ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第34話 親友(とも)

 
 東京ドーム。
 明智の胸から血が吹き出ていた。明智は虚ろな瞳で一(はじめ)を見つめていた。
 「き……金田一………くん…………」
 そう呟きながら スロービデオでも見ているかのようなゆっくりな動きで沈んだ。
 「あ………明智さん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 一の絶叫が響いた。
 「美雪!速く 救急車を呼ぶんだ!」
 「うん!」
 そう言うより速いか 美雪は携帯を取り出し救急車を呼び出す。
 
 一は怒りの形相でシェラザードに向かって歩みを進める。
 「オイ アンタだろ?これやったの?どうしてくれるんだ?」
 「どうする………とは………?どういう事でしょう?」
 その瞬間だった。一の拳がシルヴィアの顔を捉えたのは。
 「ふざけるな!!!人の命を奪っておいて………このまま ただで済むと思うなよ?」
 一がそう言った。
 「まだ死んでないわよ 一ちゃん!」
 「勝手に……殺さない……で……下さい………」
 明智が途絶え途絶えにそう言った。 
 「一ちゃん!すぐにかけつけてくれるって!」
 「あぁ そうか 美雪 明智サンの様子を見ておいてくれ」
 「え?は……一ちゃんは………?」
 「オレはコイツと話がある……」
 そう言いながら 一はシェラザードを睨み倒していた。
 (な………なんか……今日の一ちゃん いつもとは違う……こんなの……一ちゃんじゃない………!)
 「………顔は覚えた……首を洗って待ってろよ キサマだけは このオレが叩きのめす」
 「出来るの?その脆弱な身体で」

 そして数分後 明智が救急車で運び出され 手術が始められた。
 手術室のランプが赤々と灯っている。
 手術室の外では一と美雪。そして京極が待っていた。
 「う〜〜 生きて還って来いよ 明智サン………」
 その時 京極が一に土下座をした。
 「すまなかった この通りだ………」
 それを見た一は京極の肩に手をやりながら言った。
 「き……京極さん………何を………?」
 「オレのせいだ……オレがあの怪物を仕留めていれば 明智さんが撃たれる事も無かったのだッッッ」
 「なんだ………そんな事か……謝る必要は無いさ 京極さん……悪いのはアイツなんだ………それに………」
 「それに………?」
 「男はそんなに簡単に土下座をしてはいけない………生涯にただ一度……絶対に為さねばならぬ時………」
 「それが 土下座の時期だ 少なくとも今は その時期では無い」
 その時だった。手術中を示すランプが消えたのは。
 「終わった………か………?」
 そして 手術室の中から1人の若い医師が出てきた。
 その男性は タレ目のの美声年だった。そして 口元にホクロがあった。
 「金田一さん――――――……おられますか?」
 「ア ハイ 金田一はオレですが」
 一を見た医師は思った。
 (なるほど……いい眼をしているな……若くて瑞々(みずみず)しい眼だ……)
 「明智さんの担当医を努めました ドクター高松と申します」
 「あ……ハイ……これはこれは……エ?努め………た………?」
 一は頭を下げたが 高松の言葉に疑問を持って尋ねた。
 「ハイ………残念です」
 「バ………馬鹿な……明智さんッッッ」
 そう叫びながら一は手術室に飛び込んだ。
 そこは………静かだった。ただ1つを除いて。
 オシロスコープ。心臓の鼓動や脈拍が一本の線で現れるあれだ。普通ならば何らかの反応を示す。生きていれば。
 しかし 明智に限ってはそれが無かった。線は何の反応も示さず ただ真っ直ぐに直線を描いていた。
 「ウ……ウソだろ……本当に死んじまったのかよ……明智さん…………」
 「金田一くん………明智さんから遺書を預かっていますがご覧になりますか?」
 「遺書?ハイ……」
 一の返事を聞いた高松は懐から一枚の封筒を取り出した。
 
 宿敵 金田一一君。
 キミがこれを読んでいると言う事は私はG−5の中の誰かに殺されていると言う事だろう。
 しかし 悲しまずに明智 健吾の遺言を叶えて欲しい。
 何故ならば キミは私にとって。
 そして私はキミにとって生涯の敵であり 障害物であり そして親友なのだから。
 繰り返す。
 明智 健吾の遺言を叶えて欲しい。
 今から 君は――――……この事実をマスコミ各社に流さず………。
 ヒッソリと……ヒッソリと警察の身内だけで葬儀を行い………。
 その葬儀の指揮を執り――――――………。
 弔文を読み――――――……この世から明智 健吾の名前を完全に葬り去って貰いたい。
 その際 絶対に私のファンには この事を知られぬようにして欲しい。
 尚 通常の火葬ではなく 水葬を望む――――――………。
 
 そして警察関係者だけの葬式が行われた。それが終わった時 美雪が一に声をかけた。
 「は……一ちゃん………」
 「来るな 美雪……今のオレに触れたら どうなるか分からない………」
 (明智さん アンタの敵はオレが討つ)
 一の形相を見た美雪は身体を震わせながら思った。
 (…は……一ちゃん………怖い………)

 ドイツ・ベルリンから日本・成田に向かう飛行機の中。そこにスコルピオンの参謀であるヘルガがいた。
 ヘルガはコンピュータを操っていた。飛行機の中では禁止になっているにも関わらず。
 (やはり………この蘭とか言うヤツが邪魔になってくるな……この女には計り知れぬ力を感じる……)
 (我がスコルピオン総統の世界征服のためには始末せねばならない………)
 (しかし どんな手段を使えば………?)
 
 東京。新一の家。
 「な………なんだよ………こりゃぁ………?」
 新一の声だ。何かに驚いているような声。
 「か……完全に治ったんじゃ……完璧な解毒剤が完成したんじゃ無かったのかよォォォ!!?」
 新一がコナンに戻っていた。
 「ま……まさか……あの占い師の言っていたのはこう言う事だったのか………?」
 「『新一』の『死』……。それは『コナン』に戻る事………それを言い当てたと言うのか………?」

 ◆明智が死し、工藤もコナンに逆戻り!!死が死を呼び 新たなる展開を呼ぶ!!


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ザ・ドクター様の格闘小説34話
明智警視の葬儀が・・・・・・・・・・・・・・・・バタッ(倒)
そしてコナンに戻った新一・・・・そして特別出演の高松・・(爆笑)←知ってる?パプワ君のキャラだよん
気になるのははじめちゃんの行動・・・・うーーーーん by あっきー

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