ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第43話 報道

  
  それは突然 報道された。
  何の前触れもなく、突然に――――――………。
  
  「明智健吾警視死亡!!」
  その文字が字幕として出てきた。

  それを見た女性達は次々と叫んだ。
  「えッ」
  「ウソでしょ?」
  「あの明智さんが!!!?」

  ニュースキャスターは続ける。
  「7月16日午後7時56分……警視庁の明智健吾警視が死亡致しました」
  「死因は銃撃によるモノと見られ……1人の女性を指名手配しました…………」
  「シェラザード・クローリー(24)……ロシア人………」
  その言葉と同時に画面一杯にシェラザードの写真が映し出された。
  「話では敗北を求めて日本に来たといわれています…」
  「この女性を見たら1人で突っ走ったりせぬように即警察に通報して下さい」
  
  それを聞いた女性達は叫んだ。
  「えッ7月って2ヶ月ほど前じゃない………」
  「なんでそんなに………?いや………これをみんなに伝えなければ…」
  ニュースを聞いた女性達は次々とどこかに電話をかける。

  明智ファンの結束は固い。
  
  オフィスでも――――――……。
  「テレビ見たァッ!!?」
  
  美容院に――――――……。
  「まさかッッ」
  
  遊び場に――――――……。
  「エ〜ッ マジマジマジィ〜?」
  
  葬儀場に――――――……………。
  「うんッ それでッ!!?」
  
  飛行機内に――――――……。
  「タイヘンだわァッ」
  ※飛行機内で携帯電話の使用は禁じられています。

  愛する者の死にも匹敵する強力さで瞬く間に燃え広がった。
  
  都内。東京駅。
  大量の女性が集まっていた。
  年齢層も広い――――――……………。
  それを見た人達は言った。
  「なんだよ コイツ等」
  「一カ所に集まりやがって…」
  「今日は何かあるのかよ?」
  そして、その女性達は一つの場所に向かった。
  東都会館――――――……………。それがそこの名前であった。
  集まった人数。およそ58万人。
  その余りの多さのために問うと会館には入れない者が大多数いた。
  その先頭にいる1人の女性が口を開いた。
  「みんな…よく来てくれたわ…全国の明智ファン…総勢58万人…」
  「明智様が死んだ事は知っているわね?」
  「ならば今 私達の為す事――――――…」
  「それは明智様を拝む事か?」
  「私達は教育集団でもなければ宗教団体でもない」
  「私達は…明智様命よッッッ」
  「明智様のために動く団体なのよッッッ」
  そう叫びながら女性が懐から写真を取り出した。
  「この女の人相を全国1600の支部に配布するのよッッ」
  「明智ファン58万人の手で必ず探し出すのよッッ」
  「明智ファンは前を見せないッッ」
  「明智様の無念は私達が晴らすッッ いいッッ!!?」
  「オオオオオオオオオオオッ」
  東都会館にその叫び声が響き渡った………。
  
  その夜、都内のフランス料理店で1人の女性が食事していた。
  その女性に1人の女性が話しかけた。
  「いかがでございますでしょうか?」
  「えぇ…堪能したわ…」
  「存分に堪能なさるがよろしいですよ…………シェラザード様……」
  その言葉を聞いた女性の目の色が変わった。
  「………何故…私の名を………」
  「私は明智様のファン…随分と愛していました…」
  「………明智…あの優男か…………」
  「ご理解なされましたか?」
  「…………貴方は明智ファン全国58万人を敵に回したのです」
  「明智ファンはこの店もそうであるように全国ありとあらゆる組織に存在します」
  「変装はムダに終わるでしょう……」
  「今後国内での貴方の行動は全て明智ファンクラブの監視下に置かれる事になります」
  「くれぐれも覚悟する事です」
  そしてシェラザードがフランス料理店から出た所に女性が一杯いた。
  また年端もいかぬ女の子も……。
  それを見たシェラザードは察知した。それが明智ファンである事を。
  (ナルホド…さっきのあの言葉…まんざらウソでも無いみたいだわね…)
  そう思いながらシェラザードはタクシーを止め、乗り込む。
  「新宿へ…」
  シェラザードがそう呟いたのを聞いたタクシーの運転手は呟いた。
  「わかりました……………シェラザードさん」
  それを聞いたシェラザードは思った。
  (こんな所まで……!)
  
  ◆明智ファンのシェラザード包囲網完成す!  

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明智FANのうちの一人にきっと私が・・←待て(爆)

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