コナン&金田一final
漆黒のモレンド 第17章
作:Gahal様
3月11日(日)午後2時
金田一たちが乗った客船が帰港するはずだった東京湾のとあるフェリーターミナルに、美雪とフミは金田一を迎えに来ていた。

というのも、客船に乗れなかった代わりに美雪とフミは船から降りてきた金田一を捕まえて、むりやり夕食をおごらせようと思ったからだ。
が、
30分、1時間と経っても船は戻って来なかった。

フミ「船、遅いね。」
美雪「そうね」
その上、受付や、そのフェリーターミナルのすぐ傍に本社がある隣接船舶会社からの説明は一切無かった。

他の乗客を迎えに来たと思われる人々も徐々に増え、ロビーは大混雑していた。
窓口にそれらの人々が殺到し、受付職員を質問攻めにしていた。また、奥の電話も午後2時からずっとなり続けているようだ。
やがて、会社側から船が行方不明になったことが発表されたのは到着予定時刻から1時間30分が経過した午後3時30分のことだった。



その頃(午後3時30分頃)米花ジョイシティで遊んでいたはずの元太、光彦、歩美の3人は・・・
3人がジョイシティに到着した時間が遅かったため、どのアトラクションにも乗る事が出来なかった。なので3人はBJCタワービルに入る事にした。

だが、BJCタワービル内のアトラクションも事件の影響で営業しているのはお化け屋敷と大迷路と映画館だけだったため、
外のアトラクションに乗れなかった客たちが殺到し、どちらも2時間以上の待ち時間になっていた。
そこで元太が言い出した。

元太「なあなあ、ビルん中探検してみようぜ。」
そして3人はビル内の探検を開始した。

エレベーターで上がったり下りたり、タワーへ上ったり、屋上に出たり、とにかく3人はビルの中を歩き回った。
そして見つけたのは1つの非常階段だった。非常階段といっても常時開放されており、誰でも上り下り出来るようになっているのだが、
ほとんどの人がエレベーターを利用するため、めったに人が来ることは無かった。
また、大迷路やお化け屋敷の途中の階にあたる4〜8階、25・26階では扉が閉められており、迷路やお化け屋敷側からしか開けられないようになっていた。

3人は一旦その階段で最上階まで上がった後、今度は下へと下りていった。
地下5階、そこがBJCタワービルの一番下の階のはずだった。
しかし非常階段はまだ下へと続いていた。

元太「なあ、行ってみねえか?」
歩美「え〜っ!?ダメよ。」
光彦「そうですよ。きっとジョイシティの人しか行っちゃダメなんですよ。」

確かに関係者以外立ち入り禁止、と書かれた札が下がっていた。
ともかく2人に反対されたので、元太は下へ行くのを諦めた。


そして、もう時間が遅くなったため、3人は帰ることにした。が、階段を1階へと上がってBJCタワービルから出ようとした時、
歩美がとんでもないものを見つけてしまった。
歩美「ねえ、あの人…」
歩美はその人物の事を指しながら、小声で光彦、元太に尋ねた。

元太「あ、あいつは!!」
3人はサッ!と近くの植え込みの中に姿を隠した。

光彦「間違いありません。守君を撃った男です!!」
そこにいたのは守を撃ち、速水玲香を狙い、船から中央アルプスまで逃亡し、そして再び中央アルプスから逃亡した2208だった。

実はまだ顔写真の公開がされていなかったため、3人以外誰一人2208のことに気づいていなかった。
2208は3人に気づかず、BJCタワービルの中へ入っていった。

光彦「何をする気でしょう?」
元太「さ、さあ。また何か悪い事たくらんでんじゃねえのか?」
歩美「どうする?」
元太「跡をつけようぜ。」
光彦「そうですね。」
3人はBJCタワービルへ引き返していった。

2208はさきほど元太たちが上り下りしていた非常階段へと歩いていった。
そして非常階段を下り、地下5階からさらに下へ、地下6階へと下りていった。

地下6階に広がっていたのは、水道や下水、ガスなどの配管、免震装置や自家発電機などが設置されている空間だった。
2208はゆっくりとその空間を進み、ある壁のところで立ち止まった。そしてポケットに入れていたリモコンのようなもののスイッチを押した。
すると壁の一部がガガガガ…と音を立ててせり上がり、そこに通路が出現した。

2208がその通路の奥に消えていくと、開いていた壁は再びガガガガ…と音を立てて閉じていった。


元太たち3人は急いでその壁の所へ駆け寄った。が、間に合わず、壁は完全に閉じてしまった。
3人はどうにかして通路を開けようと、壁を調べまくりはじめた。
3人で手分けをして周囲に怪しいところがないか調べる。が、開けられそうになかった。

元太「ダメだ〜」
光彦「どうやら、あのリモコンじゃないと開けられないみたいです。」

3人が壁の前で手間取っている間も2208は通路を進み、そして自分の部屋へと到着した。
そしてドカッ!と椅子に座り、目の前のデスクの上にあるモニターを見た。

それは米花ジョイシティ内の全ての監視カメラの映像を傍受し、それぞれの映像を3秒おきに映していた。
エントランス、黄金の地球儀、仮面ヤイバー・ザ・ライド、BJCタワー・・・その映像は次々と変わっていく。
それらの映像を見ながら2208は仕事をするのだ。

2208の仕事、それは…犯罪行為諸々だった。

今は速水玲香の暗殺を依頼されいたのだが、2度連続で失敗していた。あとでもう一度船に戻らねばならない。
そして2208は、追いかけてきていた怪盗キッドを撒くことが出来たかどうかを確かめるため再び監視モニターに目を向けた。
しかし、今モニターはBCJタワービル内の映像を映していた。BJCタワービルの次はその上にあるBJCタワーの映像になり、
それが全て済んでから再び屋外の映像になる。2208は屋内の映像が終わるのをイライラしながら待った。

そしてBJCタワーの映像が全て終了した。

2208(やっと外か)
いや、まだ早かった。タワー展望台の映像が終わった後、監視モニターはBJCタワービル地下の映像を映しはじめていた。
地下1階、地下2階・・・そして一般客の入ることが出来ない地下6階の映像になった。

2208「ん?」
モニターの映像が地下6階の、ちょうど壁を映す位置に設置された監視カメラのものに切り替わった。
そこには歩美、光彦、元太の3人の姿がハッキリと映っていた。

2208「こいつらは…」
2208も3人のことを憶えていた。

その時、光彦がその監視カメラに気づいた。
そしてその表情がみるみる青くなっていった。

光彦「た…た…」
その様子に横にいた元太が気づいた。

光彦「ん?どうした光彦!?」
すると光彦は、その監視カメラを指さしながら言った。

光彦「た、大変です!!僕たちの姿、監視カメラに写っちゃってます!!関係者以外立ち入り禁止の所にいるのがバレちゃいます!!」
元太「何!?」
歩美「ど、どうしよう」
2人の顔色も変わっていった。

2208は3秒ごとに次のカメラの映像に切り替わるシステムを止め、B6階壁の前の監視カメラの映像をずっと見続けていた。
今の元太たち3人のやりとりも。

続いてモニターには3人が地上への階段へ向かって走っていくのが映されていた。


コナンと平次は、米花警察署で高木刑事による事情徴収を受けている最中だった。
正確に言うと、コナンと平次の2人が、高木刑事から事件についての色々なこと(16章終わりの3人の証言など)を聞いている最中だった。

平次「3281、5648、8982、5010か…アホみたいなコードナンバーやな。」
高木「え?」
平次「だから、そのナンバーの意味が分かったって言ってんのや。」
高木「このナンバーに意味なんてあったのかい?」
平次「何や、気ぃ付いてへんかったんか?」
コナン「んとね〜」
コナンは2人の会話を遮り、説明を始めた。

コナン「まず、3281だけど、3は みっつ だから“み”、2は英語でtwo(ツー)って言うでしょ。
だから“つ”8は“ば”、1は“い”と読んで、最初からくっつけると…」
高木「み・つ・ば・い…密売!?」
平次「3281が支部長をやってた関西支部は海外から麻薬や拳銃などの密輸・密売をやってたみたいやから、それから取ったんやろ。
ほんで5648は5(こ)6(ろ)4(し)8(や)や。」
高木「殺し屋!!そうか、確か5648の九州支部は暗殺をしてたって…じゃ、じゃあ北海道支部長の8982はもしかして8(や)9(く)8(ぶ)2(つ)かい?」
平次「いや、ちゃうやろ。“薬物”にすんのやったら8922にするやろ。1,2,3…をひいふうみい…って数えるしな?」
高木「そっか、“ぶ”は2になるわけか…でもそれなら8982って…」
コナン「8(ば)9(く)8(は)2(つ)だよ。ほら、8982の北海道支部って爆薬も作ってたんでしょ?」

平次「んで5010は5(ご)0(オー)10(とお)、つまり強盗や。たぶん、8982が作った爆薬を使って強盗やっとったんとちゃうか?」
高木「な、なるほど。それじゃあ2208と2001の意味は?」
平次「その2つだけはまだ分からへんのや。今みたいな単なるダジャレや無いみたいでな。」


同じ頃、蘭と和葉は、色々おしゃべりしながら毛利探偵事務所へ向かって歩いていた。
和葉「全く、平次の奴!!」
和葉は怒っていた。


――― 和葉の回想 ―――
米花警察署の食堂で合流した蘭と和葉の2人は、コナンと平次がパトカーに乗ってくると聞いて警察署の正面玄関前で待っていた。
4人で一緒に毛利探偵事務所に帰ろうと思っていたのだ。
パトカーが到着した時、真っ先に降りてきたのはコナンで、少し遅れて平次と高木刑事が降りてきた。

コナン「あ、蘭姉ちゃん、和葉姉ちゃん」
蘭と和葉が立っているのを見つけたコナンは、2人の所へ手を振りながら駆けて来た。
その姿を見て蘭はホッと胸をなで下ろした。

蘭「コナン君!良かった、無事だったのね。」
コナン「うん。」
続いて、平次と高木刑事も蘭たちの所に到着した。

平次「すまんけど、俺とこのボウズこれから事情徴収なんや。多分終わんの遅うなるやろから、先帰っといてくれてええで。」
和葉「はぁ!?せっかく一緒に帰ろう思て待ってたのに。」
平次「ああ、スマンな。メシは帰ってから食うから。」
コナン「ゴメンね、蘭姉ちゃん。」
そしてコナンと平次は、高木と共に行ってしまった。
――― 回想ここまで ―――


蘭「でも仕方ないじゃない。事情聴取なんだから。」
和葉「ちゃうちゃう。平次の場合他の人と違て、平次が刑事さんにいろいろ聞くねん。」
仕方なく、蘭と和葉は2人で探偵事務所へと帰ることにし、すでに道のりの半分ほどまで歩いていた。

その頃、元太たち3人は、米花警察署へ向かって走っていた。
BJCタワービル地下6階でのことを知らせに行くためである。

元太「頭に来るぜ、まったく。」
光彦「ホントですよ。」
3人は怒っていた。

3人は米花ジョイシティを出た傍にあるジョイシティ前交番に行ったのだが…
5648によって仕掛けられた爆弾もすでに解体されていたため、交番はすでに通常業務に戻っていた。
しかし、いくら訴えてもそこにいた警官は3人のことをまともに相手にしようともしなかったのだ。
それで3人は怒っているのだ。

3人は直接米花警察署へ向かうことにした。
(捜査本部が米花警察署に設置され、目暮たちもそちらに行ってることを、光彦がTVの記者会見の中継などで知っていたからである。)


歩美「あのお巡りさん、全然信じてくれなかったもんね。」
光彦「でも高木刑事や佐藤刑事ならきっと信じてくれますよ。」

その時、歩美が蘭と和葉を見つけた。
歩美「あ、蘭お姉さん」
そして元太も光彦も蘭たちに気づいた。

光彦「蘭さん!!」
元太「お〜い!」
蘭も3人に気づき、にこやかに手を振りながら答えた。

蘭「歩美ちゃん、光彦君、元太君も」
3人は蘭たちの所へ駆け寄っていった。

が、歩美たちは気付いていなかった。

すぐ後ろに2208が追いかけてきていたことに。

2208は曲がり角に身を潜めながら元太たち3人のことをジーッと見ていた。
元太たちが接触した交番の巡査もすでに射殺していた。

そしてここで5人を撃つため、右内ポケットからおもむろに拳銃を取り出した。
そして銃口を元太たちの方に向けた。

その事に気付いたのは蘭だけだった。
蘭はあわてて3人の所へ走り、3人と男との間に飛び込んでいった。


パン!!

2208が引き金を引いた。


歩美「蘭お姉さん!!」光彦「蘭さん!!」
2人が同時に叫んだ。蘭が撃たれたと思ったのだ。

しかし銃弾は外れ、蘭の足のすぐ傍に着弾した。

2208はすぐに次の弾を発射した。
その弾は、バランスを崩してその間にしゃがんでいた蘭に向かって飛んでいった。

和葉「あぶないっ」
間一髪で和葉は横から蘭に飛びついた。
和蘭の背中の上に和葉が覆い被さるような格好になった。

2人はそのまま地面に倒れ、銃弾は和葉の背中の上を通過し、後ろの塀に着弾した。
と同時に和葉は蘭の耳元でささやいた。

和葉「すぐに、こっから逃げるんや!!」
蘭「うん!!」

起き上がった2人は、元太達たち3人を連れ、その場から逃げ出した。




18章へつづく

<Gahal様のあとがき>
17章完成!!
 漆黒のモレンドは18章で完結、と言っておりましたが、17章が(これまでで一番長かった奇術師の死闘16章よりも)
長くなってしまったので、途中で切りました。(この17章は、本来17章として予定していた分の半分ほどです。)
というわけで、(多分)19章完結になると思います。
 ところでコードナンバーのことですが、一つ謝っておきます。2001もダジャレです。しかし2208は違うので、じっくり考えてみてください。
Gahal様小説ありがとうございました☆
蘭と和葉と探偵団がえらいことになってるっっ;2208に狙われてかなり危険!キッドは!?←違ッ
いよいよクライマックス!待て次号!←ぇ
コードナンバー2001のシャレって「におうおうワン」で「匂わん」とか?←帰れ!(笑)
2208も気になりますが皆さんはわかりましたか??
byあっきー

戻る

TOPへ