ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第6話 巡り合い

 警視庁。そこでは会議が行われていた。
 「聖・ピーターソン」
 「瑠璃 羅刹」
 「ザナドゥ・スコルピオン」
 「シルヴィア・アレクシス」
 「シェラザード・クローリー」
 「以上 5名が日本に来日」
 「現在 この5人はG−5と言うグループに属しているようです」
 「しかし お互いに面識は無く………………」

 「そんな事はどうでもいい」
 1人の男がその話を遮(さえぎ)った。

 「問題は この女達をどうやって捕まえるかと言うことだけだ」
 そう言ったのは明智警視。

 「今日から全力で捜査にあたり この5人を捜し出すんだッ」
 「全国の警察関係全てにこの写真を送り 至急探し出して逮捕するんだッッ」
 「以上ッ 解散ッッ」

 石川県・金沢市――――……。
 シェラザードはある家の居間にいた。シェラザードの目の前には1人の少年がいる。
 かなりの美少年と言っていいだろうか………?
 「……久しぶりね……遠野くん………いえ……今は 深山……でしたか?」
 それを聞いた深山は顔を引きつらせる。

 「何者だ!!?アンタ!!?オレは アンタの事を知らないぞ?」
 「フッ 何も知らないのも当然ですよ……貴方は洗脳されているのですから」
 「洗脳………?」
 「そう……悲恋湖(ひれんこ)……でしたか?あそこは………」
 「あそこに たまたま来ていた私は全身血だらけの貴方を発見し その場で応急処置をし ロシアに運び込んだ」
 「そして 逆行催眠を試みたところ 殺人を犯していた事が判明……殺人鬼ジェイソンとして……」
 「しかし 私は考えた……もし この男の記憶を消し新しい記憶を植え付けたら面白い事になりそうだと」
 「そして その通りに 1人の男の記憶を植え付けた……」
 「何も知らない……何も分からない……白紙の男の記憶をね………」
 「その記憶を今 呼び覚ましてやろう………」
 そう言ってシェラザードは掌(てのひら)を深山の頭上においた。
 「キィィン キィィン キィィン」
 共鳴している。そして 徐々に遠野の記憶が目覚める。

 まるで 脳の奥底にあるキッチリとカギがかかった箱が徐々に開いて行くかのように。
 遠野の記憶が漏れ 深山の記憶とゆっくりと混ざり合う。

 「フフフフ………」
 その時 深山の目から一筋の涙が流れた。
 「………蛍子…………」
 その言葉を聞いたシェラザードは呟いた。
 「よし……その力を以てして東京を襲ってくれ………え?」
 深山…………。いや。もはや遠野だ。殺人鬼ジェイソン――――!!
 その遠野が居間に飾ってあった斧を つかみ シェラザードめがけて振り下ろした。
 (なッ!!? 何故 私に襲いかかってくる?)
 (洗脳は成功したハズよ………?イヤ……深山の記憶が私の洗脳に逆らおうとしている?)
 (バカなッッッッ 私の洗脳は完璧だったハズだ……それがッッ)

 次の瞬間 シェラザードはかわした。と 同時に居間の机をひっくり返した。
 「バァ――――ン」
 一瞬だが 遠野が机の死角になる。そこを狙ったシェラザードは机越しに遠野に連続でパンチを浴びせる。
 「ドドドドッ」
 「ザクン」
 遠野の斧が机を一刀両断にした。
 「……へぇ………優男が武器を持つと こうも違うの?でも 私には敵わない」
 そう言ってシェラザードはダッシュで庭に出る。それを追って遠野も。
 「………覚悟はいい?」
 遠野は有無を言わさずに 斧でシェラザードに斬りかかった。

 その時だった。シェラザードの影が不気味に蠢(うごめ)いたのは。
 「ざわ………ざわ………ざわ………ざわざわ………」
 少しずつ影が伸びていく。そして 遠野の身体とシェラザードの影が重なる。
 「ざわざわ………ざわ………ざわ………」
 「な……なんだ……?これは………?」
 「影が……影が身体に絡みついてくる!!?」

 次の瞬間だった。シェラザードが動いたのは。
 「私の命令を聞かない人形は廃棄処分(はいきしょぶん)ですね」
 シェラザードが跳び 身動きのとれない遠野めがけて拳を連続で繰り出す。
 「シュドドドドッ」
 そして 自分の懐(ふところ)に手を伸ばし そして取り出した。
 T字型の針。手に隠し持って使う暗器。それで遠野の右目を突き刺した。
 「ドカッ」
 遠野の右目から血が流れる。
 「ぐ……ぅぅぅ………」
 「トドメだ…………」
 シェラザードがそう言った瞬間だった。揚羽(アゲハ)がその現場を見たのは。
 「きゃァァァァァァッ」
 叫び声を上げられてしまったシェラザードはそのまま現場から逃げ出した。
 揚羽は遠野を抱き起こしながら泣き叫んでいた。
 「ひ………日影〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 十数分後。
 深山邸に警察と救急車が到着し 深山は救急車で最寄りの病院に運ばれた。
 「久しぶりですね 揚羽さん」
 「い……猪川(いのかわ)警部………」
 「落ち着いて話して下さい 何があったかを………」
 「………私が叫んだら逃げていきましたので…………」
 「……では 特徴を……」
 「………えと……青い髪………」
 「……青い……?」
 その言葉を聞いた猪川警部は ある人に指示して写真を持って来させた。

 「………この中にはどうかな……?似たような顔は………?」
 その写真を見た揚羽は迷わず1枚の写真を指差した。それはシェラザードの写真だった。
 それを見た猪川警部に衝撃が走った。
 「見つかったッ 本庁に至急連絡しろォォッ」
 次の瞬間 猪川警部はそう叫んでいた。

 秋田の山奥の病院。
 「退院おめでとうございます 竜一さん」
 「あの大火傷から奇跡的に生還した時にはビックリしましたよ」
 「えぇ………生命力だけは強いですからね…………」
 竜一と呼ばれた男はそう言いながらニッコリと笑った。
 「また………社会復帰されるんですか?」
 「いや………もう社会復帰は出来ねェだろうなァ……ま 細細と生きて行くさ……細細とな」
 そう言う竜一と呼ばれる男は自信に溢れていた。


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ザ・ドクター様の格闘小説6話
あ・・・明智警視?!てことはこれは金田一とも合作?!
シェラザードはかなり凶暴と見た・・・・・それにしても暗器?
この女たちを誰が止めるんだろ・・・(新一は出番無し?(笑))by あっきー

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