ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第61話 ラウンド2

 

 シュトロハイムは自分の右腕を左手で押さえていた。そこからは止め処なく血が溢れ出ている。
 「な………何をしやがったッッ」
 スコルピオンは口を開いた。
 「貴方には打撃が通じないのでしょう?」
 「そう言う相手に勝つのは一見難しいように思えるが………実は答えは簡単」
 「要は――――――………」
 「打撃技を使わなければいいだけの事」
 (な…………ッッ………!!?)

 打撃技を使わなければいい?
 だとするならどうやって攻撃すると言うのだ!!?
 ほとんどの攻撃は打撃によって形成されるっ………………!
 そして 最も効果の大きい攻撃が打撃技であることも周知の事実…………!
 
 「ジャッ」
 またもやスコルピオンが動く………!
 「ズドッ」
 「くゥッ」
 またもやシュトロハイムが呻いた。
 「こ……コイツ………ッッ 不思議な技ばかり使ってきやがる………ッッ」
 「しかし それも………終わりだ」
 シュトロハイムは そう呟きながらダッシュ。
 パンチをスコルピオンの顔に入れた。
 と 同時に蹴り。
 「ガッコッ」
 スコルピオンが吹っ飛び ダウン。と 同時にシュトロハイムが追いかける。
 「ザンッ」
 「シュバッ」
 シュトロハイムの蹴りがスコルピオンのアゴを捕らえた。
 「ガクン………」
 スコルピオンがヒザからダウン。
 そこにアッパーを狙い打つシュトロハイム。
 「グワァキィッ」
 「ダダァンッ」
 背中からダウンしたスコルピオン。その身体は痙攣を始めている。
 「ピク………ピク………ピクク………」


 警視庁。
 「あ………明智警視………ッッ シュ……シュトロハイムが…………」
 「戻って来たか!!!?」
 「アッ………いや………そッ………それが………」
 「土産だ…………」
 シュトロハイムはそう言いながらスコルピオンを引きずっていた。
 「………た………倒したのか………スコルピオンを…………」
 「あぁ………呆気なかったぜ…………」
 それを聞いた明智は思っていた。
 (おかしい――――――………)
 (私の調べではスコルピオンと言う女性………G−5ではKINGに最も近い女性だったハズ………)
 (こうも簡単に敗れるとは考えにくい………)
 (それとも…………?)
 (この男がスコルピオン以上に強いのか!!!?)
 (これならば…………!あの男から聞きだせるかもな あの赤木から…………)
 「シュトロハイム」
 「今からある男の所に行って欲しい………」
 「その男は 山梨の山中にいる」
 「鬼神――――――………赤木しげる」


 都内。
 2人の女性が会話していた。
 「………フム…………負けましたか………」
 「どうします?」
 「決まっているでしょう………」
 「やる事はただ1つ」


 山梨・山中。
 「ほぉ………珍しい客もあったものだ………」
 「ドイツの狩人………シュトロハイムさんが何の用かね?」
 「ここに観光に来た………と言うワケでもなさそうだが………」
 「アンタと闘いに」
 そう言いながらシュトロハイムは構えた。
 「ほぉ……命知らずもいたものだな………余程自分の強さに自信があるのか……それともただの馬鹿か………」
 「運命を選ぶがいい………」
 「ここで朽ち果てるか それとも 逃げるか」
 「どっちも選ばない むしろ 生きて帰るさ」
 「でも………それをアイツが許すかな?」
 「アイツ………?」
 シュトロハイムは目を点にしながらそう言った。
 「実はな 先客がいるんだよな……ホラ オマエの後ろに………」
 「後ろ?」
 シュトロハイムがそう呟いた瞬間 シュトロハイムの全身を殺気が襲った。
 「ゾクゥッ」
 「だ……誰だァァァッ」
 そう叫びながら振り向いたシュトロハイム。
 そこには…………。
 スコルピオンの姿があった。
 「ス………スコルピオン!!?」
 「先程はどうも」
 「…………ッッ………ッッ………な………何故………ッッ!!?」
 シュトロハイムは驚きながらスコルピオンを指差していた。
 「……そ……そうか……脱走して来たと言うのか………ならもう一度……いや 何度でも警察に連れ戻してやるぜ」
 そう言いながらシュトロハイムは構えた。
 「ラウンド2………といきましょうか…………」
 そう言いながらスコルピオンは身体の力を抜く。相手がどんな攻撃に出ても対応出来る柔軟な構えだ。


 その時 警視庁に1人の女性が現れていた。
 「すみません………」
 「明智警視はいらっしゃいますでしょうか………?」
 「あ…明智警視ですね。 しばらくお待ちください」
 そう言いながら受付の女性は明智に連絡を取った。

 そして しばらくした後 明智が姿を現した。
 「私に用事のある女性って……貴方………ッッ……ッッ………」
 その女性を見た明智は驚いていた。
 そう。そこにいたのはヘルガ――――――…………。

 ◆ヘルガの目的とはッッ!!?
 

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ザ・ドクター様の格闘小説61話
明智警視お久しぶりです(爆)
そしてシュトロハイムとスコルピオンの戦いの行方はいかに?!by あっきー

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