び込めぬッッ)

 (来なさいよ 北斗……次に貴方が攻撃した瞬間にケリが着くわッッ)
 そう思いながらシルヴィアは右拳を力強く握りしめた。ぎゅぅっと肉が哭(な)いた。

 その時 シルヴィアが一歩前に出た。それを見た北斗は思った。
 (来る気かッッッ 攻撃を加えに来る気かッッ そうは―――――……)
 (させないッッッッ)
 その思いと同時に北斗が動いた。低空の後廻し蹴り。それがシルヴィアのふくらはぎを襲う。
 「ボリュッ」
 「ほいッ」
 シルヴィアが軽く跳んでかわした。そしてシルヴィアが着地。……したと同時に北斗の顔を襲う。
 シルヴィアの左拳がッ……………!
 「ドカァッッ」
 北斗はそれを顔で受けた。避けもせず ブロックもせずに…………。
 普通の人なら これを自殺行為と思うだろう。しかし それが本当のプロレスラーなのだ。
 相手の攻撃をギリギリまで耐えた末の逆転劇。それがプロレスラーの真骨頂。

 その時 スコアボードの下で1つの影が動いた。
 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
 「KILL YOU〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………♪」
 「GO TO HEVEN〜〜〜〜〜♪」
 「GO TO HELL〜〜〜〜〜♪」
 その影は鼻歌を歌いながら 持っている拳銃に弾を込めていた。
 「カチリ………カチリ………カチリ………」
 6発……弾丸を込めていた………。
 「………よし………」
 そう呟いて 影は立ち上がり照準を合わせる―――――………。


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ザ・ドクター様の格闘小説31話
シルヴィアと北斗の闘いはかなり熱く・・・・・とその一方で拳銃で狙う影??
ちょ・・ちょっと・・・Σ( ̄□ ̄;)
もしかして裏切り者の抹殺でシルヴィアが狙われとるんか??(汗)by あっきー

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