コナン&金田一final
漆黒のモレンド 第12章〜金田一編〜
作:Gahal様
ドォン…ドォン…バタン!!

小五郎と金田一がドアを破壊し、部屋の中に入った。
部屋の中には、うつぶせで背中から血を流した、畠山の死体が横たわっていた。

金田一・小五郎「は、畠山さん!!!!」
「きゃぁぁぁぁぁ・・・」
1Fの廊下全体に一條彌瑠、二橋絵理迦、三枝利巫、沖野ヨーコ、速水玲香の悲鳴が轟いた。
金田一と小五郎の2人は、変わり果てた畠山の姿を発見してすぐ、部屋の中に入っていった。


すぐに畠山のそばに駆け寄り、小五郎が脈を確認した。
小五郎「だめだ、死んでる。」


ヨーコ「そんな…」
玲香「うそ、どうして…」
カタカタ小刻みに震えながら、両手で口を覆い、うっすら涙を浮かべながら玲香とヨーコはつぶやいた。


小五郎「ん?なんだこれは?」
小五郎が発見したのは、血で書かれた文字だった。

小五郎「け?」
その血文字はひらがなの『け』のようにみえる。
そして畠山の右手人差し指は、ちょうど『け』の最後の線を書き終わったところで止まっていた。



金田一「あれは…」
今度は金田一が何かを見つけたようだ。

金田一「鍵だ」
それは部屋の内側に開かれたドアの裏側に落ちていた。
この船の客室のドアは全て内開きである。

室内が洋室なので部屋に入ってすぐ靴を脱ぐ必要がない。
また万一、台風や事故などで船内の廊下にまで浸水してきた場合、外開きだと水圧でひらけなくなるため、
この船では内開きが採用されたのである。

ドアを開けて入ったときにはドアの裏に隠れて見えなかったのが、部屋の中から振り返って初めて見つけることが出来たのだ。



“161”という数字(畠山の部屋の番号)が刻み込まれたプレート。その左側にくっついている部屋の鍵。
それが落ちていたのだ。


小五郎「鍵だと?まさかこの部屋の?」
金田一はドアへと近づき、そばに落ちている鍵を拾った。そしてその鍵をよく調べた後、小五郎に返答した。
金田一「間違いないと思うぜ。この部屋の番号が書いてあるし、それにこのキーホルダーは鍵を外すことが出来ないようになってる。
でも一応確かめてみよう。」
しかし、金田一がそう言った瞬間…

ボン!という音と共に、突然ドアが爆発した。

ドアのすぐそばにいた金田一は爆風で吹っ飛ばされ、部屋のすぐ外にいたバックダンサー3人とヨーコと玲香は再び大きな悲鳴をあげた。
おそらく爆薬はドアノブの所に仕掛けてあったのだろう。
ドアノブはドアからはずれて落下して燃え上がった。
火が完全に消えたときにはどこが鍵穴かすらも分からない状態にまで変形した残骸だけが残っていた。




それから約30分が経過した…

この事件のことはすでに剣持警部へと伝えられ、剣持による検死とその他の刑事達による捜索作業(他にも爆弾が仕掛けられていたら危険なので)
が同時並行で行われていた。
その間に他の関係者はレストランへと移動し、中村一郎刑事と金田一が事情徴収を始めていた。

ただ一人、船員に事件のことを知らせるために操舵室へ向かった毛利小五郎だけがまだ戻ってこないが・・・

6人掛けのテーブルの片側に一條彌瑠、二橋絵理迦、三枝利巫が座り、向かい側に速水玲香、沖野ヨーコが座っている。
そのテーブルの横に中村刑事がの立ち、事情聴取を進めていた。

金田一は少し後ろの壁により掛かりながらその様子をじっと観察していた。


中村「それでは、みなさんのアリバイを確認したいと思います。」
一條「ア、アリバイって…何?私たちを疑ってるわけ?」
中村「あ、いえ、別にそういうわけでは…」
一條「うそ、私たちだけ事情聴取してるってのはそういうことでしょ?」
二橋「アリバイなんてあるわけないです。畠山さんが殺された時間って、みなさん部屋で寝てる時間じゃないですか。
そんな時間にアリバイなんてある方が変です。私も部屋に着いてすぐ寝てしまいましたし。」
中村「そ、それはそうですが」
一條「私だってそうよ。」
三枝「わたしも〜」
玲香「私も」
ヨーコ「私もです。」
中村「そうですか…」
そう言うと中森は警察手帳に何かを書き込みながら

中村「それでは、畠山さんが命を狙われる理由に何か心当たりは?」
ヨーコ「畠山さんはとても優しくて立派な人です。人から恨まれるなんて事、絶対にありませんわ。」

「!?」


そして特に収穫のないまま事情聴取は終了した。

中村刑事はそのまま剣持の所に向かい、一條彌瑠、二橋絵理迦、三枝利巫、沖野ヨーコ、速水玲香は朝食を済ませた後、
すぐに部屋へと戻っていった。


その道中、一條はなおも怒り狂っていた。

一條「まったく、港に着くまで自室で待機してろ、なんて…まるっきり疑ってるってことじゃない!!」
三枝「ホントよ〜」
二橋「2時には港に到着ですから、そんなに長い時間じゃないといっても、せっかくのオフが台無しです。」

彼女たちの部屋があるフロアーにたどり着いた。
まず階段のすぐ近くに部屋がある沖野ヨーコ(100号室)、速水玲香(101号室)が別れ、残りの3人は廊下を自分たちの部屋へと歩いていった。



三枝「それじゃ〜またあとでね〜」
三枝は鍵を回しながら2人にそういった。

一條もまだプリプリ怒りながらバッグから鍵を取り出し、部屋へと入っていった。

ただ一人残された二橋も自分の部屋へと着くとドアを開け、中に入っていった。

一條 彌瑠の部屋が182号室
二橋 絵理迦の部屋が191号室
三枝 利巫の部屋が162号室

その様子を、金田一は階段の陰に隠れて伺っていた。
そして全員が部屋に入ったのを確認し、金田一自身も自分の部屋へもどるため、階段を下り始めた。(金田一の部屋は340号室)




その途中だった。
「大変なことになりましたね。」

金田一「明智さん!!」
金田一の前に現れたのは、明智だった。その隣にもう一人誰かが立っていた。

明智「休暇を楽しむために乗った客船で君と乗り合わせただけでも不運なのに、殺人までおこるとはね。」
金田一「どーいう意味だ!!って明智さん」
明智の隣にいる人物を見た金田一は、とてつもなく驚いていた。

金田一「あ、あんたは!!」
あまりの事に驚きまくった金田一は、醍醐真紀の顔を、それもおもいっきり目の前で指さしていた。

金田一「な、なんでその人と?」
そう。今、明智と肩を並べているのは、醍醐真紀だったのだ。そして昨日レストランで明智に声をかけたのも醍醐真紀ということになる。

明智「え?彼女のことを知っているのですか?」
不思議そうに金田一の方を見ながらそういった明智は、そのまま醍醐真紀の方に視線を移し、言った。

明智「金田一君と会ったことがあるんですか?」
真紀「いいえ。」
そうか。金田一は納得した。目の前にいる醍醐真紀が本物だということに。

真紀「私をご存知なのですか?」
金田一「あ、いや…」
まさか、あなたに変装した怪盗紳士にあったことがある、なんて言うわけにはいかない。なので金田一は
金田一「どうやら人違いだったようです。」
とごまかすしかなかった

金田一「ど、どうも金田一一です。」
真紀「醍醐真紀です。はじめまして。」


その後すぐ、醍醐真紀と明智は、2人でどこかに行ってしまった。

金田一は2人を見送った後、再び自分の部屋に向かって歩き始めた。
金田一「そういえば、明智さんの用って一体何だったんだろう…」


金田一の部屋の前には、ビデオカメラを構えた佐木が周辺を撮影しながら待っていた。
佐木「あ、センパーイ!!」
佐木は金田一に向かって左手をふった。

金田一「佐木!!親父さんの仕事の手伝いだろ?もう終わったのか?」
佐木「ええ、終わりましたよ。昨夜のうちに全部。」
金田一「チェッ!!今日も仕事してりゃいいのに…」
金田一は佐木に聞こえないように小さな声で言ったのだが
佐木「え?なんか言いました?」
内容まではわからなかったようだが、声だけは聞こえていたのだった。

金田一「あ、いや…なんでもない。」
とりあえずその場をごまかし、金田一はさっさと部屋に入った。

それに続いて佐木も部屋に入っていった。



部屋にはテーブルと2脚のソファーがおかれていた。
金田一はベッドに腰掛け、佐木はソファーに座った。

佐木「そういえば先輩。この船の中で殺人事件があったって聞いたんですが本当ですか?」
金田一「ああ。でもどこでそれを?」
佐木「どこでって、毛利小五郎とか言う人が船員さんに伝えに行ったのを偶然聞いたんですよ。」
そこに、検死と現場検証を終えた剣持が入ってきた。剣持はバン!とドアを開け、いきなり叫んだ。

剣持「金田一!!」
金田一・佐木「うわっ!!」
金田一と佐木はひっくり返っていた。

剣持「ん?どうかしたのか?」
金田一「いきなりバン!!とドアを開けられて、叫ばれたら誰だってビックリするよ!!」
剣持「ああ、すまんすまん!!」


ポリポリと頭をかきながら剣持はもう一つのソファーに座り、3人はすぐに事件の話をはじめた。

剣持「どうだ金田一、密室の謎は解けたのか?」
金田一「いや、まだ…」
剣持「そうか…ところで毛利君を見なかったか?」
金田一「え?毛利サンってまだ戻ってきてないんだ。どうしたんだろう?おい佐木。おまえ毛利サンを見たんだろ?どこ行ったか知らないか?」
佐木「僕にもわかりませんよ。船員さんと毛利小五郎さんが2人で船長室に入ったところまでは見てたんですけど。」

金田一「船長室って、お前どこまで行ってんだよ。そーいやオッサン、畠山さんの死亡推定時刻とか教えてくれよ。それと爆弾は?」
剣持「ああ、爆弾は見つからなかった。仕掛けられていたのはドアノブを焦がした1個だけだったようだ。」
そして検死結果を金田一に伝えるため、内ポケットからゴソゴソと、結果をメモしてある警察手帳を取り出した。
そのとき、警察手帳に引っかかってビニールに入った鍵がコトンとテーブルの上に落下した。

金田一「オッサン、その鍵って」
剣持「ああ、これは…」

バタン!!

畠山さんの部屋の鍵だ、と言おうとした剣持だったが、突然バタンと倒れてしまった。


金田一「オッサン!!どうしたんだ」
見ると佐木も倒れている。

金田一「これは!?一体、オッサン!!佐木・・・・」
そういう金田一もだんだんと意識が遠のき、ついに倒れてしまった。




「剣持警部しっかりしてください。金田一、起きろ!!」
剣持「ん・・・」
中村「気がつかれましたか、剣持警部」
剣持「あ、ああ。」
金田一「俺たちは・・一体・・・・」
剣持「どうやらガスか何かを吸わされて眠らされていたらしい。」
金田一はふと横を見た。するとそこには、まだ眠り続けている佐木の姿があった。どうやら中村刑事は剣持と金田一しか起こさなかったらしい。

金田一「おい佐木!!起きろ。」
と言いながら佐木の体を揺する金田一。

佐木「ふわぁぁぁ・・・・あ、センパイ!!おはようございます。」
まだ少し寝ぼけている佐木を無視し、金田一は剣持の方を向き言った。

金田一「オッサン!!すぐに部屋の中を調べるんだ!!」
剣持「え?」
金田一「どこの誰かは知らないが俺達を眠らせたってことは、この部屋の中に何か用事があったってことだ。それも俺達に知られては困る何かが…」
剣持「それは一体…」
金田一「考えられるのは…畠山さんを殺害した犯人がうっかり残してしまった証拠を隠滅しにきた、ってとこだけど。
部屋の鍵は開けたままだったんだ。だから誰かが入った可能性は高い。」

剣持はまず、眠る間にテーブルに落下手した鍵(“161”と刻み込まれたプレートの右側に部屋の鍵がくっついている)を
手に取ってから胸ポケットなどに入れていた証拠品がなくなっていないかどうかを確認し始めた。

剣持「なくなってないぞ。証拠品は全てそろってる。」
佐木「でも、誰かが部屋に入って何かをしたのは間違いないみたいですよ。」
そういったのは、先ほど目を覚ましてからずっと自分のビデオカメラをいじっていた佐木だった。
佐木は自分のビデオを再生し、金田一達に見せた。

佐木「ここを見てください。」
佐木が指さしたのは、画面右下に表示される撮影日時の表示だった。
ビデオカメラに着いている5インチの液晶画面には、3人が眠ってしまう直前の風景が映し出されていた。

佐木「このとき僕はビデオで撮影をしながら眠ってしまったので、先輩に起こされるまでずっとビデオは動いていたはずなんです。
実際僕が止めるまで動いていましたから。でも見てくださいほら。」
そのとき、録画されている映像が突然切り替わった。そしてその瞬間、撮影時刻も一気に1分以上進んでいた。

金田一「誰かがその間だけビデオを止めたっていうのか?」
佐木「いえ多分、この部屋の中で何かをし終わった後にビデオを止めて、僕たちが眠り始めたあたりまでテープを戻して、
そこからまた録画を開始して、その人が部屋の中で何かを遣っていた時に録画されていた映像を消したんだと思います。」

剣持「なるほど、でも証拠を持ち去ったのではないとすると、犯人は一体この部屋の中で何をしたんだ?」


その後、しばらく4人の間に沈黙の時が流れた。
事件について考えにふける金田一、そんな金田一の顔を、期待を込めてのぞき込む剣持、どうしていいかわからず2人の顔を交互にみている中村。
そんな3人の様子を撮影し続けている佐木。4人は一言もしゃべらなかった。


そんな沈黙を破ったのは、剣持警部だった。
剣持「そういえば金田一、眠ってしまう前に聞いていた畠山さんの死亡推定時刻だが・・・死後硬直の具合から見て今日の午前1時から3時頃だ。」
金田一「死亡・・・推定時刻!?」

その言葉を聞いた瞬間、金田一の脳に衝撃が走っていた。

金田一「そういえばあの人・・・・そうだよ、あんな事言えるはずないんだ。」

少しずつ

金田一「とするとあのときの妙な行動は・・・・」

ピースがつながっていった。

金田一「そうか、オッサン!!あれを見せてくれ。それと佐木、ビデオだ!!」

そして

金田一「やっぱりそうか。あの密室はそういうトリックだったんだ。それならあのときの妙な行動も、あの爆弾も説明が付く!!」
謎は次々と解けていった。

金田一「それにあのダイイングメッセージも・・・」
剣持「それじゃ金田一、まさか・・・!?」


金田一「ああ、謎は全て解けた!!」

<ヒント>




13章へつづく


<Gahal様あとがき>
12章金田一編完成!!
次の13章からはコナン編と合流し、ストーリーは再び一つになります。
この章には、金田一編のほとんど全ての謎に対するヒントがちりばめられています。
なので

・畠山さんを殺害したのは誰か?
・ダイイングメッセージの意味は?
・密室トリックとは?
・怪盗キッドが変装しているのは誰か?
・速水玲香を狙う“殺し屋”が変装しているのは誰か?

の5つの謎は全て解けると思いますので、がんばって解いてみてください。
Gahal様のコナン&金田一final
待ってました!!推理問題!!(待て)
・畠山さんを殺害したのは誰か?・・・判りました!いやったー!確かにあの発言で判ったようなものです!
・ダイイングメッセージの意味は?・・・まだ判りませんが今解き途中です・・げふっ
(H16.8/27現在)
・密室トリックとは?・・・これも半分判りました。部屋番号がキーポイントですね。うまいなあ・・とただただ感心するばかりです。
・怪盗キッドが変装しているのは誰か?・・・こ・・これは全く判らない;;しくしく
・速水玲香を狙う“殺し屋”が変装しているのは誰か?・・・バタン(封神されました)←待てや
こんだけ書いて全然犯人違うかったら笑える(爆)でも自信あり!(b^ー゜)
さあ、みんなは解けたかな??
byあっきー

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