ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第53話 怪物

  東名高速道路。
  スコルピオンとシェラザードが対峙していた。
  暫く牽制し合っていた二人…………。
  先に動いたのはスコルピオン。パンチを放ちに行く。
  「ガッコッ」
  スコルピオンのパンチを食らったシェラザードは簡単にダウンした。
  「エ………?」
  「これが………シェラザード?」
  「同じG-5の一員のシェラザード?」
  「見る影が無い……これだったらそこらの子供でも勝てそうだわ…………」
  「闘い方すらも忘れてしまったの!!!?」
  その時 シェラザードが構えた。
  「構え………た………?本気になった???」
  「ブォッ」
  シェラザードがダッシュし スコルピオンにパンチを放った。
  「ボォッ」
  それを見たスコルピオンは思った。
  (バカな)
  (シェラザードとはこんなモノ!!?)
  (これがシェラザードなの!!?)
  スコルピオンはシェラザードのパンチをかわし 懐に飛び込む。
  「ヒュラッ」
  「ズドッ」
  スコルピオンのパンチがシェラザードにヒットする。

  日本警視庁。
  そこの会議室で会議が行われていた。
  出席者は……………。
  日本警視庁 東堂 一輝警視正。
  同 明智健吾警視。
  同 白鳥警部。
  米国FBI局長 アラン・ロバート。
  中国華僑元首  宗 孔漣。
  独国副大統領 ブライト・シュナイダー。
  英国刑事法院長 ジュリアン・ジェセル。
  ロシア共和国KGB副長官 ヴァレンチノ・ソロコフ。
  以上の8名である。

  東堂は呟いた。
  「現時点での逮捕者は2名」
  「お手元の書類でご確認済みかと思います」
  「警視庁は総力を尽くしております 現在残り3名の逮捕に向け………」
  「4名ではないのか」
  ブライトがそう呟いた。
  「こっちからはスコルピオンの他にヘルガも来日している」
  「………失礼しました………残る4名の逮捕に向け……検挙率世界一を誇る警視庁ではありますが……」
  「この件に関しては悪戯に時間を浪費し続けているのが実状です」
  「本土上陸以後 犠牲者は既に20名を超える」
  「来日を許した皆さんの責任を問うてるのではありません」
  「どうかご協力願いたい」
  ヴァレンチノは呟いた。
  「東堂警視正………日本には“毒を以って毒を制す”と言う諺があるようだが……」
  「ブライト副大統領………貴方の所には強固な戦士がいるそうですな」
  「大統領を守るためになら 命をも惜しまないという戦士」
  「今こそ使うべきではないのか」
  それを聞いたブライトは叫んだ。
  「ヴァレンチノ氏ッッッッ」
  「我々独国の恥部………よくご存知のようだ………」
  「そして貴方の言われんとしている事は特効薬的効果も考えられる」
  「しかしながら 彼は昔とは違う……犯罪者だ……」
  「犯罪者に対して警察が依頼…事情がどうあれ そんな事は決して………ッッ」
  「チッ チッ チッ チッ」
  ヴァレンチノがそう言い 言葉を続ける。。
  「今 貴方は確かに認めた……特効薬的効果とッッ」
  「果たしてメンツを重視している場合ですかな」
  それを聞いたブライトは勢いよく立ち上がって叫んだ。
  「あの怪物を貴方はご存知無い」
  「あの怪物 シュトロハイムをッッッッ」
  それを聞いた明智と白鳥は思っていた。
  「シュトロハイム!!!?」
  「一体何が起ころうとしているんだ!!?」


  その頃 成田国際空港に1人の男が現れた。
  それを見た2人の黒ずくめの男達は訊ねた。
  「シュトロハイムさんですね」
  「…………そうだ………」
  「申し遅れました 私の名前はジンと申します こちらはウォッカです」
  ウォッカは思っていた。
  (なんだ………この男………ッッ)
  (細い……ッ! これが格闘者の身体か!!?)
  (否………ッッ! ただ 細くはないッ)
  (絞りに絞られた………筋肉!!!)
  「シュトロハイムだ」
  そう言いながらシュトロハイムはジンとウォッカの手を握った。
  「ミシッ」と2人の手が軋んだ。

  高速道路。
  ヘルガは呟いた。
  「強い………ッッ! あれから僅か30分……その30分で………強さを取り戻している」
  「スコルピオン様と互角に渡り合っている」
  その時 ヘルガの後ろから声が聞こえて来た。
  「なんだよ この渋滞はよ」
  スコルピオンにとって聞き覚えのある声だった。
  「―――――――アマギン」
  「よぅ………この間ぶりだな……スコルピオン」

  ◆前門のシェラザード!後門のアマギン!スコルピオン ピンチィ―――――――!!

 
 
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