ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第45話 理由

 
 
 遊園地に入ったシェラザードは周りを見渡す。
 ………広い……………。そう思っているような表情で。
 その時だった。闇中の遊園地が目映い光を勢いよく放ったのは。
 「エ………?」
 そして 一人の女性が出てきた。
 「どうも………初めてお目にかかります…この遊園地の経営者の姫月(きづき)と申します……」
 「遊園地は初めてですか………?」
 「今日は楽しませてもらうつもりよ」
 シェラザードが笑みを浮かべ そう言った。
 メリーゴーランド――――――――。
 観覧車――――………。
 コーヒーカップ――――…………。
 楽しく乗り過ごした後、シェラザードは周りを見渡していた。
 「次はどれに乗ろう………?」
 その時 シェラザードの背後で何かが光った。正確には光っているのではなく、反射しているのだろうか。
 そしてその『光』が振り下ろされた。シェラザード目掛けて。
 「ボッ」
 しかし、シェラザードはそれに気づいていたのか、軽々とかわす。
 「………貴方ですか………」
 「………そうですよ………この私ですよ………」
 「高遠――――――――!!!」
 「……久しぶりですね………シェラザード………」
 「まだ……やられたいの?」
 「いえいえ…………やられに来たワケじゃありませんよ……全ては貴女に勝つためです」
 「へぇ…………」
 そう言いながらシェラザードはダラリと両腕を下ろした。
 「今日はたくさん傷ついたっていい」
 そう言いながら高遠はナイフを持って構えた。

 「行きますよ……正々堂々と――――出し抜く」
 その言葉と同時に高遠がダッシュ。ナイフで突きに行く。
 「ズシャァッ」
 それを軽やかにかわすシェラザード。その時、高遠のナイフの操り方が変わった。
 『突く』攻撃から『払う』攻撃に………。
 「ピゥッ」
 高遠のナイフが空を切る。
 その時、シェラザードの顔目掛けてナイフが飛んできた。
 「なッ!!?」
 シェラザードはそう叫びながらかわした。
 「『地獄の傀儡師』――――……舐めて貰っちゃ困りますよ………」
 そう言いながら、高遠は懐から何本ものナイフを取り出した。
 「フフ………そんなのに私が怖じ気づくと思ってる?それなら本当に筋違いよ………」
 そう言いながらシェラザードが高遠に歩みを進める。
 静かに。足音をさせずにただ、ただ静かに…………。
 聞こえるのは周りで動いている器具のモーター音だけ………。
 「ザゥッ」
 その静寂をうち破るかのように先に動いたのは高遠だった。
 「ボォァッ」
 瞬時にシェラザードに近づき近距離から一斉にナイフを投げつける。
 (殺ったッッッ)
 高遠はそう思っていた。
 が、シェラザードは上半身だけでかわし、高遠に視線を向けた。
 しかし 高遠の姿は無かった…………。
 (消え………ッッ!)
 シェラザードがそう思った瞬間、背中に何かが触れた。
 「これで決着ですね シェラザード」
 「なかなかやるわね…」
 そう呟きながら笑みを浮かべるシェラザード。
 「………どうして明智さんを殺したのですか…………?」
 「邪魔だったから」
 高遠の質問にシェラザードはアッサリとそう言い放った。
 「邪魔………?そんな程度の理由で貴女はは人を殺すのですか?」
 「そうよ…………悪い?」
 その言葉を聞いた高遠は思った。
 (なんと言う事だッッッ この女性………自分の犯罪の美学とやらを持っていないッッ)
 (ただ………ただ……目の前にいる邪魔者は排除するだけッッ…どんな手段を用いてもッッ)
 (なんと言う………なんと言う悪辣なッッッ)
 「こっちからも聞かせて欲しいわね………何で貴方みたいな犯罪者がしゃりしゃり出て来るの?それも敵対する警察のために?」
 「それが私達の掟だからです」
 「掟………?」
 「日本で起こった犯罪者がらみの事件はアンダーグラウンドの住人――――――……犯罪者が決着をつける………」
 「それが日本の犯罪者の中で取り決めされているたった一つの掟………」
 「犯罪者になるとするならば この掟を遵守しなければならない――――――!!!」
 それを聞いたシェラザードは嘲笑を浮かべながら呟いた。
 「………下らぬ掟………ナンセンスね………」
 「……人間は………生まれて来る時も一人……死ぬ時も一人………群を成すなんてとてもとても………」
 「でも貴方は………確かG−5とやらの一員だとか…」
 「そうね………でもあの人達を仲間だと思った事は一度も無い………ただ一度たりとも………」
 それを聞いた高遠は思った。
 (なら何故………ッッ 何故この女性がG−5にいるんだ!!?)
 「…………今の貴方の疑問に答えてあげるわ………」
 「私がG−5に誘われた時………」
 
 赤木が呟いた。
 「G−5に入ってみる気は無いかね?」
 「G−5……?何?それは?」
 「GENOSIDE………直訳すれば虐殺する5人だけの部隊ってところだろう……」
 「しかしな……オレはそんな事を気にしちゃいねぇんだよ」
 「ただ 純粋に…強い者が欲しいだけだ………入ってくれるかい?」
 「…………いいでしょう………その代わり一つ条件が………」
 「言って見ろ……」
 「どうやら貴方がリーダーみたいね……なら 貴方の命令は聞く……それ以外は好きにやらせてくれ 例え命令に無い事でもッッッ」
 それを聞いた赤木は笑っていた。
 「クッ………ククッ……クククッ………!」
 「な………何を笑って………!?」
 「いや……何………想像通りのヤツだったんでな ちょっと面白かっただけさ」
 「想像通り…………!!?」
 「そう……想像通り……そして……その条件は呑んでやる……その代わり命令は確実に遂行してくれよ」
 「了解しました」
 
 その話を聞いた高遠は叫んだ。
 「な………ッッ!そんな話が………!!?」
 「………つまり――――私はG−5に入って初めて自由を手に入れた……そうッ 初めてッッッ」
 「………そして――――――…………」
 「ドボォッ」
 シェラザードのヒジが高遠の腹に入り 高遠は腹を押さえながらダウンした。
 「ドシャァッ」
 「貴方を相手に遊んでいるヒマは無いって事よ」
 そう言いながらシェラザードは高遠を見下ろしていた…………。
 
 ◆シェラザード!この孤独な戦士に高遠が遂に………!!?
 
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ザ・ドクター様の格闘小説45話
かなり人間離れしているG-5(いや、もうすでに・・)
規模もかなり拡大されてる・・・・・・なにより明智さんのFANの数が半端じゃない(笑)
しかし、やはり女の闘いって怖いかも・・・・・ってコナンキャラ出してぇ←個人的意見(笑) by あっきー

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