コナン&金田一final
漆黒のモレンド 第4章
作:Gahal様

『次のニュースです。さきほどの警視庁の記者会見で、怪盗キッドの予告日は今日であると発表されました。』

丁度お昼時、混雑するレストランの中で、守ただ一人がそのニュースに気づいた。
守はそのニュースをよく見ようと思わず立ち上がった。
しかし、丁度レストランに入ってきた団体客により、テレビ画面が見えなくなり、そのおしゃべりの声によってニュースの声も
聞こえなくなってしまった。

その一団がテレビの前からいなくなったときには、すでに次のニュースに変わってしまっていた。

灰原「どうかしたの?」
隣でいきなり立ち上がった守に、丁度コナンたちの誘導を終えた灰原が尋ねた。
守「ううん、なんでもない。」
そういうと守はしょんぼりした様子で椅子に座った。

光彦「あ、いました。あそこです。」
灰原の案内で、コナン・歩美・光彦・元太が今レストランに到着した。

昼食を終えたコナンたちが、午後3時の「仮面ヤイバー・ザ・ライド」までの時間を潰すため、次に向かったのは1階のグッズショップだった。
マスコットのぬいぐるみや、キーホルダー、饅頭など、一通り見た後、コナンたちは2階のお子様遊園地へと向かった。

1フロアーだけの屋内遊園地にもかかわらず、サイクルコースター(少し高いところにあるレールの上を、自転車のような物をこいで回るアトラクション)、
エアトランポリン(空気を入れてふくらませたビーチボール(?)みたいなトランポリン)、ミニSL(屋内なので煙のでない電動式)、
ミニゴーカート、エアホッケー、足がバネになっていて自分で前後にこぐ馬など、お金を入れるとウィ〜ンウィ〜ンと前後に揺れるだけの乗り物、
などかなりのアトラクションがあった。

元太・歩美・光彦は早速エアトランポリンに入り、跳びはね始めた。
阿笠博士と灰原とコナンは近くのベンチに腰をおろし、その様子を眺めていた。
そして、守も…

コナンはそっと守の横に移動し、やさしく話しかけた。
コナン「どうしたんだ?」
守「…さっきね、レストランでコナンくんたちを待ってるとき、テレビでキッドの予告状の事をやってたんだ…」
コナン「え?」
同時に灰原と阿笠も驚いた。

灰原「知らなかったわ」
阿笠「ワシもじゃ」
灰原は通信機でコナンたちを誘導していたため、気づかなかったのである。
阿笠博士も注意してテレビを見てはいなかった。

気づいていたのは守だけだったのである。

守「それで、キッドの予告した日が今日だって言ってたんだ。
でも入ってきたお客さんに隠れてすぐにテレビが見えなくなっちゃったし、声もおしゃべりにかくれて聞こえなくなっちゃった…」
瞳に涙を浮かべながら守は続けた
守「…もうムリだよね…どこに行ったらいいのかわかんないし、それに…もう盗み終わって帰っちゃってるかもしれないんだ…」
コナン「守…」
守「でもやっぱりキッドに会いたかったよ…会って、ありがとうって言いたかったよ…」
そういって守はうつむきながら泣きはじめてしまった。

そんな守の様子を哀れみの表情で見ていたコナンは、一度目をつぶり、守の肩に手を置いて、優しい笑顔で語りかけた。

コナン「だいじょうぶだよ。必ずキッドに会えるよ。」
守「え?」
潤んだ瞳をこすっていた手をとめ、顔を上げた守は、驚いた表情でコナンの顔をのぞき込んだ。

コナン「まだ予告の時間じゃねえし、予告の場所だって…」
そこに遊び疲れた歩美・元太・光彦が戻ってきた。

歩美「守くん、どうしたの?何で泣いてるの?」
光彦「何かあったんですか?」
守「何でもないよ。」
守は涙をぬぐいながら答えた。

元太「もしかしてコナンが泣かせたのか?」
コナン「ち、ちがうよ。」
歩美「そうよ。コナンくんがそんなことするわけないじゃない。」
守「コナンくん。本当にキッドの予告状の暗号が解けたの?」
コナン「ああ。」
歩美「すごーい。」
元太「マジかよ」
光彦「さすがですね。」

そしてコナンはみんなが注目する中、暗号の解説を始めた。

コナン「まず、前半の『12の獣の第11走者が再びタスキを受ける刻(とき)』の部分が時間を、
残りの『溶けない氷を頂きに、黄金の大地に参上する。』の部分が“どこで何を盗むか”を表しているのは分かるよな?」

歩美「うん」
光彦「何となくなら…」
守「ボクも」
コナン「それじゃあ、時間を表す『12の獣』はわかるか?」
光彦「う〜ん」
歩美「歩美わかんない」

阿笠「干支じゃな。」
光彦「干支って戌年、申年、酉年、とかのあの干支ですか?」

阿笠「そうじゃ。1日24時間を2時間ずつに区切って。子の刻、丑の刻というぐわいにな。」
灰原「つまり、『12の獣の第11走者』っていうのは、子から数えて11番目の刻というわけね。」

光彦「えーと…子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・
酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)だから…11番目は戌の刻ですね。」

灰原「でも、干支を使った時刻の解釈法は2つあるから、どちらを使うかで少しずれてくるんじゃない?」
光彦「2つの解釈法って何ですか?」

コナン「まず、午前0時から2時間ごとに基準を決めるところまでは一緒なんだけど、その後の区切り方が2通りあるんだ。
まず1つめは幕府や朝廷で使われていたとされる解釈法で、基準の時刻の1時間前から1時間前までをその刻とする方法だ。
午後11時〜午前1時が子の刻、午前1時〜午前3時が丑の刻ってな具合にな。これだと戌の刻は午後7時から午後9時までってことになる。」

灰原「もう一つが、基準の時刻から次の基準の時刻までをその刻とする方法ね。
一般庶民の間で使われていたとされる解釈法で、午前0時〜午前2時が子の刻、午前2時〜午前4時が丑の刻。
戌の刻は午後8時から午後10時までになるわ。」

光彦「へ〜え」
元太「お前ら、あいかわらずよく知ってんな…」
灰原「ちなみに、『第11走者が“再び”タスキを受ける』のは、“ちょうど戌の刻になった時間”のこと。
つまり、午後7時か午後8時ってことになるわね。」

守「それで、この予告状の時間はどっちなの?」

コナン「ヒントは2つ、1つは『第11走者が“再び”タスキを受ける』の“再び”。
2つ目はこの予告状が出されたのが、昨日の“午後7時”だったということ。もうわかるよな?」

元太「全然わかんねーぞ。」
元太一人が難しい顔をしているそばで、ほとんど同時に3人が叫んだ。
歩美「わかった!!」
光彦「わかりました!!」
守「ボクも!!」

元太「マジかよ?」
歩美「うん。もちろん。」

光彦「“再び”戌の刻になるには、予告が出されたとき(昨日の午後7時)が戌の刻でなければならない
(もし、戌の刻で無かったならば“再び”なんてつけなくていい)から、キッドが現れるのは、今日の午後7時ですね。」
コナン「その通り!!」
元太「で、キッドはどこで何を盗むんだ?」

コナン「『溶けない氷を頂きに、黄金の大地に参上する。』、『黄金の大地』とは、この米花ジョイシティにある『黄金の地球儀』のこと。
『溶けない氷』ってのは南極の氷のことだよ。(実際には溶けてるけど)。」

光彦「そうか…あれ?ちょっと待ってください。でも黄金の地球儀は、南極以外が金で出来てるんですよ。
南極なんか持っていっても意味無いんじゃないですか?」
コナン「確か、その南極の部分って白く光ってたよな。もしそれが…何か宝石だったとしたら?」

守「じゃあキッドは、今日の夜7時に、ここに来るんだ。」
コナン「ああ、黄金の地球儀の南極部分にある“何か”を盗みにな。」
守「本当に会えるんだ…キッドに…今日…」
そう言った守の顔は、喜びがあふれんばかりの笑顔だった。

歩美「やったね守くん」
光彦「よかったですね〜」
元太「ラッキーだなお前」
守「うん、ありがとう、みんな」


そして時間は過ぎ、午後7時まであと10分となった。

「仮面ヤイバー・ザ・ライド」にも乗り、遊べるアトラクションは全て遊び尽くした。
コナンたちは今、黄金の地球儀から100メートルほど離れた茂みの中に隠れていた。(阿笠と灰原は先にレストランに行った)
黄金の地球儀は警察によって包囲され、それ以上近づくことが出来ないのだ。
黄金の地球儀の近くでは、中森警部が指揮を執り、地球儀の警備に当たっていた。

キッドが来ることは、夕方のニュースで報じられた上、新聞の号外もすられていたため、かなりの数の野次馬も集まってきていた。



そして…



「キッドだ!!キッドが現れたぞ!!」

上空にキッドのハンググライダーが確認された。
警察のサーチライトに照らされ、ヘリコプターに追われ、だんだんと米花ジョイシティへと近づいてきていた。


しかし、コナンたちに近づいていたのは、怪盗キッドだけではなかったのだ。
茂みに隠れるコナンたちのさらに20メートルほど後ろに、一人の男が近づいていたのだ。
左右に細いちょびひげを生やし、かなり太った背の低い男で、丸いサングラスをかけている。

学校の帰りに、守のことを捕まえようとした男だ。

男「見つけた…ついに見つけた。」
男は足音を立てずにゆっくりと守の方へと近づいていった。

キッドに気を取られているため、コナンでさえまだそのことに気づいていない。



その男の両手が、守の体に向かって、静かに伸ばされていった。




5章へつづく

<Gahal様のあとがき>
4章が終わり、5章ではいよいよキッドが、そして服部平次が登場します。
そしてこの第4章では、9月9日で「探偵学園Q・TVアニメ第1部終了!」ということで、探偵学園Qをちょっと出してみました←ぉぃ。
(といっても、探Qのキャラがでてるわけではありません。)
ヒント1:コナンのセリフに注目!
ヒント2:“答えは1つだ!”もつけたかったけど、さすがにそれはやめました(笑)
さあ、どの辺が探偵学園Qなのかわかりました?

Gahal様のコナン&金田一final!!
うわぁっ・・・またいいところで終わってる・・(ぷるぷるぷる)
守に近づく謎の男って・・・誰??平次??←こらこら
5章では平次とキッドが登場ぉ!!楽しみにしてました!
探偵Q・・・判りました!!コナン君のセリフ(笑)

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