ラン〜RAN〜

ザ・ドクター様

第8話 ヨーイドン

 東京都内の高級レストラン。

 そこで 3人の男性が食事をしていた。
 来栖川 猛(くるすがわ・たける)。
 アントニオ猪狩(いがり)。
 ――そして館岡 直也(たておか・なおや)。
 館岡の身体は鍛え上げられていた。

 精悍(せいかん)な顔つき。髪型は両サイドを刈り上げていた。
 館岡が中心に飯をガツガツと食べていた。
 ステーキ。
 ワイン。
 スープ………。
 それらがあった皿がテーブルに積み重ねられていた。

 それを見た猛は首を横に振って笑いながら言った。
 「よく 喰うなぁ〜〜〜………」
 館岡がゲップしたのを見て 猪狩は呟いた。
 「桁外れの食欲に加えて 自称グルメときている……銭のかかることだ」
 「いいオモチャを手に入れたな 猪狩……」
 「タバコある?猪狩さん?」
 猪狩は その言葉を聞くと 懐から煙草を取り出し 館岡に渡し 火を点けた。
 館岡は 煙草を吸い 勢い良く煙を吐いた。
 「フゥ……マズゥ………」
 「何でマズイ煙草を吸うのぉ?猪狩さん?」
 「ハハ……嗜好の一種だな……」
 猪狩は苦笑しながらそう言った。
 「元柔道世界一にしては礼儀を知らないな」
 「……これでいい……若さとは傲慢(ごうまん)なモノ 強さとは傲慢(ごうまん)なモノ………」
 「敗れて 泥にまみれる その日までは………」
 「何でもいいンだけどさァ……早く用件に入りなよ?そんなコト話しに ここに来たワケじゃねぇンだろ?」
 (話させろよな〜最後まで……)
 そう思いながら 猪狩は苦い顔をした。

 「じゃ 早速 本題に入ろうか…館岡くん……その前に聞くが どんな闘いをしたいんだ?」
 「どんな闘い……」
 館岡はそう聞いて 少し考え込んだ。そして 口を開いた。

 「闘う場所があり……ギャラがあり……相手がいれば いつでも どこでも どんな闘いでもやりますよ……」
 「もちろん 今 この場でも……ね……アンタ等はヨーイドンだけ かけてくれればいい」
 その時 館岡の頭に 何枚もの皿が乗った。
 「ヨーイドンよ」
 その声と同時に。
 お皿を乗せたのはスコルピオンであった。
 それを長髪と見た館岡は瞬時に立ち上がり スコルピオンに つかみかかる。
 その時にスコルピオンの両手が動いた。
 ナイフとフォークを館岡の両手に突き刺したのだ。
 自分の軍服に館岡の手を縫いつけた。
 そして 軍服の中身が抜け殻になる――――――………………。
 スコルピオンが瞬時に脱いだのだ。ボタンを外して――――――…………。
 そして それを振り払おうと館岡が横に投げようとした。
 しかし 縫いつけられているため 振り払えない。
 スコルピオンが拳を繰り出した瞬間 館岡の顔に何本もの切り傷が出来ていた。
 何かでエグられたような傷が。
 そして 館岡が顔からダウンする。その震動で血がパッと舞った。
 「ヨーイドンでしか走れない者は格闘技者とは呼ばないわ」
 「試合とは読んで字の如く 飽くまでも試し合い(リハーサル)に過ぎない」
 「リハーサルは何度やってもリハーサル………本番では無い」
 「………スコルピオンさんだな」
 演説するスコルピオンに猛がそう言った。
 「場所を変えて話しましょうか」
 スコルピオンが にこやかにそう呟いた。

 そして スコルピオンはそのまま猛の車に乗せられた。
 「フフ………告げられてもいない行き先に……いい予感がある」

 エクストリーム2000で使われた闘技場。そこの中央にスコルピオンと猛がいた。
 「……香るわね………まだ乾ききって居ない……血の香りだわ」
 (来栖川の血が教える……数日前からの胎動………その答えが今夜のハズ……)
 (強者を求めるなら ここしかない!!)


 その時 闘技場に4人の影が姿を現した。
 聖・ピーターソンが。
 瑠璃 羅刹が。
 シルヴィア・アレクシスが。
 シェラザード・クローリーが。
 「アンタが呼んだの?」
 スコルピオンが猛にそう尋ねた。
 「いいや………ワシじゃない……彼女達を呼んだのはこの闘技場の土に染み込んだ おびただしい血と………」
 「彼女ら自身の血じゃ!!!」
 そして G−5の5人が闘技場に降り立った。
 「早速だが 君達に質問したい……何故 ここに来たのかね」
 それを聞いたピーターソンは呟いた。
 「その質問を……我々に……いや……アタシにとっては初対面の4人だが……問う権利がアンタのどこに?」
 「ここは ワシの所有物だ」
 「ならば アタシ達は不法侵入者というわけだ 質問には答えなければならないだろうな」
 「是非……聞かせて欲しい」

 スコルピオンが言った。
 「アンタが私を連れて来た………と言うより 私が誘いに乗った……」
 ピーターソンが言った。
 「癒(いや)される場を求めて……ここに たどり着いた……」
 シルヴィアは呟いた。
 「競技者ではない強者に会うために……気の向くままに………」
 瑠璃は呟いた。
 「強者と闘いたいと思ったら知らないうちに足がここに向かっていた………」
 シェラザードは言った。
 「ふむ………匂い……かな……?血の匂いを たどっていたら ここがあった…………」

 それを聞いた猛は身体を震わせながら言った。
 「素晴らしい……君達は本当に優秀な細胞を持っている………」
 「ご褒美に敗北をプレゼントしよう」
 それを聞いたピーターソンは呟いた。
 「アンタにプレゼントされなくてもさ……ここに素敵な人達がいるじゃない?」

 ……そして 5人が臨戦態勢に入ろうとしていた。
 その時だった。観客席から声が聞こえて来たのは。
 「来栖川さん」
 その声を聞いた猛はその声のした方向を振り向いた。そこには蘭の姿があった。
 「蘭ンンッ」
 蘭の姿を見た瞬間 G−5達の眼の色が変わった。

 そして その反対方向から また声が聞こえた。
 「今晩は……」
 さらに猛はそっちの方向に目を向ける。
 「綾香ァァァッ」
 登場したのは綾香だった。いや。1人だけではない。
 綾香の後から次々と姿を現す戦士達。
 北斗 晶(ほくと・あきら)。
 松原 葵(まつばら・あおい)。
 紅 栞(くれない・しおり)。
 「とにかく 集めたわよ………」
 綾香が そう呟いた。

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ザ・ドクター様の格闘小説8話
なんと5人勢ぞろい!!これから始まる激しいバトルが・・・・・・・
この戦いの意味はいったい・・・・・
(個人的に明智警視にはもっと出てもらいたいし・・・・・・)by あっきー

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