ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第60話 執刀

 

 警察病院・手術室。

 「キミが執刀すると言うのか!!?」
 「そうです」
 そう言いながら高松は手術着に着替えている。

 「バカなッ 全治3ヶ月の重傷を負っているんだぞ キミはァッ」
 「ここでムリをしたら更に酷くなるぞッ それでもいいというのかッッ」
 「構わない」
 高松のその言葉に医院長は目を丸くした。

 「エ………か………構わないって………キミね…………」
 「私の命はグンマ様のためにある」
 「この命 グンマ様のために使えるのならどうなったって構わない」
 「では……手術を再開しましょう」
 そう言いながら高松はグンマのもとに向かった。
 高松はグンマの顔を見ながら思っていた。

 (グンマ様……貴方は私が助けて見せます)
 (この命に換えても………)

 「メス………」
 「柑子……」
 「縫合糸………」
 「ドレーン………」
 それを見た医院長は思った。
 (は………迅い…………)
 (瞬時に今 何をやるべきかを判断し それを実行している)
 (まさに…………神の領域――――――――……………!!)


 池袋ではスコルピオンとシュトロハイムが激突していた。
 スコルピオンの拳がシュトロハイムの顔を捉えた。
 …………瞬間 シュトロハイムが反撃に行く。

 「グワァキィッ」
 スコルピオンの下アゴを強烈に叩くアッパーカット…………!
 その衝撃で吹っ飛ぶスコルピオン。
 「ザザァ………」
 「ダッ」
 スコルピオンは勢いよく立ち上がり ダッシュ。
 そして次の瞬間 スコルピオンの姿がシュトロハイムの視界から消えた。
 「ガキィッ」
 宙に跳んでの踵落としがシュトロハイムの脳天を捉えた。
 しかしシュトロハイムは動かない………。それどころか 更に反撃に行こうとする。
 シュトロハイムのパンチ……………!
 「ガッキィッ」
 スコルピオンは両腕でブロックした。
 (バ………バカな………ッッ………!)
 (ダメージが無い!!!?)


  ブライト副大統領は思っていた。
  (シュトロハイムは もうあの頃とは違う………)
  (スコルピオンに敗れたあの日から 独房の中で猛トレーニングを積んで来た)
  (それこそ 肉体が壊れても構わないような猛トレーニング!!)
  (そして 最も驚嘆するべき事は!!!)
  (ダメージを受け付けなくなったという事!!!)
  (身体を極限まで鍛え上げ 鋼の肉体をその身体に宿した!!)
  (そのため 通常の打撃では全くダメージを与えられない!!)
  (さァ スコルピオンよ この怪物とどう戦う!!!?)


  スコルピオンがダッシュ。
  そこからシュトロハイムが迎撃する。
  (打撃がダメなら……………これッッッ)
  そう思いながらスコルピオンは技を繰り出した。
  「ボッ」


 手術室。
 高松の手術が終わりに近づいている。
 それを見た医院長は呟いた。
 (迅い―――――………ここまで続いても未だスピードが衰えない)
 その時 高松の視界が真っ暗になった。
 (……………ッッ……)
 (あと……後もう少しなんだ………持ってくださいよ………私の身体………)
 (あと もう少し………)
 (………これを………縫合し終わったら……………)
 「執刀……………終………………了………」
 そう呟きながら高松がヒザから崩れ落ちた。
 「ドォ………ッ」
 「高松さんッッッッ」
 医院長が高松に駆け寄って抱きかかえた。
 命を賭した高松の手術は成功した。しかし 高松の怪我が酷くなった…………。
 看護婦が呟いた。
 「先生……患者さんが………」
 「………この男が………高松殿が命を賭して手術をしたのだ………」
 「絶対に助からないハズが無い」
 そう言いながら医院長は安らかな顔のグンマを見下ろしていた…………。


 池袋。
 「………………ッッッッ…………ッ………」
 シュトロハイムが驚愕していた。驚きの表情が顔に浮かんでいた。
 「テッ……テメェ………ッッ………何しやがったッッ」
 シュトロハイムの右腕から鮮血が噴き出している。シュトロハイムは その個所を左手で押さえている。
 「やっぱり 私の予想は当たった………」
 スコルピオンはそう言いながら笑みを浮かべていた。薄い笑みを。
 
 ◆なッ 何をしたッッ!!? スコルピオンッッ!

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ザ・ドクター様の格闘小説60話
すごいぞ高松!!!
そしてお久しぶりのアップです〜前のアップから1年以上(滝汗)経ってしまいましたが
復活!!待ってくださっていた読者様お待たせしました〜♪
そしてドクター様ありがとぉ〜(元気してましたか〜??←え?私信?(笑))by あっきー

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