ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第54話 シュトロハイム

 ◆シェラザードとアマギンに囲まれたスコルピオン!

  「随分と私にとって運の悪い場面だわね」
  「前にはシェラザード……後ろにはアマギンがいる」
  「………しかし こういう絶望的な状況を私は心のどこかで望んでいたのかも知れないわ」
  「恐い………そう思っているハズなのに 今では………」
  「この状況が楽しくてたまらない!!!」
  銀はユラリと動きながら呟いた。
  「次に会ったら決着をつける……前 そう言ったな」
  「今が……その時だッッッ」
  そう言いながら銀がダッシュ。
  その銀のダッシュをスコルピオンが迎え撃つ。
  が…………!
  スコルピオンの背後をシェラザードの蹴りが襲った。
  「………そう言えば いたんだっけな………」
  そう呟きながらスコルピオンは屈んだ。
  かわされたシェラザードの蹴りが銀を襲う。
  「!!!!」
  「くッ」
  そう叫びながら銀がバック転。
  そこにスコルピオンがダッシュ。銀の背中を蹴りに行く。
  「ガコォッ」
  「がぅっ………!」
  そう呻きながら銀は吹っ飛んだ。
  「スコルピオン様 逃げますか?」
  「いや………仕留める」
  「でも 警察のサイレンが聞こえてるんですけど」
  「何!!?でもこの渋滞だ 簡単には来れまい」
  「いえ 逆方向から」
  ヘルガがそう呟いた。確かに逆方向からサイレンの音がする。
  「仕方が無い………逃げるわよ………また会いましょう アマギン」
  スコルピオンはそう呟いてバイクに飛び乗り 逃げた。
  それを見た 一般人は呟いた。
  「逃げやがった………」


  警視庁。
  ブライトは どこかに電話をかけていた。
  「シュトロハイムは………どうかね?」
  「ハ……何か用事ですか?」
  「そんなところだ」
  「では…………呼んで参ります」
  十数分後。
  「すみません ブライト副大統領ッ 逃げられましたァッ」
  「逃げられた………?」
  「ハッ………いや………正確には消えていたと言う方が正しいのですが………」
  「それは恐らく逃げられているな 試しにシュトロハイムのいた部屋のドアを思いっきり叩いてみろ」
  「ハイ………」
  「ガンッ」
  ブライトの電話の向こうから鈍い音がした。その直後に大きな音が聞こえて来た。
  「ピシィッ」
  「あ……あ………き……亀裂が………」
  電話の向こうから震えた声が聞こえて来る。
  「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ」
  「ドドドドドドドドドドッ」
  ………さっきまであったシュトロハイムの部屋が一瞬で崩壊した。わずか1分で跡形も残らず………!
  「…………まずいな…………シュトロハイムに逃げられたとなれば………問題は行き先か………」
  「ハ……ハァ………副大統領……お言葉ですが……また捕まえればいいのでは無いのですか?」
  「何を言って………そうか……キミはまだ新人だったな」
  「ならば知らぬのも無理は無いか あのシュトロハイムの恐ろしさを」
  「我がドイツの前の大統領を知っているね?」
  「あ………ハ………ハイ……確か若くして病気で亡くなられたと………」
  「それは間違った情報だ……本当は殺されたのだ あのシュトロハイムにな!!」
  「な………なんですって………!」
  「しかし 恐ろしいのはその後だ………大統領の護衛団を一瞬のうちに倒してのけた………」
  「ワカるか 屈強で知られる大統領護衛団をだぞッッ」
  「………そのシュトロハイムを捕まえるのにどれだけの人数を要したと思う?」
  「………40人………?」
  「320人だ……そして生き残ったのがたった1人と言う有り様………」
  「1人しか生き残らなかったのですか」
  「そう……そしてその生き残った者の名はスコルピオン」
  「ネオナチスの総統と言われるあの女性ですかッ」
  「そうだ だからこそ恐ろしいのだ」
  「捕まえるためには スコルピオンと同等かそれ以上の者を用意せねばならぬ」
  「しかし シュトロハイムがどこに行ったかも分からぬ以上………派遣出来ぬのだ」


  スコルピオンが逃げる十数分前。
  成田国際空港。
  「………で………?何故私を呼び出したのかね?」
  「実は………殺して欲しい者がおりまして………」
  「この2人でございます」
  そう呟きながらジンはシュトロハイムに2枚の写真を見せた。
  その人物とは スコルピオンとアマギンだった。
  「この2人………かね………?ほぅ………片方は見知った顔………」
  「………で………例のモノは………?」
  「成功報酬で……4000万ドル」
  「了解した」
  そう言いながら シュトロハイムは歩き出し ジン達の車に乗った。
  「出せ」
  そう言いながら。
  車を運転しているジンにウォッカが呟いた。
  「強いんですかね」
  「私の強さを疑うのかい………まぁ………誰かモルモットがいればワカるさ」
  その時だった。目の前を大量のパトカーが通っていったのは。
  「………………あのパトカーを追いかけろ」
  「え………で………でも………?」
  「いいから追いかけるんだ」
  (フフ………パトカーの先にいい予感がある)
  
  パトカーの向かったのは高速道路だった。そこではシェラザードが暴れていた。
  自分が何故捕まるのか分からない。そう言った暴れ方だ。
  強さは取り戻したが記憶は取り戻していなかった。
  シェラザードの周りには既に数十名の警察官が叩き伏せられていた。
  「フム………最高のモルモットだ」
  「準備運動にちょうどいい………狩るか………」
  そう言いながらシュトロハイムはドアを開け 警察官達を押しのけ 立ちはだかった。
  シェラザードの前に。
  「な………何だ………あの外人………」
  1人の警察官がそう言った。
  シュトロハイムは一歩一歩歩みを進めながら言った。
  「フム………キミとは初めて会うな……私の名はシュトロハイムだ」
  そう言いながらシュトロハイムは余裕の笑みを浮かべていた。

  ◆シュトロハイム!その強さをシェラザードに対して魅せる!


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