ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第50話 シェラザードとグンマ

 
 シェラザードを見た高松は呟いた。
  「久しぶりですね―――――……シェラザード……いや………」
  「グンマ様」
  その言葉を聞いたシェラザードと高松を除く人達は叫んだ。
  「グ……グンマ!!!?」
  「そうだ」
  「た……確か……グンマと言えば………ガンマ団副総帥の………?」
  「えぇ そのグンマです………」
  その時だった。シェラザードが立ち上がって来たのは。
  「シュザァッ」
  「危ない キッドさん」
  高松はそう呟きながらシェラザードの攻撃を受ける。
  高松は微動だにしない。
  「どいて下さい………私がこの者と試合います」
  「エ?」
  金田一が思い出したように叫んだ。
  「ま…………待て……ッッ……確かグンマは男だったと…………しかし ソイツは女じゃないか………」
  「………それは………二重人格だからです」
  「二重人格!!? 二重人格って精神的なものだろ?顔まで身体まで変わってしまうのかァ!!?」
  「確かに普通では有り得ません………しかし二重人格にもいろいろありましてね………」
  「新しい人格が元の人格を覆い隠し……その人格が自らを整形したとしたらどうです?」
  「人間の思い込みの力は強烈なものです……例を出すとするなら……」
  「1968年――――……南アフリカ・ザイール……」
  「そこで世界は強烈な衝撃を受けた」
  「男性が妊娠した」
  「そのニュースはあっという間に世界に広まった」
  「ワカりますか?」
  「生物的におよそ男性に分類された者が妊娠したのですよ」
  「その後 様様な検査を経て その症例に一つの判断が下された」
  「想像妊娠」
  「『妊娠した』その思いから 妊娠してもいないのに徐々に男性の腹が膨らんでいき 
  それが妊婦を同じ形を成した為に起こった」
  「このように人間の思い込みというのは強烈なものです」
  「恐らく シェラザードは 今の自分の姿を思い込み……現在に至ったと考えられます」
  金田一は呟いた。
  「そ……そうか………それならば納得がいく」
  「………私がいけなかった…………」
  「私がグンマ様に究極の英才教育を施し それに耐え切れなくなり逃げ出してしまった…………」
  「その時造り出されたシェラザードという人格に…………」
  「それが何度も繰り返され……遂にはグンマ様の人格をシェラザードという人格が覆い隠してしまった」
  「そして………あのガンマ団から脱走…………」
  「その時の人格は完璧にシェラザードでした………」
  「優しいグンマ様とは正反対の性格…………」
  「暴力性を持った“怪物”シェラザード……………!」
  「………説明…………ありがとよ………ドクター高松とやら………」
  そう言いながらシェラザードは拳を握る。
  「私に勝てると思っているのですか?」
  「分からぬさ」
  シェラザードがそう呟いたと同時に高松は得も言われぬ感覚を感じた。
  「ざわっ…………」
  そう言うような感覚を。
  高松の身体に何かが巻きついていくのと同時だった。
  高松の身体から煙が噴き出たのは。
  「ブシュ―――――ッ」
  「なッ」
  シェラザードがそう叫んだ。
  次の瞬間 高松が煙の中からダッシュして来た。
  高松はパンチを放つ。それをかわすシェラザード。
  が……………!
  「ドボォッ」
  高松がシェラザードの行動を先回りしたかのように 顔に拳を叩き込んだ。
  「ぐ………!」
  「ガコッ」
  連続でシェラザードの顔にパンチを叩き込む。
  「な………何故………ッッ」
  シェラザードが呻きながら そう言った。
  「忘れたのですか?グンマ様に格闘技を教えたのは他ならぬこの私………」
  「よってグンマ様の闘い方はこの私の闘いを基本(ベース)にしている………」
  「それはグンマ様の肉体を使っているシェラザード……貴方にとっても同じ事」
  「グンマ様の肉体を使っている限り 私に勝てるハズが無い」

  それを聞いた金田一は呟いた。
  「なるほど…………同じような闘い方なら 相手が何を出してくるかも分かる……
  そして自分がどう攻撃したらいいのかも」
  「しかし 問題はそんな事じゃない」
  「強えぇぜ あのドクター……半端じゃない程に………」

  「さて……シェラザード………終わりの時が来たようですよ………」
  高松はそう呟きながら 両腕を開いた。
  「………ッ………クゥッッ」
  しかし シェラザードは諦めない。
  「まだ分からないのですか」
  そう言いながら高松は襲い来るシェラザードの懐に飛び込み そのまま肩で後ろに投げた。
  「ドォ………ッッ」
  「何回言えばワカるのですか?貴方に闘い方を教えたのは私………
  しかし その時に教えていない技があったとしたら………?」
  高松がシェラザードに悟らせようとするも シェラザードには納得する様子が無い。
  「聞き分けの無い子は………オシオキです」
  そう言いながらユラリと高松が動いた。
  「ガッ ガッ」
  高松はシェラザードのヒザ関節を軽く蹴り 破壊した。

  キッドは呟いた。
  「ヒザを破壊し 身動き出来ないようにしやがった」
  「エゲツねェぜ あのドクター………」

  高松は呟いた。
  「さて………クライマックスだ………」
  シェラザードは全身を震わせながら思っていた。
  (…………………ッッッッ…………)
  (……ッッ!!? ………ッッ………ッ………!!?)
  (震えてる…………?)
  (私が恐れてる!!!)
  高松が呟いた。
  「そろそろいいですよ」
  そして 1人の男性が闇の中から出て来た。
  その顔は よく知られた顔であった。
  その姿を見た一は思わず叫んでいた。
  「明智さんッッッ」

  ◆生きていた明智!そのトリックが解き明かされる…!

 
 
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グンマとドクター高松はパプワ君キャラ・・・ということはこの世界はすでにパラレルワールド化してるというわけです〜

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