ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第5話 ロシア・『シェラザード・クローリー』

 ロシア。とある町。そこで1人の女性が大量の警察官に包囲されていた。
 「もう逃げられぬぞ シェラザード」
 「大人しく捕まれ」
 囲まれている女性は美しかった。青い長髪。青い眼。スタイルは抜群だった。
 包囲網の後から声が聞こえてきた。
 「十数人……ほとんどが即死らしい……」
 「いくら相手が受刑者とはいえ……極刑だけは免れんだろうな」
 「それにしても屈強で鳴る受刑者十数人を………?」
 「何か武術を使うとか………?」
 「イヤ……それが……毒……らしいんだ……」
 「毒?」
 「毒か何かを隠し持って使用したと聞いてはいる……」
 「……ど……どうやって?」
 「俺もあり得ないとは思うけど………」
 「あの顔がクセモノだ………」
 「しかも あんなきれいな女の人が……」
 「擬態だな………………」
 「猛毒・シェラザード・クローリーか……」

 シェラザードは呟いた。
 「キミ達………私に近づかない方がいいわよ………」
 「私の異名は知っているんでしょ?」

 「あ……あぁ……」
 1人の警察官が そう言いながら後ずさった。

 「通らせてもらうわよ」
 そう言いながらシェラザードが一歩を踏み出した。
 シェラザードの歩みに比例して道が出来ていく。モーゼの十戒のように。

 「クゥッ」
 そう叫びながらシェラザードの背後から1人の警察官が殴りかかってきた。
 「死ぬ事になるわよ」
 男の剛腕がシェラザードめがけて振り下ろされる。
 しかし 次の瞬間 男が大地に倒れていた。顔を苦痛に引きつらせながら。
 「く……かッ……ぐッ……」
 胸を両手で押さえながらそう呻いていた。

 「さて……この男みたいになりたい方はいるのかしら?」
 シェラザードのその言葉を聞いた警察官は更に後ずさり 道を開けた。
 「………それでいい………」

 そして シェラザードはポケットから手紙を取り出して言った。
 「東京………か………」
 「日本って言うと……懐かしい人がいるんだよねぇ……久しぶりに会いに行って見ようかな………?」

 ロシア大統領館。1人の屈強な戦士が呼ばれていた。
 恐らくはロシア最強の……いや。全世界最強のレスリングマン。
 シドニーオリンピックで惜しくも金メダルは逃したが 13年間無敗だった男。
 その男の名をアレクサンダー・ガーレン。
 ゴリラみたいな顔つきだった。そして身体は筋肉隆々。
 「何の用ですか プーチェン大統領」
 太い声でガーレンはそう言った。
 「逃げ出したのだ」
 「エ?」
 「ロシアの暗黒の恥部であるシェラザード・クローリーが逃げ出した」
 「………あの『毒姫』シェラザードが!!?」
 「そうだ……我々の情報網によれば彼女は日本に向かうと聞く………」
 「そこでキミも日本に向かって シェラザードを屠り去ってもらいたい」
 「この世に骨が残る事無く…………!」
 「分かりました 大統領」
 「頼んだぞ ガーレン」
 そしてガーレンがその部屋から出た後 プーチェンは思っていた。
 (任せたぞ ロシアの英雄よ…………!!)
 しかし ここに問題があった。
 ガーレンは シェラザードの顔を知らなかった。知っているのは名前だけ。写真も持っていない。
 この男が日本で何を見て何を聞く事になるのか………?

 日本・帝丹高校。
 蘭が校長室に呼び出されていた。校長室に来栖川グループの総帥の来栖川 猛もいた。
 「……校長先生……少しの間 席を外してもらいたい」
 「ア……ハイ……」
 校長先生が出ていったのを確認して蘭は呟いた。

 「何の用ですか 来栖川さん」
 「実は 厄介な事になった………」
 「厄介な事………?」
 「アメリカ・聖・ピーターソン」
 「中国・瑠璃 羅刹」
 「ドイツ・ザナドゥ・スコルピオン」
 「フランス・シルヴィア・アレクシス」
 「ロシア・シェラザード・クローリー」
 「この5人……通称G−5が日本に向かっている………」
 「蘭……その意味を知れいッ」
 「……で……?何をしに来るの?日本まで?」
 鈍い蘭であった。
 「………あのね 蘭……相手は いずれも10人以上も人を死に至らしめた強者中の強者……この意味がワカるかね?」
 「全員が全員……格闘技者と言うことだッッ」
 「……じゃぁ………」
 「その通り お主に会いに来るという事じゃ」
 「え〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
 「要するに……エクストリームを拠点とする表の格闘技……」
 「犯罪の世界……いわゆるダークサイドを拠点とする裏の格闘技」
 「表と裏ッッ 敢えて言うなら白格闘技と黒格闘技の全面戦争という事じゃッッッ」
 「来栖川さん……ちょっと無理矢理過ぎるわ それ………」
 「イ〜〜〜〜ヤッ 自然じゃッッ」
 「あ………G−5のGって……何ですか?」
 「G……GENOSIDE(ジェノサイド)……」
 「ジェノサイド!!?……って何です?」
 「簡単に言えば……虐殺………だな……」

 都内の公園。
 藤堂 茜が走っていた。
 「オッ」
 「アッ」
 「藤堂 茜ッッッ」
 「シドニーのオリンピックで金メダルを取った藤堂 茜だよッ」
 茜の視界には英字新聞をベンチに座って読んでいる人がいた。

 そして 次の瞬間 新聞が回転しながら勢いよく茜めがけて飛んできた。
 「ヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ」
 新聞は茜の右頬を斬りながらそのまま飛んでいった。
 茜の頬から血が滴り落ちている。茜の目の前に現れたのはシルヴィアだった。
 無論 茜はこの女の名前を知る由もないが。
 「信じられないな アタシに喧嘩を売るなんて……」
 そう言う茜に一歩近づくシルヴィア。
 「近づかないでくれる?アタシは素人と闘うことは出来ないのよ」
 茜の言葉に聞く耳も持たず 近づくシルヴィア。
 「気絶させられたいのッッ?」
 そう叫びながら 茜が両手でシルヴィアの襟を掴んだと同時だった。
 茜に痛みの表情が浮かんだのは。
 襟を掴んだ指が血にまみれていた。
 その時 茜の芽に見えた。シルヴィアの襟に光るモノが。
 「襟に………カミソリ!!!」
 次の瞬間 茜の顔がシルヴィアに掴まれ 大地に叩きつけられた。
 「ドグァッ」
 茜は後頭部を強烈に打って脳しんとうを起こして気絶していた。
 それを見たシルヴィアは呟いた。
 「所詮は……スポーツですね……」


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ザ・ドクター様の格闘小説5話
なんといきなりあの茜がやられたっ!!!!!
もはやスポーツの域越えてるけど・・・・・・蘭に通用するのか?この格闘技・・・・・
・・・・・でもこの前ビール瓶とかスパッて割ってたなあ・・・普通は出来んし・・・ぶつぶつ(笑)by あっきー

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