ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第49話 乱入

  遊園地入口。
  高松は思っていた。
  (なんだ………?この懐かしい感じは………?)
  (この遊園地の中に……私の知っている者がいるというのか!!?)
  (まさか―――――――――………)

  
  警視庁。
  白鳥警部が1枚の書類を見ていた。
  「ドクター高松―――――――――……」
  「国籍不明 年齢不明 経歴不明……」
  「名前を除く全てが不明………」
  「こんな男が 何をしに日本へ…?」
  「そしてもう一つ……」
  「このシェラザードも同様に氏名以外不明……」


  シェラザードはキッドの中空からの蹴りをガードしつづけながら思っていた。
  (こ……これはまずい……………ッッッッ)
  今のシェラザードの心を読んだかのようにキッドは思った。
  (その通り……中空からの攻撃に反撃は出来ない)
  「ガガッ ガガガッ ガガガッ」
  シェラザードの体勢がキッドの攻撃によって少しずつ崩れていく。
  「ガガガガガガガッ」
  (や………敗れるのか!!? このオレが!!?)
  (バカなッッッッ)
  「ガッ ガガガッ ガガガッ」
  (…………ッッ………そうか 反撃は出来なくとも…………)
  (かわす事は出来る)
  キッドの蹴りをかわしたシェラザード。
  しかし キッドは更に蹴りを放ちに行く。
  「ガッガッガガッ ガガガッ」
  (……避けれない……ッッ)
  (………負けるのか!!?私が!!!?)
  「ガッ ガガッ ガガガッ」
  キッドの蹴りがシェラザードを敗北に導こうとしている。
  それは 誰の目から見ても確かであった。


  横浜―――……本牧埠頭第三倉庫。
  そこにヘルガがいた。
  その背後に一人の女性がいた。
  「ヘルガよね?」
  その言葉を聞いたヘルガは振り返りつつ距離をとった。
  「………あ………貴方は………?」
  「瑠璃 羅刹(るり・らせつ)という者………お見知り置きを………」
  「瑠璃 羅刹………確か……中国拳法最強の称号である《海王》に最も近い女性……そんなお方が何の用です?」
  「フフ………」
  瑠璃は薄く笑っていた。
  「噂には聞いている……ネオナチスの頭脳的存在………名参謀……ジョルジュ・フリードリヒ・ヘルガ……」
  「………中国まで……私の噂は届いているのか………」
  「実は頼みがあって来た………」
  「………これを…………」
  そう言いながら 瑠璃は懐から何かを取り出し ヘルガに渡した。
  それを見たヘルガは 瑠璃の用事が何なのかを理解した。見ただけで。
  「……何がお望みなのですか?貴方は………?」
  それを聞いた瑠璃はただ一言呟いた。
  「強き者」
  「ナルホド………私の予想は当たっているワケですね………ならば……………」
  「一週間………一週間お待ち戴きたい」
  「一週間だな………また来る………」
  そう呟き帰ろうとした瑠璃の前に一人の女性が立ちはだかった。
  「スコルピオン」
  「瑠璃とか言いましたね………こうやって間近で対面するのは……初めてでしたか」
  「そうね……なんせついこの前まで牢獄にいましたし………」
  2人はそう話しながらも 構えを解いていない。
  いつでも手を出せる体勢。スキあらば―――………という感じだ。
  瑠璃は呟いた。
  「私と―――………やる気かい」
  それを聞いたスコルピオンは呟いた。力を抜いて。
  「………やめとくわ………遊びでやれそうも無いから………」
  それを聞いた瑠璃も構えを解いた。
  この2人は直感している。
  G−5同士が本気で闘えば生き死にを賭けた戦いになると。
  「……それが懸命でしょうね」


 遊園地。
 キッドが気絶したシェラザードをミラーハウスから運び出していた。
 「………さて………トドメだ………」
 そう言いながらキッドは振りかぶった。
 その時だった。メスが飛んで来たのは。
 「フッフッフフフ………トドメは刺させませんよ…………」
 「何者!!!?」
 そう叫びながらキッドはメスの飛んで来た方向を振り向いた。
 闇の中から二人の男が姿を現した。
 「オ………オマエは…………ドクター高松!!!」
 「怪盗キッドさん 会うのは初めてですね……お見知り置きを………そして…」
 シェラザードを見た高松は呟いた。
  「久しぶりですね―――――……シェラザード……いや………」
  「グンマ様」
  
 ◆高松の口から衝撃の名前が!グ…グンマとは まさかあの………?
 
 
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