ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第46話 高遠

 
  ダウンしている高遠はシェラザードを見上げていた。
 (こ……ッッ この女……ッッ……強いッッッッッ)
 そう思った高遠は素早くヒザをついて立ち上がろうとした。
 そこに来た。シェラザードの蹴りが。
 「グワァキィッ」
 高遠は辛うじて両腕でブロック。その勢いで完璧に立ち上がった。
 そして 懐からナイフを取り出し再び突く。
 「ボッ」
 しかしシェラザードは動こうとしない。
 

 遊園地入口に2つの影が現れた。
 「もう始まってしまいましたか………」
 「そのようだな……大丈夫かい?」
 「ま………焦らずに行きましょうか………」
 その時 影の一つが何かを見つけた。
 「ン………あれは………?」
 そこには女性がたむろっていた。
 「何かあったのですか?」
 影がそう呟いた。
 「いや………何も………」
 そう言いながら最後部の女性が振り返った。
 女性の視界に入った人物……。それは意外な人物だった。
 「エ………?バ………バカな…………!!?」
 「き……金田一さんに………ド……ドクター高松!!?」
 「へぇ 私の事を知っているとは…」
 高松が感心しながらそう言った。
 「当然の事です……『柴田亜美』を知っている者で『南国少年パプワくん』を知らぬ者は居ない」
 「知らないとすれば 『柴田亜美』を知らないか、知って日が浅いかのどちらかでしょう」
 それを聞いた高松は呟いた。
 「それはそれは………してどうしたのですか?」
 「あ………ちょっと………」
 その声も介さずに高松はその中心に入っていった。
 そして そこで高松が見たモノは血塗れで倒れている麗華の姿だった。
 「………これは………酷いですね………辛うじて息がある状態ですか………」
 「救急車を呼びましょうか」
 そう言いながら高松は懐から携帯電話を取り出そうとする。
 「ア……イエ……救急車なら既に…」
 「そうですか………随分と準備がいいですね………」
 
 
 シェラザードに高遠のナイフが迫ってきている。しかし シェラザードは落ち着いている。
 それが目の前に来た瞬間 シェラザードは動いた。
 「パシィッ」
 前蹴りで高遠のナイフを蹴り上げた。
 「クゥッ」
 高遠はそう叫びながら懐のナイフを抜きに行く。
 「ドキュッ」
 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」
 「ビリビリビリ…」
 シェラザードが 抜きに行った高遠の手を拳で打ち付けた。そのせいで高遠の手が痺れている。
 「どうしたの………?それで終わり…?」
 そう言いながらシェラザードが高遠に一歩近づく。
 「これで終わりなワケじゃないわよね?地獄の傀儡師さん?」
 そう言うと同時にシェラザードが廻し蹴りを放った。
 「ドガァッ」
 高遠はガードをしたが それでも吹っ飛ばされた。
 「…………ッッッッ」
 「………強いッッッ」
 「バォッ」
 その瞬間 高遠が動き 低空のローキックを放った。
 しかし シェザラードは跳んでそれをかわし 蹴り卸の蹴りを高遠の顔に叩き込んだ。
 「ドギャッ」
 そのまま 高遠がダウン―――――…………。
 「そろそろ終わらせようか…」
 そう言いながらシェラザードが高遠の髪を掴み 引っ張り上げる。
 「ドチュッ」
 シェラザードの拳が高遠の顔に入った。
 高遠の顔が血にまみれている。
 「トドメだ…………」
 シェラザードがそう言った瞬間 彼女は何かに気づいた………。
 
 
 高松と金田一が遊園地に入ろうとしたその時 先程の女性達が立ちはだかった。
 「……どういうつもりですか?これは?」
 高松がそう言い終わるか終わらないかのうちに一人の女性が呟いた。
 「ここを………通すワケには行きません………」
 「中で………高遠さんが闘っている……シェラザードと…………」
 「それならなおさらの事………高遠は前にシェラザードと闘い敗れている……」
 「この闘いは無意味……さぁ そこをどくんだ」
 「高遠さんだけでは無い」
 別の女性がそう呟いた。
 「私達が頼んだのは高遠さんだけでは無い………」
 それを聞いた金田一は思った。

 (高遠か……確か俺も頼んだ………とすると…高遠は俺と この女性達の頼みを同時に受け入れ
  この中にいるというのか)

 「誰ですか?それは?」
 「………よく………漫画には似たようなキャラ配置があるという………」
 「………そして………私達は『もう一人の高遠さん』に援軍を頼みました………」
 「『もう一人の高遠』…………?」
 「そう……金田一に『高遠』が存在するならば コナンにも『高遠』が存在する………」
 それを聞いた金田一は呟いた。
 「ま………まさか………それって…」
 「そう………その名は………」
 「怪盗キッド!!!」
 
 
 シェラザードは宙に浮いているキッドを見上げていた。
 キッドはシェラザードを見下ろし 笑みを浮かべていた。
 
 ◆怪盗キッド 参戦!!

 
続きへ

戻る