第3の予告状 〜After〜(中編)
作:Gahal様


良博の病室へと到着した平次とゆきの目に飛び込んできたのは、ノドをナイフで一突きにされた良博の姿だった。
しかも傍らには"0717"とかかれたカードも枕に突き刺さって立っていた。

ゆき「いやぁぁぁぁーっ!!」
ゆきはそのまま気絶してしまった。
平次「ゆきさん!!」
倒れ掛かってきたゆきの体を支えながら平次は部屋の中を見回した。そしてある異変に気づいた。

平次「ない!エターナルブルーがなくなっとるで!!」


その後、あとからやってきた所轄署の刑事達によって現場は封鎖され、ゆきも病室に運ばれ…あっというまに夜になってしまった。

 平次と和葉はゆきの別荘へ帰るところだった。

平次「やっと終わった。長い事情聴取やったな…」
和葉「なにいってんの!ほとんど平次の方が聞いてたくせに!!」
平次「そ、そうやったか?ははは」
そのとき、平次の携帯電話が鳴った。
平次「もしもし」
静華「こらっ平次!!2日間もぜんぜん連絡もせんとどこにおるんや?」
平次「なんやオカンか?今なあ…」
柳葉村におると言おうとした平次だったが、母親が心配するだろうと思ったのでとっさにうそをついた。
平次「今なあ、くど…やのうて、毛利のおっさんとこに来とるんや。」
静華「なんや、またかいな?で、和葉ちゃんも一緒か?」
平次「そうや」
静華「全く、高校生のくせにそんなちょくちょく東京までいけるな?」
平次「ええやろ、今夏休みなんやから。」
静華「早うかえってきいや、毛利さんに迷惑かけるんやないで!!」
平次「わかったって…もう切るで」
静華「あ、ちょっとお礼いいたいから。毛利さんに代わってくれへんか?」
平次「え?」
平次は慌てて一芝居打つことにした。
平次「あ、悪い。電池切れや、またこっちからかけるさかいに、ほんなな。」
静華「あ、平次、ちょっと待ち…」
しかしすでに平次は電話を切ってしまった。


翌朝…
平次と和葉は夜明けと同時に"あの場所"つまり柳葉村立図書館へむかった。
コナンが見つけた大時計―針が不自然な位置にあり、文字盤に六角形のくぼみがある時計である(7章参照)―を調べるためである。

平次たちは図書館に忍び込むと、すぐ時計の針を調べようとした。
その時計は入り口からほとんど正面を向いていた。

和葉「なあ、やめようよ。見つかったら怒られるで。」
平次「ま、そんときはそんときや、それより和葉、懐中電灯!!」
この図書館は南向きに作られているので(玄関が南を向いている)まだ日が昇ったばかりのこの時間ではほとんど真っ暗なのである。
南、西、東の3方向に窓はあったが、朝日もまだ入ってきていなかった。
止める和葉の言葉など気にも留めず、平次は倉庫にあった脚立を勝手に引っ張り出し、時計の正面に置いてのぼり、
まず針を正確な位置に戻そうとした。ところが、針はびくともしなかった。

平次「あかん、この針動かんで。」
次に平次は六角のくぼみを覗き込んだ。大きさはやはりエターナルブルーがぴったり入るくらいだった。
平次「ん?なんやあれ?」
和葉「どないしたん?」
平次「いや…よう分からへんけど…何かに俺の顔が写ってんねん。」
その後も平次はいろいろ調べている様子だったが…
平次「あかん…お手上げやな。じゃあそろそろ帰ろか」
2人は結局何も分からないまま図書館を後にしようとした。

そのとき
男性「これ君達、ここで何をしているんだね?」
平次「やばっ、見つかった!!」
和葉「ご、ごめんなさい!!」
男性「こんなところに忍び込んでもお金なんてありませんよ」
平次「いや、俺らはただあの時計を調べてただけで…」
男性「時計…ああ、あれかね。そうか、じゃあ詳しく聞かせてもらえるかね?」
平次「ああ、いいで」
和葉「こら平次、ど、どうもすみません!!」
男性「いや、別にかなわないよ。あ、そうだまだ私の名前をいっていなかったね。私はここの図書館の館長の津村というものだ。」
和葉「か。館長さん!?」
津村「ところで君達の名前は?」
平次「俺は服部平次、でこっちが遠山和葉」
津村「そうかい…私はね、以前からこの時計の謎が知りたいと思っていたのだよ。」
平次「謎って?」

津村「この時計は、今から約100年前に香坂喜一という人から贈られたものなのだよ。」
平次「香坂喜一…ってたしか…」
そう、あのインペリアルイースターエッグをつくった人物である。(世紀末の魔術師より)
津村「彼がそれをここの初代館長に託したときこういったそうだ。"この時計はあなたと私との友情の証しです。
何か困ったことがあった時には2つの鍵をつかってこの時計を開けて下さい。必ず役に立つはずです。"と。ところが…」
平次「ところが?」
津村「初代館長が受け取ったものは2つの鍵ではなくただ時計のゼンマイを巻くためのネジだけだったのだよ。
ただ、鍵のうちの1つはエターナルブルーだといっていたそうだ。」

平次「他に代々伝えられていることはないんか?」
津村「ああ…いや、まてよ。確か…そうだ。」
すると津村は正面玄関のドアの上を指差して言った。

津村「あの丸い天窓もこの時計と一緒に作られたものなんだ。」
平次「天窓?ほんまや、あんなところに天窓が…でも、なんで閉まってんねん?」
津村「あの天窓は日が沈んでから日が昇るまでの間だけしか開かないのだよ。まあ、何かわかったらすぐに私に伝えてくれ。
私はいつもここにいるから。」
平次「あ、ああ」
館長は奥の方へと消えていった。

平次と和葉は図書館を後にした。


平次と和葉は一旦ゆきの別荘へと戻った。
ゆきはすでに退院して別荘に戻っていた。
平次「なんやゆきさん。もう戻ってたんか。」
ゆき「ええ、2人ともどこに行ってたのよ。心配したんだから」
平次「いや、ちょっとな」
和葉「それよりゆきさん、もう大丈夫なんですか?」
ゆき「ええ、もう平気。そういえばあの0717って奴は見つかったの?」
平次「いや、奴が行きそうなとこは分かったんやけど。」
ゆき「…ま、とりあえずごはんにしましょう。まだなんでしょ?朝ごはん」
平次「そういや…」
和葉「おなかペコペコや」
3人は食堂へ行き、朝ごはんの準備をはじめた。

その夜
平次は寝室にいた。
ゆきはちょうど風呂から上がったところで、入れ替わりに和葉が入りに行くところだった。
和葉「それにしても、本当に広い家やな、迷ってしまいそうや。」

5分後
和葉「あかん、本当に迷ってしもた。どっちが風呂場やろ?寝室の方も分からん!!どないしよー!!」
そのとき、背後からギギギギギ…というドアがこすれるような音がした。

和葉「な、何?誰かおるん?」
和葉がその音のした方へいくと…
和葉「ドアが開いてる。なんで?」

それは裏口のドアだった。
和葉はそのままドアから外に出てしまった。
建物の外から玄関の方へ回ろうとしたのだ。

和葉「へ〜っ、今日は満月や、きれいやな」
しばらく歩いたとき、今度は自分に近づいてくる足音が聞こえてきた。

和葉「だ、誰?」
その足音はさらに和葉へと近づいてきた。
やがてその人物の顔が見えた。そう、0717こと八坂だったのだ。
和葉の顔は恐怖で青ざめ、目も大きく見開かれた。そして悲鳴をあげようとしたが、八坂にハンカチで口を塞がれ、
和葉は深い眠りへと落ちていった。

八坂「フフフフフ…」
八坂は眠ってしまった和葉を抱えて闇の中へと消えていった。

そのころ
平次は寝室で考え事をしていた。
そのとき、再び平次の携帯電話が鳴った。
平次「もしもし」
平蔵「ああ平次か」
平次「オ、オヤジ!?」
平蔵「実はな、西沢がどうしてもお前に伝えたいことがあるらしいんや。」
平次「西沢って、この間の柳葉村の事件で八坂と一緒に逮捕された。」
平蔵「そうや。じゃ、代わるぞ。」
西沢「もしもし」
平次「ああ、何なん?おれに話って。」
西沢「八坂の奴がまたエターナルブルーを狙っているなら、今夜が一番危ないんです。」
平次「今日?何で今日ってわかんねん?」
西沢「それは…言えませんが。でもとにかく今夜は危ないんです。」
平次「はあ…」
平蔵「ま、そういうことや。じゃ、切るぞ。」
平次「あ、ちょ…」
平蔵はさっさと電話を切ってしまった。

平次「何なんや一体?」
すると、また携帯電話が鳴った。
平次「あのくそオヤジ、用があるならいちいち切るなや。」
と言いながら電話に出ると…

平次「もしもしなんやオヤ…おお、何や工藤か!!どないしたんや?」
コナン「それはこっちのセリフだ。さっきおまえんちのおばさんから、お前が来てるかどうか確認の電話があったぞ。お前今どこにいんだよ?」
平次「いま…そんなことはどうでもええ、それよりオカンに何か言ったんか?」
コナン「ああ、お前は来てないって言っといてやったぜ。おばさんカンカンだったぜ。」
平次「何ぃぃぃぃっ!!お前何ちゅうことしてくれたんや!!」
コナン「なーんて、ちゃんとお前が来てるって言っといてやったぜ。」
平次「おお、すまんな。」
コナン「それよりお前どこにいんだよ?」
平次「そうや、お前香坂喜一って知ってるか?」
コナン「ああ、知ってるぜ。メモリーズエッグの作者だ。」
平次「そのメモリーズエッグやけど、なんか仕掛けあったんか?」
コナン「ああ、光で動くしかけがあったけど、それがどうかしたのか?」
平次「そうか、いや悪いな、今ちょっと忙しいからまた今度かけてくれや。じゃあな。」
コナン「おい、ちょっとまてよ!!服部!!」
だがすでに平次は電話を切ってしまった。

平次「光で動くしかけか…それにしても今夜が危ないって…」
平次は何気なく窓の外を見た。
平次「…そうか、そうやったんか。」

"何かに俺の顔が写ってんねん"
"2つの鍵をつかってこの時計を開けて下さい。"
"鍵のうちの1つはエターナルブルーだといっていたそうだ"
"あの天窓は日が沈んでから日が昇るまでの間だけしか開かないのだよ"
"奴がまたエターナルブルーを狙っているなら、今夜が一番危ないんです"
"光で動くしかけがあったけど、それがどうかしたのか?"
平次「あの時計に隠された謎、分かったで!!」

そのときだった
ゆき「きゃぁぁぁぁぁぁぁ服部君!!早く!!」
平次「ゆきさん?どないしたんや!!」
平次が声のした方へ走っていくと、裏口前で紙を持って座っているゆきの姿があった。
平次「ゆきさん!!」
ゆき「服部君、これ」
ゆきは手にもっていた紙を平次に渡しながら言った。

平次「こ、これは!?」
その紙にはこう書かれていた。

(服部平次へ、お前の彼女はもらった。帰してほしければあの時計を開ける2つ目の鍵を持って一人で図書館へ来い。/0717)



つづく

Gahalさまのあとがき
あとがき 中編、終わりました。 あとは後編だけです。
今回の時計の謎は結構簡単だと思います。
わざわざヒントを下の方に集めたりしましたし。

Gahal様小説ありがとう☆
どしえー!!これは・・・あの忘れもしないキッド様(笑)の活躍の映画「世紀末の魔術師」が関係していたとは・・・
時計に隠された謎?!・・・・確かにヒントが・・・・・・・うーーん←何?!
まさか・・・その時計もインペリアルイースターエッグみたいな仕掛けが??
しかし和葉を人質にとるとは・・卑怯なり!!!!殴ったれ平次(いや、そうじゃない)(爆) by あっきー

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