ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第37話 見たく無かった闘い

 
 男が蘭の顔にパンチを放つ。それを蘭はかわして反撃に行こうとする。
 ………しかし 反撃に行けない。
 男が蹴りを蘭の腹に放つ。
 「ボォッ」
 しかし この蹴りはスキだらけ。軸足を刈れば簡単に防げる蹴りである。
 そんな蹴りを蘭は腹をブロックして受ける。
 「ドカッ」
 「ど……どうして………どうしてなのよ…………し…………
   新一ィィッ!!!」
 蘭の相手とは。ヘルガの放った刺客とは新一だった。
 その眼は尋常な眼では無かった。普通の新一の眼では無い。
 「な………何故……?何故 新一が!!?」

 その時 ヘルガが呟いた。
 「シンイチ・クドウ……彼は私が洗脳させていただきました……ネオナチスの科学力によって……」
 (あの シェリーとか言う者の作った薬に洗脳薬を混ぜました……その洗脳を解く術はたった一つ………!)
 (それは…………!)

 新一のパンチが蘭の顔を襲うが蘭はそれを 屈んでかわす。
 「どうしたの?モウリ・ラン?さすがに恋人が相手では本気になれない?」
 「当たり前じゃないッ どこの世界に恋人と闘える人がいるのよォッ!!?」
 「………でも 貴方は闘わなければならない……それが宿命なのです」
 「私と話してていいんですか?ホラ 来ますよ?」
 新一のパンチが蘭の顔を襲う。蘭は顔面をブロックしてかわす。
 
 その時 橋の近くの道を平次と和葉が歩いていた。
 「それにしても工藤のヤツ何やっとんかいなぁ 電話しても反応あれへんし………」
 「せやから 今から見に行くん?平次?」
 「あぁ………って何で自分がここにおるん?和葉?」
 「ん?平次……アンタに会いに来たんやで?」
 「……そうやったな……」
 そう言いながら平次は頭をポリポリ掻く。
 (今……G−5達に襲われたら最悪やな………和葉がいるんじゃ………イザとなったら和葉をおいて逃げるか……)
 笑えない冗談を考える平次であった。そんな平次をツンツンと和葉がつついた。
 「なんや?和葉?」
 「あ……あれ……あれ見ぃ……平次……」
 そういう和葉の視線の先を見た平次。そこには蘭と新一が闘っている姿があった。
 「た……大変……どうしよう……平次……」
 「あぁ 大丈夫や 和葉……只の地上最強の夫婦喧嘩や……温かく見守ろうや無いか?」
 「うん 平次」
 そして2人は一緒に歩いて橋の下に向かった。
 「よっこらしょ」
 平次が河原の近くの芝に腰掛ける。それを見た和葉も腰掛ける。
 「……そこのカップル そこで何をしているんですか?」
 ヘルガが平次達にそう尋ねた。
 「きゃーんっ 聞いたぁ?平次ぃ!どうしようっ ウチ等がカップルやてぇっ!」
 そう言いながら和葉は平次の腕に抱きつく。
 「えぇやんか?こんな好カード滅多に見られるモンやないから こうやって見とんのやで?邪魔はしてへんやろ?」
 「まぁ 確かに……」
 ヘルガは そう呟きながら平次達から蘭に目を移した。
 新一が攻撃をしまくり 蘭は反撃せずに耐えている。
 それを見た平次はアゴに手をやりながら思っていた。
 (おかしい……何かがおかしいで………)
 (何故 蘭は反撃せん?反撃しようと思うなら反撃出来るハズやろ?なのに………?)
 「な………なぁ………平次……ホンマにそろそろ止めた方がえぇんちゃうか?」
 「……そやな……オイ そこの外人 この喧嘩止めさせてもらうで」
 「フッ いいでしょう……止められるモノならね」
 ヘルガはそう言いながら不気味な笑みを浮かべる。
 「えぇんか……」
 そう呟きながら平次は一歩を踏み出し2人の間に割り込もうとする。
 「まぁまぁまぁまぁまぁ 2人ともやめぃ………ぐぼぁっ!!?」
 新一の左ストレートが平次の貌に入った。
 それをまともに喰らった平次はドドォッと倒れる。
 平次は殴られた箇所を押さえながら立ち上がる。
 「な……何すんじゃい くど……おぶっ!」
 新一の蹴りが平次の腹に入った。
 「ごぉぉ……」
 腹を押さえ 呻く平次。そこに新一が追撃に行く。
 新一のパンチ………。それが 今 まさに平次の顔にヒットしようとしていた。
 「バシィィッ」
 蘭が新一の拳を片手で受け止めた。
 「いい加減にしなさい 新一ィィィッ!服部くんを痛めつけてッ!」
 蘭が新一を一喝した。蘭にすればこれで新一が我を取り戻すという確信があったのだろう。
 しかし……ダメッ………!新一はまだまともにならないッ………!
 それを見たヘルガは呟いた。
 「ククク……無駄無駄………そんな程度では戻りはしない」
 「さ……シンイチ・クドウ!フィニッシュです!」
 その時だった。新一が先程とは うって変わって速くなったのは。
 それを見た蘭は思った。
 (な……速く……ッッ!)
 瞬時に蘭の懐に飛び込み 連続でパンチを放つ。
 「ボボボボボッ」
 「ズドォッ」
 5発のパンチのうち4発をブロックしたが残る一発が蘭の腹に命中。
 「ぐ……!」
 すかさず 蘭は反撃にいく。……しかし反撃出来ない。相手が新一だから。
 蘭の躊躇を見逃さなかった新一は さらに蘭の顔にパンチを浴びせる。
 その瞬間だった。新一の身体が吹っ飛んだのは。
 「…………!!」
 「ズドッ」
 平次の蹴りが新一の腹に炸裂した。
 「工藤……自分何しとるんや?彼女に手を挙げるたぁ………男のやるこっちゃやないで!」
 それを見た蘭は叫んだ。
 「やめてッ 服部くんッ 新一は洗脳されてるのッッ」
 「なんや?洗脳?道理でいつもの工藤らしゅう無いと思ぅたで………バグッてるのはそういうワケかいな……」
 「ガンッ」
 平次が新一に頭を叩かれた。
 「なんや 工藤ッ」
 「ガコッ」
 平次もやり返す。
 次の瞬間 新一の拳が平次の腹を捉えた。
 「ぐ……ぅぅ………え……えぇ度胸や……工藤……」
 そう言いながら平次は首から背中に手を入れ 背中から何かを引きずり出す。
 それは長刀。通常の木刀より長い木刀。
 「……覚悟はえぇな?工藤………」
 そう言いながら平次は構えた。

 ◆遂に平次と新一が対決!この闘い 見たく無いようで見たい!!


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ザ・ドクター様の格闘小説37話
だー(ToT;)
by あっきー

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