ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第36話 銀行強盗

 
 スコルピオンとピーターソンは喫茶店を出て目の前にある銀行に眼を向けた。
 そこには警察官がたくさんいた。武装した警察官が。
 ピーターソンは1人の警察官に向かって声をかけた。
 「ねぇ これは何の騒ぎ?」
 「アン?銀行強盗だよ……なんだオマエ等?ここは一般立入禁止………って……ワァァッ!!?」
 後から聞こえて来たその叫び声を聞いた警察官達は一斉に振り返った。
 「ス……スコルピオンにピーターソン!!?な 何でアンタ等がここに?」
 「そんな事はどうでもいい……人質は?犯人は?何名?」
 その時 一番前から白鳥警部が出てきた。
 「キミ達……何でここに?残念だが一般市民の出る幕では無い」
 「へぇ……いいの?このままだと人質……殺されるわよ?」
 「もって あと5分くらいね………どうする?ピーターソン?」
 「決まってるじゃない?この人達を無視して助けるわよ……準備はいい?スコルピオン?」
 「勝手な事は許さないぞッッ」
 「へぇ……いいの?このまま見過ごして人質を殺されたら……また無能と新聞に叩かれるわよ?」
 「そしたら 警察の威厳も地に堕ちるわね」
 「……オマエ等なら……オマエ等なら 助ける自信があるのかァァァッ!!?」
 「当たり前の事を聞かないで欲しいわね ただ……無傷では済まないかも知れないが誰も殺させないわ」
 ピーターソンがそう言った。
 「この銀行に裏口はあるの?」
 「あ……あぁ……あるが……どうする気だ?」
 「侵入する……人質と犯人の数は?」
 「あ……あぁ……人質が27名……犯人グループは6名……」
 「その情報は確かなの?」
 「あぁ 間違いない」
 ピーターソンの問いに白鳥はキッパリと言い放った。
 「なら……」
 ピーターソンは そう言いながら銀行の中に眼を向けた。犯人の姿を確認するためだ。
 「1人……2人……3人……4人……5人………」
 「1人は奥に引っ込んでいると言う事ね」
 「その様だわね スコルピオン」
 「私が裏口から乗り込む……ピーターソン 貴方は正面から」
 「分かったわ」
 ピーターソンのその声を聞いたスコルピオンは裏口に回り込む。
 「白鳥警部……バイクが欲しいんだけど あるかしら? 普通に乗り込んだらハチの巣にされてしまうし」
 「あぁ……バイクだたら あるけど……どうする気だ?」
 「決まってるじゃない バイクで強行突破するのよ……あぁ……そうそう……言って置くけど………」
 「私達は確かにG−5と呼ばれる破壊集団に属している犯罪者だけど性根まで腐っているワケじゃ無いのよ」
 「そこのところ―――……分かって欲しいわね」
 「あ……あぁ………」
 そう言いながら白鳥はピーターソンの迫力に後ずさりした。
 その時 銀行の中から声が聞こえて来た。
 「逃走用の乗り物を用意しろォォォッ!」
 それを聞いたピーターソンは皮手袋を両手にはめた。
 「キュッキュッ」
 「それじゃ 行ってくるわ」
 そう言いながらピーターソンはバイクにまたがりアクセルを吹かした。
 「ドッ ドドドッドッドッ」
 バイクのビートがそのままピーターソンに伝わる。
 「じゃ……………行くか……」
 その瞬間 ピーターソンが銀行目掛けてバイクで走り出した。
 そのままピーターソンはバイクで自動ドアに激突し バイクごと犯人の1人に体当たりをする。
 いや。途中でバイクを乗り捨てた―――――……。
 バイクは犯人の1人に当たったが まだエンジンは動いている。そこからバイクがさらに跳ね上がった。
 「バゥゥゥゥン」
 そしてもう1人の犯人目掛けて衝突し やっと止まった。
 ピーターソンは立ち上がりながら呟いた。
 「これで後4人ね」

 裏口。スコルピオンがそのドアに手をかけたと同時に中の足音が聞こえて来た。
 「コツ……コツ……コツ………」
 (…………!向こうから近づいて来ている…………距離はおよそ3M………もうちょっと近づくのを待つか……)
 「コツ……コツ……コツ……」
 (2Mッッ……あと一歩ッ)
 「コッ……」
 その瞬間だった。スコルピオンが裏口のドアを蹴り抜いたのは。
 「ドガァッ」
 吹っ飛んできたドアに激突した犯人の1人は倒れた。
 「ドォ……ッ」
 そして ダッシュで中に走り込むスコルピオン。さっきの男がユラリと立ち上がって来た。
 男の顔目掛けてハイキックを放つスコルピオン。その衝撃で男は白目を剥いた。
 「よし……」

 正面。
 「なんだオマエはァァァツ!手を挙げろォォッ!」
 「あら?無粋な事を言うわね?そっちの望み通り乗り物を持って来てあげたじゃ無い?それのどこが悪いの?」
 ピーターソンが悪びれずにそう言った。
 「く……くそッ……!こ………この卑怯者めがァッ………!」
 その言葉を聞いた瞬間 ピーターソンの眉がピクリと動いた。
 「……卑怯者?卑怯者はどっちよ?私に言わせれば何の関係も無い人達を人質に取る貴方達の方が卑怯者よ」
 「それとも 人質を取らなければ何も出来ない人達なのかしら?」
 そう言いながらピーターソンは鼻で笑った。
 「こ……この……ッッ!」
 主犯格らしい男がピーターソンに照準を合わせた。ピーターソンを撃つ気だ。
 「あら 図星だったようね?」
 次の瞬間だった。ピーターソンが屈み 主犯格の男の足に低空のローキックを放ったのは。
 「ビシュッ」
 そして倒れた主犯格の顔にヒザを落とした。
 「ドカァッ」
 ピーターソンのヒザが主犯格の顔にめり込む。
 「後……3人―――――……」
 その時 人質の一番近くにいた男が人質に銃を向けた。
 「動くなァァァッ コイツ等がどうなってもいいって言うのかァァッ!」
 その男を見たピーターソンは溜息を吐きながら言った。
 「その前に自分の事を心配したら?」
 その瞬間 男が見たのは足だった。正確に言えば爪先。蹴りが男の顔にめり込んだ。
 「ドゴォッ」
 そのまま 蹴られた男は吹っ飛んだ。人質の反対側に。
 「遅かったじゃ無い?スコルピオン」
 「悪かったわ ちょっと道を間違えてね」
 「さて これで残り2人か」
 「いや 残り1人だわ さっき私が裏口で1人倒して来たからね」
 「さて どっちとやりたいの?」
 ピーターソンが にこやかにそう言った。
 「ヒ……ヒ……ヒ………コイツ等 バケモンだァァァッ 助けてくれェェェッ!」
 最後に残った1人は自ら銀行から逃げ出した。そこを警察に逮捕された。
 そしてピーターソンはクルリと人質達に目を向けて近づいて言った。
 「ゴメンね………怖かった?でも もう大丈夫よ」
 人質にされていた少女が言った。
 「うん……有り難う……お姉ちゃん……」
 それを見たスコルピオンは微笑みを浮かべながら その場から立ち去った。何事もなかったかのように。
 「そう言えばヘルガ……何をやっているんだろうね……悪い事でも企んでいなきゃいいけど……」
 
 喫茶店。そこに悩む店長の姿があった。
 「うーん 戻って来ない……食い逃げだ………」
 「でも……口は全く付けていないしなァ……これは食い逃げと言うのかなァ……?」
 「う―――――――ん………?」

 「ラン・モウリですね」
 蘭は新一の家に行く途中に1人の女性に呼び止められていた。
 「貴方は………?」
 「ザナドゥ・スコルピオン―――――……この名前はご存じですね?」
 「ザナドゥスコルピオン!!? まさかドイツの………!!?」
 そう言いながら蘭は身構えた。
 「ハイ そうです……私はスコルピオン総統の参謀のヘルガと申します どうぞお見知り置きを」
 「そのヘルガさんが……何の用かしら?」
 蘭は構えを解いたが まだ警戒心を解いていなかった。ヘルガの目的がハッキリしないからだ。
 「貴方を葬り去りに」
 ヘルガは短く にこやかにそう答えた。
 「……ここでは 手狭ですので橋の下に行きましょう……ついて来てもらえますね?ラン・モウリ」
 そして蘭が橋を背に構えた。蘭はヘルガと相対している。
 「………何か勘違いしてませんか?」
 ヘルガがポツリと言った。
 「闘うのは私ではありませんよ?」
 「じゃ………私を葬り去るってどういう意味………?」
 「まだ 分かりませんか?貴方に打ってつけの相手がいると言う事ですよ……ホラ……貴方の背後に……」
 「エ!!?」
 その瞬間 蘭は何者かの気配を感じ 振り返った。その時 気配の主がパンチを放つが 蘭はそれをかわした。
 蘭は無意識のうちに叫んでいた。
 「バ………!バカな!!!!」

 ◆果たして 蘭の相手とは―――――…………!!?


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ザ・ドクター様の格闘小説36話
華麗に強盗団をのしてしまったスコルピオンとピーターソン<食い逃げってか?(爆)
蘭の意外な相手っていったい
・・・・・・わからーんっっ(><)しかもここで切るとはぁ(><) by あっきー

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