ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第48話 ミラーハウス

  キッドの足元から煙が立っている。
 「シュ〜シュ〜シュ〜………」
 「酸か………とんでも無いものを隠し持っているな……他にも隠し持っていたりしてなァ」
 そういいながらキッドは歩みを進める。
 …………無防備で…………。
 (な……何……?コイツ………?無防備で………ッッ)
 (うッ……うかつに近寄れないッッ……)
 (………ここは………ッッッッ)
 そう思いながらシェラザードは逃げた。それをキッドは追いかける。
 「オ…………オイ……何で逃げるんだよ………?」
 そう言いながら。
 
 そしてシェラザードが逃げ込んだのは…ミラーハウスだった。
 
 ミラーハウス………。
 鏡が張り巡らされた迷路…………。
 相手を幻惑させ また己をも幻惑させる…………。
 
 「めんどいな………」
 キッドはそう言いながらミラーハウスに入った………。
 入口近くにロッカーと反射紙があった。
 反射紙、。正確には反射膜と言われ 何かに貼り付ければそれが鏡と同様の働きをもつ。
 ほとんどの遊園地ではこれが使われている。
 「これは使えるな…」
 キッドはそう言いながら 反射紙を手に取った。
 
 少しずつ歩を進めるキッド。
 ミラーハウスのどこから相手が襲ってくるのかわからないのだ………。
 前?後?右?左?
 それがわからない。
 わからないからこそ…常に集中するしかないッ……!
 そして キッドが最初の曲がり角を右に曲がった時…後ろから人影が現れた。
 キッドを追いかけるかのように。
 その影の主は……シェラザード…………。
 先に入ったハズのシェラザードが一体何故ッ!!?
 シェラザードは思っていた。
 (フフフ………)
 (あのトリックに気づかぬとはまだまだ甘い………)
 (ロッカーに収められているべき反射紙……それがなぜか外に出ていた……その理由に気づかぬとは……)
 (そうッ ロッカーの中に隠れていたッ その痕跡があの反射紙だった………)
 (いきなり後ろから現れた私を見て……キミは不可解に陥るだろう………キミはすでにトドメを刺されているのだよ 怪盗キッド)
 そして シェラザードがキッドの曲がった曲がり角を曲がった瞬間………!
 (いない!!!?)
 そこには誰もいなかった。まるで消え失せたかのように………。
 (バカなッ……一体どこへ………ッッ!!?)
 「誰を探しているんだい」
 その声と同時にシェラザードの肩に手が乗せられた。
 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ」
 そう叫びながら勢いよく振り向いたシェラザードに対してキッドはパンチを放った。
 「ガコォッ」
 キッドのパンチを喰らい吹っ飛ぶシェラザード。
 「…………ッッ」
 宙で回転し 体制を整え足から着地し踏ん張った。
 そこにキッドがダッシュしつつ蹴り上げた。
 「しィッ」
 そう叫びながら。
 シェラザードは辛うじてガードして防いだ。
 「ぐゥッ」
 (勝てる…………!)
 (このまま行けば勝てる…………!)
 「勝てねェよ」
 なぜかシェラザードが男っぽい口調になってきた。
 キッドが続けざまにパンチを放つ。
 「ドムドムドムドムドム」
 (…………ッッあ……ッッ当たった感触が無いッ)
 (効いてないッッ………来るッッ……)
 (反)
 (撃)
 キッドがそう思った瞬間 シェラザードのパンチを喰らい………。
 いや。辛うじて自分から吹っ飛びダメージを最小限に抑えた。
 相手のパンチが伸びきった時点で喰らえばダメージを最小限に抑えられるのだ。
 その瞬間 シェラザードが跳んだ。
 (跳んだッッ しかし…着地の時点までは無防備 イケるッ)
 その時だった。シェラザードが空中からの蹴りを放ったのは。
 (!!!)
 キッドは攻撃に転じる事が出来ずただガードをするのみ………。
 「ドガッ」
 (くッ 左に回りこみ………)
 その時 シェラザードがキッドと同じ方向に動いた。
 (読まれたッッ なんと言う洞察力ッ)
 「グワキィッ」
 キッドの身体が浮き上がった。


 怪盗キッド・少年の頃………。
 「いいか?快斗。一流の魔術師とは一流の技術を持っている者では無い」
 「ならば何を以ってして一流の魔術師としての定義を為すか?」
 「答えは簡単」
 「観客を魅せる事の出来る者が一流の魔術師なのだ……」
 「魅せ………る………?」
 「ハハ 今はまだ意味が分からないだろうな……大きくなれば分かるさ」
 そう良いながら盗一は ぽんっ と快斗の頭に手を乗せた。
 「魅せるッッッッ」


 「ツ…………」
  その時であった。キッドの体がフワリと浮き上がったのは。
 「う………浮いてる………?」
 「魅せる事が一流の魔術師………今やっと理解出来たよ……親父……」
 「行くぜ」
 そう良いながらキッドは宙に浮かんだまま蹴りを放った。
 「ブォッ」
 「ガキィッ」
 「ドドッ ドドドッ」
 連続で蹴りを放つキッド。
 (く………ッッ……空中から蹴り続けてるッッ)
  (…………こ………これはまずい…………)
  シェラザードはガードをしながらそう思っていた。


 
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キッドめちゃめちゃ強いー!!!

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